疑惑の口元
はる君が友達を連れてきた。
学校のお友達らしい。
名前はレン君。
元気いっぱいのいい子だ。
わしは、はる君が友達を連れて遊びに来てくれたことを大いに喜んだ。
最近は泣きながら寝ることが多く、なかなかに疲弊していたのだが、せっかく孫がお友達を連れて遊びに来てくれるのだ。
わしは疲れを見せないようにニコニコしながら出迎えた。
来て早々にお手玉について触れてわしの心を抉ってきたが、それは別にレン君が悪いわけじゃない。
レン君はいい子だ。
いい子……なのだが。
一つ気になることがあった。
レン君だけでなく、はる君もだが、何やら口をパクパクを動かしていたのだ。
それも一度や二度ではない。
正面からちゃんと見ていたわけではないため、読唇術を存分に発揮することはできなかったのだが、断片的にワードを拾うことができた。
「つから……くりょう……取り……探ろ」
意味は分からないが、何かの暗号のようにも思える。
そしてわしが酷く驚いたのは
「……てだま……いつから……訊こ」
と、レン君が口をパクつかせた直後に、はる君からお手玉に関する質問が飛び出したことだ。
これにより、口をパクパクさせているのには何かしらの意味があると確信した。
わしが二人の謎のやり取りに気づき、頭を悩ませている間にも、かず子はいつものように、はる君が「おばあちゃんち」と言う度に悪魔のような笑顔を浮かべるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます