第15話 流れに任せて婚約をする事になったのなら。
大学の卒業式。
普通いるか?
両親と妹が来る。
そして彼女と彼女の両親とその妹までくる奴なんて居るか?
秋から冬は嫌な事もあったが楽しいことしかなかった。
皐月さんとの毎日は充実のひと言のみで、アルバイトも充実していた。
だが学校は嫌な事の連続だった。
香川、徳島、愛媛、高知の仲や状況は最悪の結果を迎えていて、見ていられなかった。
絶縁・絶交をしたのに聞こえてくるくらいだった。
香川は第一希望の会社の内定取消しが影を落とし、なにをどうやっても飲酒運転の交通事故で助手席にいた事実が付き纏い、就職浪人になってしまう。
今も大学にもろくに来ないで就活を続けている。
徳島は少し違っていたが、前回通り愛媛と付き合うと、前回とは違うが2人して香川と高知を見捨てた。
だが、2人の仲は前回ほどうまくいかない。
香川は構内で愛媛に対して執着を見せて、拒む愛媛への仕返しに、性生活の内容を暴露して恥をかかせて、徳島に詰められていた。
だが香川からしたら事故の時には付き合っていたのに、事故が起きて就活生に戻った途端に一方的に捨てられて、乗り換えた相手が徳島なら面白くないだろう。
飲酒運転で免許取り消しになっただけで済んだ徳島と、助手席にいて運転していなかったのに内定取消しになった香川。
それだけでも問題なのに、香川は次の就職すら決まっていない。
まあ聞きたくなかった愛媛の性癖は多様性と言えばそれまでだが、前の彼氏に仕込まれたソレを学校でバラされ、更に徳島はまだソレを知らなかったらしい。
バラされた愛媛は単位こそ足りていたから良かったが、卒業式間際まで学校に来なくなった。
それにより孤立した高知は完璧に手遅れになり、親バレをしてから先が悲惨のひと言だった。
彼氏は逃げる。弁護士を立てての認知にしても、訴訟にしても認めようとしない。
内容証明郵便すら受け取らず、実家の親に送達してようやく親が受け取ったが本人は出てこない。
認知を拒み、弁護士を用立てて逃げの一手を打つ。
それにより高知は全て手遅れになり、せっかく内定が決まった第一希望の会社にも行けなくなった。
前の世界なら人生ロンダリングで子供の事も何も無くなって、新しい彼氏と結婚式までしていたが、それはもう存在しない世界になった。
この先が意味不明だが恨まれた。
元を正すと秋田紅一が悪いと三者三様、この場合なら四者四様に言い出した。
「そもそも運転手のくせに運転しなかった。だから免許が無くなった」と言う徳島。
「お前が運転しないせいで、飲酒運転が見つかって内定は取り消されて、今も就職活動、彼女まで徳島に取られた」と言う香川。
「アンタが運転しなかったせいで事故が起きて、飲酒運転がバレて私は性癖を学校でバラされる羽目になった。もう学校に行けない」と言う愛媛。
「皆がバラバラになったから中絶費用を出して貰えなかった。全部秋田くんのせいだ。私の人生を返して」と言う高知。
知らんがな。
自業自得じゃ。
どいつもこいつも何を言っているんだアホンダラ。
44歳の身空でも腹が立ち、呆れ返り、何と愚かな22歳だと本気でそう思ったが、狂った愛媛と徳島は損害賠償請求だと言って、にわか知識で俺を訴えると言い出してきた。
辟易としながら学校に報告連絡相談をして、顛末を皐月さんに言ったら、皐月さんは本当に女神だった。
思いもよらない解決方法を取ってくれる。
まずは全身全霊で癒してくれた。
休みの日に一日中抱きしめてくれて、「秋田くんは何も悪くないよ。多数決に押し切られちゃダメ」と優しく言ってくれる。
そして、面倒ごとに巻き込みたくないと思っていて、黙っているつもりだった両親に連絡をして、さらに上弦父母にも相談をしてしまう。
恥ずかしかったが嬉しかったのは、上弦父が「ウチの息子になんたる暴言だ」と憤ってくれて、わざわざ仕事を休んで学校に乗り込んでくれた。
息子扱いに嬉しくなり、更に両親まで乗り込んでくると、「皐月さんに感謝するんだぞ」、「本当よ、そんな変なトラブルに巻き込まれて、黙ってるなんてまったく!」と言う。
その後で、「すまないね。皐月さんが紅一といてくれて良かったよ」、「本当、ごめんね。こんな大変で面倒な子だけど、これからもお願いしていい?」と両親が皐月さんに言う。
皐月さんは感涙して「私こそ秋田くんにはいつも助けてもらってるし、ずっと一緒にいたいから、秋田くんのことでは逃げたくなくて、ずっと支えたくて」と返してくれる。
この後は学校を仲介して、損害賠償請求だと騒いだ徳島と愛媛の両親と会う事になり、夏の話から始まり、逆に全てが明らかになると平謝りをされて手打ちになる。
だがまあ、それは少し先の話で、今はそれどころではない。
何ともまあ、仕方ないのだが…。
お互いの両親の顔合わせがこんな形で済んでしまい、なし崩しは嫌なので両親たちは少しだけ放置をして、皐月さんと少し離れた物陰に行く。
「皐月さん。ありがとう。それで、こんな流れは嫌なんだけど…。それでもこのタイミングしかないから」
そう言ってから、格好も何もない中で「婚約…してくれないかな?本当は結婚してくれないかな?って言いたいんだけど、まだ働きにも出てなくて、格好つかないから、まずは婚約。それで皐月さんがOKなら父さん達も居るから2人で挨拶したいんだ」と言うと、皐月さんは涙ながらに「嬉しい。本当だよね?本気にしていいよね?」と言ってくれて婚約をした。
2人で両親達の前に出て、「こんな変な流れになってしまったけど、皐月さんと結婚をさせてください」と上弦父母に言い、「お義父さん。今日は仕事を休んでくれて学校まで来てくれて嬉しかったです。まだ働いてないのに結婚なんて口にするのもおこがましいのですが、前提にお付き合いから始めさせてください」と上弦父に言う。
皐月さんは「お願いお父さん、お母さん」と言ってからウチの両親を見て、「頼りないと思われるのは承知してますが、どうか秋田くん…紅一さんとの結婚をお許しください」と言ってお辞儀をしてくれた。
どちらの両親も歓迎してくれて、その流れでバイト先の店長にまで挨拶をすることになり、店長は目を丸くして「何があったの?後で話して」と言いながら応対してくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます