~Secret Story~

Secret Story01~ジークフリードep.01~


「私に用があると?」

書斎で父カナンと話していた

ジークは疑問を口に出していた。


「そう、なんでも

ダンジョン崩壊に関して

手伝いたいと先方から

話をもらってね。今の管轄は

ジークだから聞いてみた方がいいと思ってね。」


現在のアルカナイン公爵領は

疲弊していた。

ダンジョンの崩壊

それにより各ダンジョンにも影響が出ており

ダンジョン都市と呼ばれた

アルカナイン公爵領は危機に陥っていた。


(今は、ダンジョンへ目を向けるのは悪手だ。)

既にジークの考えではダンジョン産業よりも

農地開拓と観光産業へと舵を切る方向へと進んでいた。

また、かねてより裏で動いていた

も増えそうな予感がしており

辟易していたため断ろうかと思っていたジーク


「わかりました。相手は誰なんです?」

貴族どもならな断ろうと思っていたジークだったが


「エリスちゃんだよ。

ジークに魔法を教えていた。」

想像を超える大物の名前に

ジークは少し驚いた。


「久しぶりですね。急にどうしたんですか。」

ジークの疑問はもっともだった。


「どうやら、ダンジョン関連の

話の裏に何かありそうだったね。」

カナンの言葉に少し気を張るジークだったが


「わかりました。お会いしてみましょう。

日付はいつですか?」


「よければすぐにと言っていたね。

明日にでも調整してくれると思うよ。」


短期間ジークに魔法を教えていた

エリスはその後

発現した勇者の教育者として

頑張っていると聞いた。


そのエリスが協力するということは

何かあったのか。

ジークは考えながらも

その日はせわしなく

動き回り自室で少し休憩していたジークは

気づいたら翌日になっていたことに後悔する。


「エリス様がいらっしゃいました。」

ルイスの言葉にハッとし

扉を開ける。


「また、夜更かしですか。

お体に障りますよ。休んでください。」

ひどい顔になっているのだろう

ジークの顔を見たルイスは

心配そうな顔でこちらを見つめる。


「最近は忙しくてな。

落ち着いたら休むから安心してくれ。」

ジークの言葉に

頭を下げるルイス


応接間へと案内され

扉を開けると

久しぶりに見るエリスが座っていた。


「ひどい顔ね、、。ちゃんと休んでいるのかしら?」

エリスは心配そうな顔でジークを見ながら

魔法をジークにかける。


「リフレッシュにクリーンか。

助かった。ありがとう。」

少し体が楽になったジークは

エリスにお礼を言う。


「なら、久しぶりに

ジークの入れたお茶を飲みたいわね。」

エリスがニコニコしながら

ジークへと問いかける。


「あまりうまくないぞ。それでもいいなら。」

そう言ってルイスに退出を促す。


「ジーク様は疲れていらっしゃいます。

私が入れた方がいいと思いますが。」

ジークとエリス両名に発言したのか

ルイスは少し言葉がきつかった。


「これくらい、大丈夫だ。

心配してくれてありがとう。」

ジークはお礼を言って不服そうな

顔をしたルイスを下がらせた。


「遠回しに言わなくても

ルイスに下がれと言えばいいだけの

話だったろうに。」

エリスの考えを読み行動したジークが

苦言を呈する。


「あら、あなたと二人きりに

なりたいと言ったら

それはそれで誤解を生むでしょう??」

少し艶めかしく笑うエリスに

見惚れたジークだったが

紅茶を入れる準備を行い

ティーカップへと注ぐ。


「それで、話とはなんだ。」

席へと腰を下ろしながら

ジークはエリスへと質問する。


「えぇ、実はー」


そこからエリスの話は始まった。

勇者の育成を行っているが

思考誘導をかけられているのか

貴族の言うことを真に受けて

行動をしていると言うことだった。


「悪行に加担していると。」

ジークは詳しい話を

エリスから聞き簡潔に答えを出した。


「えぇ、すでに私の言葉すら届いていないようね。」

ため息をついたエリス。


「そうか、私は今

領地の問題で忙しいんだがな。」

ジークはこれ以上悩みの種を増やすな

と遠回しに発言する。


「あら、そうかしら?

これから裏の方を動くのではないかしら?」

ジークの考えを先読みされ

ジークは少しムッとする。


「すべてお見通しか。何をすればいい?」

ジークははぁとため息をつきながら

エリスの顔を見る。


「このリストに載っている人物を

私と一緒に偵察、場合によっては、、、。」

証拠が残らないように殺害と言いたいのだろう。

このリストに載っている人物は

カナンの手のものが集めてきた

ディアブロとの関係がある

貴族のリストとほぼ同じであった。


「わかった。しかし

こんなことをすれば

お前の身も危ないんじゃないか?」

ジークの発言にエリスは


「もう、そんなこと言ってられないわ。

この国は既に腐敗しおかしな方向へと向かっている。

一緒におかしな方向へと進むより

殺された方がましよ。」

ニコッと笑うエリスはどこか悲しそうだった。


「そうか、決行はいつだ?」


「すぐにでも、こうしている間にも

悪の手は侵食しているわ。」


随分と気が早いなと思うジークだった。



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