第6話 西の民

 やあ、ディム、元気かな?

 地上の生活はとてもエキサイティングだ。僕は今、斬新な経験をしているよ。

 なんと「牢屋」に入っているんだ。


 支援追跡者バックアップ報告レポートの義務はあるが、ありのままに語ったらディム・トゥーラに殺されるだろうなあ、とカイル・リードは思った。

 城内でいきなり背後から襲われたのだ。

 布に染み込まれた怪しげな臭いに意識を奪われ、気がつけばここにいた。ほぼ真っ暗だが鉄格子てつごうしは確認できた。

 カイルは体内の麻酔ますい成分が中和されたことを確認した。緊急用の治療チップが自動消費されていた。

 なるほど、この世界にも麻酔ますいが存在するのか。新しい発見にカイルは満足したが、シルビアあたりがいれば「論点はそこですか?」と突っ込まれそうだった。

 まさか城内で蛮行にあうとは思わなかったので、油断していたのも事実だ。

 ただ自分が拉致らちされる心あたりは全くない。人違いか金目当ての犯行か。

 いったい犯人たちはどうやって城への侵入をはたしたのだろうか。スカスカの警備の方がはるかに問題だろう。


 金属の手枷てかせをつけられていたが、カイルは防御膜シールドを発動させ、拘束していた金属を酸化腐食させ自由を手に入れた。

 長衣ローブの下の研究員服に組み込まれている小さな金属球を取り出し、スイッチをいれる。簡易の浮遊灯ふゆうとうだ。まさか消灯後のステーション内を歩くための懐中電灯がこんなところで大活躍とは思わなかった。

 あかりがともり、カイルは自分の長衣ローブどろの滲みができていることに気づき、しょんぼりした。ファーレンシアが用意してくれた長衣ローブ刺繍ししゅうが素晴らしく、カイルのお気に入りだったのだ。

――おのれ、犯人めっ!!

 カイルの怒りのベクトルはややずれたものだったが、本人に自覚はなかった。

 浮遊灯ふゆうとうがふわふわと空中を移動し、カイルは周辺を確認した。

「!」

 離れた場所に手枷てかせをつけられた子供が地面に転がっている。暴行を受けたのかあざだらけだった。息があることを確認して、違反行為を承知で裏技うらわざ的に治療することにした。

 この世界には存在しない道具を使っての治療が終わると、子供のあざが薄くなった。長衣ローブを脱ぎ、子供を包みこんでかたわらに横たえた。


 看守かんしゅがいないから恐らく非合法な監禁所か。ただ犯罪組織の拠点だとしてもこの子供と自分の共通点が見つからない。

 カイルは考え込んだ。

 ここはエトゥールの街中か、街外か。

 とりあえず、子供を連れて脱出を図ろうと立ち上がったカイルは、背後の闇からすさまじい殺気を感じた。

 闇の中に獰猛な人食いの獣がいる心象だった。

――待った、動物の生餌いきえというのは予想外だよ⁈


 構えるより早く獣が飛び出してきて、カイルに襲いかかり押し倒した。

 獣は人間だったが憎悪と殺意の塊だった。触れた瞬間に流れ込んでくる怒り、憎しみ、後悔と悲しみ――。


『――僕は敵じゃないっ!』


 本能的に思念波を放った。男の振りかざした手が空中で止まる。

 男は組み伏せたカイルをそのまま睨みつけていた。

「僕は敵じゃない」

「――」

 帰ってきた言葉はエトゥールの言語ではなかった。

 休戦の合図のように男は手にあった凶器を放り捨てた。それは拳大の石でカイルはぞっとした。撲殺されるところだったとは、斬新を通り越していた。


 男は激しく息を切らしていたが、それは衰弱のためだろう。目がかなり鋭く、強面こわもてだ。頬がこけ、肉がそげ、長期間食事をしていない飢餓状態のようだった。だが、着ている衣服はエトゥールのものではなく、異国の装飾だった。薄汚れた服と無精ひげが彼の拘束時間を物語る。

 自力で拘束をといたらしく、彼の片手には手枷の鎖が垂れていた。

 カイルに興味をなくしたように、男は身体を起こし、あっさり彼から離れた。よろよろと立ちあがると奥に向かう。

 驚いたことに奥にはさらに数人横たわっていた。衣服が似ているから彼の仲間であろう。

 中でも老人はひどい状態だった。

 老人の容態ようたいを見ようと手を伸ばすと、男に手を弾かれた。

容態ようたいを見るだけだ」

 男は顔をしかめたが、敵意がないことを認めたらしい。カイルが老人に触れることを許した。

 暴行の跡、重度の栄養失調、脱水症状、発熱、肺炎の症状――生きているのが不思議なくらいの状態だった。

 長期間食事を与えず監禁されていたのか……。

 カイルは浮遊灯の照度を落とし、治療をすすめた。男はカイルを見張っており、仲間に何かあれば報復する気満々だった。

 1時間がすぎ、老人と仲間の手当で彼の敵意はだいぶ和らいだようだった。が、自分の手当を許すほどではない。彼自身が重度の栄養失調のはずだが、動けるタフさにカイルは驚いた。

 カイルは応急処置キットの中にあった携帯食糧をいて男に差し出した。男は首をふり拒絶したが、カイルは一口かじり再び差し出した。毒見に安心したのか今度は受け取り貪りくった。

 だが、油断はしていない。鋭い眼光は、常に周囲を警戒している。


 カイルは猛獣を餌付けしている気分になった。


 男は食べ終わると、自分の手を開いたり握ったりしていた。

 それからカイルの腕をたたき注意をひいた。

 自分を指差す。

「ハーレイ」

 名乗りはコミュニケーションの基本だな、とカイルは微笑んだ。

「カイル」

「……エトゥール?」

 エトゥール人か、と問われたようなので正しくないが頷く。

 ハーレイは顔をしかめた。エトゥールへの憎悪が感じられる。まあ、ここに閉じ込めたのがエトゥール人ならば彼の憎悪も仕方なしで――。


………………そんな猛獣をエトゥールの城下に離すのはまずくね?


 仲間が死んだら城や街に殴り込みをかけて大暴れする彼の姿が浮かぶ。

 これはどう解決したらいい案件なんだ。そもそもなぜ彼等は監禁されて殺されそうになったのか。明らかに異国の装束で――。

「……西の民?」

 隣の男への疑問系の問いかけに、男はカイルをじっと見つめ頷く。


――西国の民との和平もままなりません


 ファーレンシアの言葉が蘇る。

 和平もままならないって、この状況では無理だ。彼はエトゥールを憎んでいる。

 いや、そうではない。エトゥールと西の民を不和に導こうとする悪意ある集団がいるのだ。セオディアとファーレンシアはその悪意の存在に気づいて救い手を『精霊』に求めたのではないだろうか。

 カイルは二人の抱えた問題と見えない敵が大きいことにうれえた。


 こうなると彼等を平和的に保護するしかない。

 ファーレンシアなら不在に気付き、探してくれるに違いない。あとはどうやって彼女にこの場所を伝えるか、だ。


 不意にハーレイは何かに気づいたように顔をあげ唇に指をたてた。身振りで、気絶している振りをしろという。カイルは浮遊灯ふゆうとうを消し、手に握りこんで彼の指示に従った。

 数分後、階上でわずかに物音がした。

 ハーレイは野生動物並みの聴力や勘の持主か。それとも民族特有の個性か。

 誰かが階段を降りてくる気配がする。

 鉄格子てつごうしの前で鍵をあけたので、犯人一味で間違いない。目的は子供の回収か。それともハーレイ達か。

 カイルは思念で相手の気配をさぐった。背中をむけていてもはっきりと感じられた。牢に忍び寄るように入ってきた人間は武器をふりかぶり――


 狙いは僕か――⁈


 暗殺される心あたりはないが、カイルは身体を回転させると右足で襲撃者の足を払って時間を稼いだ。

 ハーレイは共闘してくれた。

 敵がカイルの反撃に気を取られているうちに、その背後から手首に垂れる鎖で首をしめた。

 だが衰弱していた彼はふりほどかれ、壁まで飛ばされた。

「ハーレイ!」

 再び暗殺者はカイルに襲いかかるが、カイルは巧みに剣をよけた。イーレがステーションで暇潰ひまつぶしに伝授した護身術のおかげである。

――イーレ、ごめん。今度から真面目まじめにレッスンを受けるよっ!!

 今度があれば、だが――。


 イーレ直伝の護身術があっても、長剣を持つ相手に素手は圧倒的に不利だった。おまけに相手は素人ではなかった。間違いなくプロで、急所を狙ってきていた。

 じりじりとカイルは壁際かべぎわに追いつめられる。

『目を閉じてっ!』

 ハーレイが思念の忠告に従い目を腕でかばうと、カイルは暗殺者に浮遊灯ふゆうとうを投げつけた。最大光源で。

 突如とつじょまばゆい光がフラッシュのようにかれ、網膜もうまくに衝撃を受けた暗殺者は目を覆い、のけぞった。そこへハーレイが体当たりをし、相手のバランスを崩してくれた。

 すかさずカイルは蹴りを繰り出した。武器を握る手首に命中し、剣をはじきとばす。

 絶妙なタイミングで空中の剣を手にしたのは、ハーレイだった。男は奪い取った剣を何の躊躇ためらいもなく、振りかざした。


『――殺しちゃだめだっ!』


 その声を受け取ったように彼は一瞬で剣の持ち手を変え、つかで男の首を強打し、襲撃者を昏倒こんとうさせた。カイルは舞踊のような動きにあっけにとられた。思わず興奮して拍手をした。

 ハーレイは予想しなかった賞賛しょうさんに一瞬困惑したようだったが、唇のはしをわずかにあげ、親指をたてたハンドサインをよこした。

 すごい手練てだれだ。鍛えなければこうはならない。

 カイルは悟った。彼等は恐らく戦闘民族だ。捕らえたものの強すぎてとどめをさせず衰弱死すいじゃくし狙いで監禁されていたのではないか。

 イーレとどっちが強いだろうか。緊急時というのにカイルは不埒ふらちなことを考えた。もしかしたらイーレかもしれない。ステーションの小さな魔女は最凶だから。



 観測ステーションで、イーレは大きなくしゃみをした。

「風邪ですか?」

「いいえ、大丈夫よ」

 鼻元を押さえて、イーレは顔をしかめた。

「何か無性むしょうに腹が立ってきたわ」



 ハーレイは襲撃者の衣服を裂き、手慣れた様子で縛りあげる。自殺防止のためか猿轡さるぐつわも忘れない。その手際のよさに野蛮な行為とわかっていながらついつい見守ってしまう。

 それから彼は上の気配を伺った。鉄格子てつごうしの扉は開いたままだ。身振りで脱出するかとハーレイがきいてきたのでカイルはうなずいた。

 カイルは子供を、ハーレイは老人を抱えて階段を登ろうとした。

 が、急に上が騒がしくなった。多人数の気配がする。

 敵の増援か⁈

 二人は階段を登るのをあきらめ、牢の中に戻り身を隠した。ハーレイは老人を丁寧に横たえると、暗闇の中で奪いとった剣を構え腰を落とした。カイルは足手まといにならないよう、持っていた防護壁シールドの金属球を密やかに起動した。

 何人かがあかりを持って降りてくる。

 彼等も地下牢の異常に気づいているらしく、移動はゆっくりだった。じょうが空いたままの鉄格子てつごうしの扉を警戒しながら開き、足をふみいれてきた。

 ハーレイは飛び出した。襲撃に相手も応戦の態勢をとる。

 そのときカイルは相手の鎧に入った紋章に気づいた。と、同時に近くにいるファーレンシアの思念も感じた。

「待って、彼等は味方だっ!!!」


 カイルは叫び、同士討どうしうちを止めるためにその間に飛び込んだ。



 カキーンと硬いものに当たる音と一瞬の光。

 双方の刃は、カイルに当たると彼を傷つけるどころか、折れて床に転がった。

 カラカラと折れた刃が回転しながら床をすべる。



――やっちまったぁぁぁぁ――――。


 カイルの周囲に自動展開された防御壁シールドが刃を粉砕したのだ。剣戟けんげきの中に飛び込んだおろかな人間が、刃を砕き無傷でいる。

 信じられない物を見たというように、誰もが凍りついている。

 同士討ちを止めるという初期目的は完璧に達成されているが、何か違う。

――やっちまったものは仕方がない。

 カイルは開き直った。


 カイルは何事もなかったかのように自分にかかった金属片を静かに手で払い、異民族を背後にかばう位置に立った。

 戦意がないことを示すように両手をあげ告げる。

「彼らは長くここに監禁されていただけだ。僕はカイル・リード。セオディア・メレ・エトゥールもしくはその妹姫ファーレンシア・エル・エトゥールへの身元の確認と全員の保護を要求する」

 階上から声が降ってきた。

「彼は客人であるメレ・アイフェスです。西の民にも敵意はありません。すぐに救出と手当を」

 ファーレンシア・エル・エトゥールがすべてをおさめた。


 少年と異民族五名は保護された。彼等の惨状に偏見のあるものも黙ったようだ。地下牢から丁寧に運ばれていく。

 セオディアの帰還まで城内で治療と一時的な居住を確保することになった。

「彼等に君が信頼できる護衛をつけた方がいい。偏見のない者が好ましいかな」

 ファーレンシアはカイルの助言にうなずいて、指示をだした。

「救出が遅くなり申し訳ございません」

「ファーレンシアなら気づいてくれる、と期待していたんだ。ありがとう、助かったよ。よくここがわかったね?」

 ファーレンシアは微笑ほほえんで、空を指差した。

 監禁場所の屋根の上に赤い鷹がいた。

「――!」

 カイルは背筋が凍った。

「彼が導いてくれましたわ」

が⁈」

「はい」

「……本当にが?」

「ええ、そうですよ」

 それからファーレンシアは笑いをこらえるように口元を手で隠した。

「精霊鳥をアレ扱いするのはカイル様ぐらいですね」

「いやいや、だって得体が知れないよ?最初に身体を奪ったことを怒っているかもしれないし、嫌味をするぐらい知性はあるし――」

「嫌味?」

「僕が子供の頭上でしたように、頭の上で三度旋回せんかいするんだ」

 耐えきれずファーレンシアは吹き出した。

「カイル様、愛されてますわね」

「嫌だっ! そんな愛はいらないっ! 断固拒否するっ! ――あっ!」

「どうしました?」

「すまない、君に用意してもらった長衣ローブを駄目にしてしまった」

「――」

 大事件の中、瑣末さまつなことを気にするカイルに、ファーレンシアは安心させるように言った。

長衣ローブは滞在中、私がいくらでも用意します」

「滞在が長くなったらどうするの?」

「いろんな刺繍ししゅう意匠いしょうが楽しめますね」

「そういう問題かなあ」

「そういう問題です。それとも精霊に滞在期間について予言をもらった方がよろしいでしょうか?」

「いらない、いらないっ!絶対にいらないっ!」

 少女の悪戯っこのような表情に、カイルはようやく揶揄からかわれたことに気づき、不覚にも笑いをもらしてしまった。

 二人はしばし見つめあい、笑い出した。


 牢から救出された西の民の男は、二人の様子をじっと見ていた。




 ファーレンシアは刺繍ししゅうをしている手を止め、思い出し笑いをした。

「ファーレンシア様、どうされました?」

 一緒に作業をしている侍女のマリカが尋ねる。

「カイル様のことですか?」

 ファーレンシアは頷いた。

 侍女総出でカイルの長衣ローブを何着か作っていた。嫌がる者はいない。むしろ参加したい侍女が多すぎて、ファーレンシアが作業を細かくふりわけたぐらいである。

「カイル様がいらしてからよいことばかり起きますね」

「本当に」

 侍女の一人はうっとりと思い出した。

「あの東屋あずまやでのカイル様は、とても絵になっておりました。書を読むカイル様、それを見守るエトゥールの精霊鷹、それから精霊鷹は彼を祝福をし、大空に羽ばたたいて去るのをカイル様はいつまでも見送って……」

 目撃した侍女全員がうっとりと神聖な場面の余韻に浸り出した。

 目撃できなかった侍女達がずるいと唇をとがらせる。日頃の行いの差だ、とか揶揄からかいの言葉が飛び交った。


――だいぶ脚色されている……

 ファーレンシアがカイルから聞いたのは、忍耐度を試す無視合戦だった。侍女の語る描写をカイルが耳にしたら、全力で否定するであろう。

 ふふ、とファーレンシアは笑いをもらす。

 カイルが精霊鷹を苦手としていることはファーレンシアだけが知る秘密だった。

 ファーレンシアは沈黙を守ることにした。


「はいはい、皆さん手が止まっていますよ」

 女官長が注意を促し、作業は再開されたが、話は盛り上がった。

「無事でよろしかったですね」

 マリカがそっと告げる。彼女が最初にカイルの不在に気づいたのだ。聞いたファーレンシアは胸騒ぎを覚え、自分の近衛隊このえたいを動かした。

 怪しいフードの男の目撃情報にファーレンシアはぞっとした。エトゥールを導くために異国の客人がいることは、すでに有名になっていた。今回の戦況を有利にした知恵者だとも。


 誰かが彼を害そうとしている。


 心配でファーレンシアの胸は張り裂けそうになったとき、精霊鷹が彼女の元に舞い降りた。

――ああ、助けてくれるのね

 すぐに羽ばたいた吉兆の鷹をファーレンシアは指差した。

「あの鷹が導きます」

 エトゥールの姫巫女の言葉を誰も疑わなかった。


 そして精霊鷹は導いた。



 今回の不祥事に彼は激怒せず、むしろ救助の礼を言われた。

 本来なら、外交問題に発展するエトゥールの大醜聞だった。寛大な対応に関係者は胸を撫で下ろした。

 事件で保護した好戦的な西の民は、滞在中に護衛をつけることを侮辱と憤ったが、カイルの助言であることをつけ加えると、不思議なほど静かに受け入れた。

 彼はどうやって西の民の心を掌握しょうあくしたのだろうか。

 一緒に保護された子供は、北からの伝令だった。彼が襲われ監禁されたために、隣国の進軍の動きが伝わらなかったのだ。

 あの出会った夜、カイルの言葉がなければ、今頃城下まで侵略されていた可能性すらあった。

 ファーレンシアは戦場にいる兄に今回の事件を手紙にしたため早馬で知らせた。彼の返事は、勝利をおさめたので数日中に帰還する旨だった。

 エトゥールの憂いの一つが取り除かれたのだ。



「意匠はどうされますか?やはり精霊鷹でもいれますか?」

 マリカの問いに物思いから覚める。

 ファーレンシアは悩んだ。精霊鷹嫌いのカイルに着てもらえないのは困る。

「知恵の象徴の狼の精霊獣にしましょう」

「まあ、ふさわしいですわね」


 不意に悪戯心がめばえ、ファーレンシアはこっそりと裾裏に赤い精霊鷹を刺繍した。それに気づいた時のカイルの反応を想像するのは楽しかった。

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