第6話 5センチの決まり事

 家主さんが、細長い棒をもって、むずかしい顔をしています。

 なにをしているのですか?


「今ね、5センチを測っているんですよ。このくらいかな」


 5センチって、ちょっとですね。


「そうだね。5センチのケーキなら、すぐに食べ終わりますね」


 ひと口で食べおわっちゃいますよ。


「5センチのピーマンは?」


 それは、、、ぼくにはちょっと大きいです。


「マルさんはピーマンが苦手ですもんね」


 同じ5センチなのに、少なかったり多かったりするのって、不思議ですね。


「そうだね。

 でもね、何を測っても、5センチはいつでも5センチなんですよ。

 みんなが混乱しないように、そう決めてるんですよ」


 変えちゃダメなんですか?

 ピーマンだけ、短くしたいのに。


「そういう時は、みんなで話しあって決めないといけないね。

 自分が嫌だからって勝手に変えたら、他の人が混乱しちゃうからね」


 じゃあぼくは、ピーマンの5センチを短くできないか、お願いしてみます!



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