花を束ねる

理柚

春の花束を

きみに

春の花束を贈りたくなった

薄衣の花びら

強く抱くと

くしゃりと潰れてしまうような

緩やかな午睡のような

夢のなかでみる夢のような


いきなり花を贈れば

きみはそれをどんなふうに受けとり

どんな花瓶に飾るのか

わたしのことを

思い出すのか

わたしの何を思い出すのか

そこにあるのは

微かなよろこびか

重々しいとまどいか


わたしがきみの中に

居なくてもいい、とは言えない

厚かましくも忘れるな、という

おぞましい呪縛

そのために

春の花束を贈る

薄ら寒い冬の洞窟から

抜け出せないでいる

わたしから

きみへ


少しずつ言葉が枯れていく

きみはこれからが開花のとき

いいから黙って

混じりあう香りに顔をうずめて

この花束を受け取ってくれないか

もう少しだけ あと少しだけ

わたしを生かすために

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