怖い魔法

1+1≒2

プロローグ

「おい、論文の準備はもう大丈夫なのか。」


「山本先生、今ちょうどデータの整理ができたところです。これどうですかね…。」

僕の日常はこんなやりとりをする毎日だ。日々データ整理と解析をする。世の理系大学院生っぽいことをずっとやっている。こんなに忙しいのには理由がある。


最近、僕の所属している研究室は注目を浴びた。この世界で起きていたとある謎の解決へ一歩近づいたのだ。


研究室の下っ端の下っ端な僕は何の事件か詳しく知らされてなかったが、「何かがなくなる」みたいな事件が多発したらしい。

科学の研究なのにオカルトみたいな話であまり興味もないが、何も知らない状態で何かをさせられる状況はストレスでしかなかった。精神的つらい状況であった。


「しょうもねー。今日も本当に疲れた。まじでこの世の中間違ってる。おもんねー。」


そんなどうでもいいことを呟いてふと時計を見ると23:30を示していた。


「やべ、そろそろ帰らないとな…。」


そう独り言を呟きつつ、研究室を後にした。


大学から駅までは大きな道路がある。この時間になると流石に車がないので、信号を確認してからすぐに駅に向かって歩いた。


いつものような日常であったため油断していたのか、疲れていたのかわからないが左側から大きな光を感じた。その光を感じた瞬間、浮遊感と大きな衝撃とともに暗い空が目にうつった。

長い間眠っていたのか、曖昧な状況で僕は目を覚ました。

目を開けるとある書斎のような部屋にいた。その部屋は、机が一つあり、本がない本棚に囲まれてる。状況判断するために、周りを観察していると机の上に一冊の手記を見つけた。

僕は、その手記を開いた。


『怖い魔法』


手記の最初の1ページには読みにくい文字でそうか書かれていた。


その手記を読み進めていった。



「そういうことだったのか。」



私は、この手記を読み何もかも納得した。あまり人生が楽しくなかったからか、この先起こることが待ち遠しいような気がした。


だが、前と同じようにここから消えたいと思った。

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