EPILOGUE★

俺を助けに来て以来、イオは塩対応ではなくなった。

むしろ俺が頼まなくても、ギルドで魔族討伐の話を聞いて助けに来たりもする。


「夕食に呼ばれても行かないけど、エカに危険が迫ってるなら行くよ」


と言うイオの腕には、相互転移の腕輪が装着されていた。

完全回避をもつ転生者は、前世と同じく俺を護ると言う。

それはとても頼もしく、嬉しくも感じる。


でも、出来れば夕食も来てほしい!


「イオ! 今日こそ連れて行くぞ」

「えっ?!」


世界樹の森、神々が作り出す修行の空間出入口付近。

剣術修行を終えて出てきたイオを、俺は抱え上げた。

加速魔法を使って逃げたりしないように、しっかり抱き締めた状態で歩き出す。

まあ、仮に逃げたとしても、相互転移の腕輪で追い付くけどな。


「おいおいおい、勘弁してくれよ」

「駄目だ。観念しろ」


暴れて腕の中から抜け出そうとするのを、しっかり抱き締めて阻止する。

放せ放せとグーで殴られても、顎に頭突きを食らっても、俺は耐えた。

軽傷なら治療できるフラムが協力して、俺のかすり傷は全部完治させてくれた。

イオはフラムが治せないようなダメージは与えてこない。


「やめろ。行きたくない」

「なんでそんなに拒絶するんだよ」

「家族のフリなんかしたくない」

「なら、友達の家に泊まりに行く感じでいいから来い」


言い合いながら実家に到着。

飛び出すように出迎える母さん、後から来た父さんとは打ち合わせ済みだ。


「やっと来てくれたのね」

「おぉっ?! やっと来たか!」


少々強引ではあるけれど、両親と俺の3人がかりでイオにゴハンを食べさせる。

家族揃って風呂にも入った。実家と俺の家の自慢は風呂がデカイことだ。


「じゃ、俺はソナと一緒に寝るから帰るよ」


風呂を済ませて、俺はイオを両親に預けて帰宅した。

恨めしそうに俺を見送るイオは、残念ながらその日の夜に脱走してしまったけど。

いつか家族として寄り添える日がくると信じよう。



※イメージ画像

https://kakuyomu.jp/users/BIRD2023/news/16818093075125403941

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