49:つよめなようじょ


「ちッ! あのクソババア殺し損ねた……。」


「ティアラ。それ私にも刺さるから辞めろ。」


「あ、ごめんオリアナさん! 私全然師匠のこと“クソババア”とか思ってないからね! お婆ちゃんとは思ってるけど!」


「そーかい。」



あの年増アイドルとの戦闘、あいつ的確に自身へのバフ切り替えてきやがるし、ハート型とか星型の魔弾飛ばしてきて本当にうざかった。最終的に痛み分けで、殺し切れずに逃がしちゃったし……! こんど見つけたら確実にこの世から抹消してやる。


っと! 今はそんなこと考えてる場合じゃなかったね。



「新人さんたちの研修会の準備しなくちゃ~!」


「切り替わり早いな。……んで、何するんだ?」


「とりあえず契約関連の再調整と、業務の説明。最後にダンジョンでオリエンテーション、みたいな? 彼らにダンジョン潜らせるのは確定なんだけど、もう少しレベル上げさせた方がこっちも安心だからね~。」



ソーレちゃんとルーナちゃん。あの美人さん姉妹の方はオリアナさんのブートキャンプ一直線なんだけど……。のこりのモヒカンズは違う。もちろんある程度はオリアナさんの指導を受けてもらった方がいいだろうけど、彼らはある程度自分たちの戦い方を持っているみたいだし、職業も全員が下級職である事が判明している。つまりまだ戦力化できていない姉妹と比べ、ある程度戦うことが出来るのだ。


そんな子たちを、ただ放置するのはもったいないため、私はダンジョンに潜らせるつもりでいる。現状戦場に出る必要性がない以上、傭兵ってのは金食い虫だ。体動かさなきゃ鈍るし、戦闘勘も消えていく。つまり何かしらの仕事をしておく必要があるってわけ。



(ということで彼らは、ある程度の研修を受けさせた後。階層を指定して延々とダンジョンへ。レベリングと金稼ぎを並列してやってもらうつもり。)



契約内容としては……、討伐した魔物の素材とかは一旦全部こっちで回収して、その後こちらで現金化し、給金として再分配する。そして何か宝物を見つけた際は、そのまま自分で使ってもいいし、私に売りに来てもいいって感じ。


この世界はゲームではないため、買取価格が常に変動している。市場が動いてるってことだ。


けれど、ギルド側の責任者であるセルザさんと私がお友達関係である以上、そのあたりの調整や素材の定期納入などの契約を結ぶこと。つまり単純にカウンターで買い取ってもらうよりも、より高価で売り払うことが可能ってわけだ。



(会議室ぶっ壊したからクソ怒られたけど……。ボス素材を毎日決まった量卸す私の評価は依然として高いみたい。だからこそこういうことが出来る、ってわけね。)



まぁそれだけじゃただの冒険者ギルドと変わらないから、私が持つ『原作知識』とかから魔物との戦い方や弱点の情報をプレゼントしてあげたり、パワーレベリングのお手伝いをしてあげることで、私に雇われるメリットを作る予定。あ、モヒカンズには馬買ってあげたりとかの報酬もちゃんと考えてるよ。



「なるほどな……。確か、50人くらいだったか? あの奇抜な奴らは。5,6のチームに分けて迷宮を巡らせつつ、お前は“階位”上げの続き、私はあの姉妹の鍛錬。この三つを並行してやっていく感じか。」


「だね。まぁオリアナさんからすれば私が暴走しないか心配だろうし、後ろ二つは一緒にやることが多いだろうけど。」


「……解ってるなら暴走するなよ。」



いや~、それは無理な相談ですね。だってティアラちゃんだもの。むしろした方がご愛敬じゃない?



「余所様に迷惑かけるなバカ。」


「でもオリアナさんなら受け止めてくれるでしょ?」



笑みを作りながら、彼女の顔を覗き込む。一瞬だけ頬が赤くなるような兆しが見えたけど……、即座にげんこつ叩き込まれちゃった。いたい。まぁ暴走はするけどやり過ぎないようにはするね。ティアラちゃん基準でだけど。



「さ! それはともかく研修会だ! オリアナさんの強さはみんな解ってるだろうけど、ティアラちゃんのパワーはまだ見せれてない! ダンジョンで強さ見せつけてチームのボスって認めさせちゃうぞ!」


「オーガ相手にやるのか?」


「そ!」



さっき言った内容とかはすでに書面でまとめてある。研修会の最初はそれを使って契約の再調整をする予定だけど……それが終われば楽しい楽しいオリエンテーションだ。ティアラちゃんのパワーを見せつけて従わせたり、ちょっとだけパワーレベリング体験させたり、勝手に転職しないように指示したり、アユティナ様の元に連れて行って改宗させ……。おっと、最後のは秘密だった。


あ、ちゃんとあらかじめ『お邪魔します!』ってお伝えしてるよ!



【ちゃんとお掃除して、服とか髪とか整えておいたよ。威厳ばっちり。】


(ありがとうございます、アユティナ様!)



信者たくさん獲得しちゃうぞ~!



「……絶対なんか企んでるだろお前。」


「そんな滅相もない!」



あんなクソ女神信仰するよりもアユティナ様の方が何百倍もいいって! というか比べるのが失礼!


……あ、そういえばさ。あの姉妹ちゃん。ソーレちゃんとルーナちゃんはどんな感じだった?


確かあの面接の後声かけに行ってさ、そのまま広場に行って日が沈むまで二人の素質とか能力とかのチェックしてくれてたんでしょ? どうだった? どこぞの“諸突猛進子爵令嬢エレナ”みたいに才能マンだった? 農村出身って言ってたし、今のジョブは『村人』だと思うけど……。たまに貴族じゃないのにバカみたいな強さ持ってる子いるからさ~。



「あの二人か。そうだな……、まぁ普通。可もなく不可もなくと言ったところだろうよ。私に憧れてるのか槍を使ってみたいなんて言っていたが、そっちの才能は0。どっちかというと剣使った方が伸びるタイプだな。まぁ体の質はお前よりもいいだろうし、努力次第で跳ねるだろ。」


「……肉体の性能負けてるの?」


「うん? あぁそうだな。今の出力じゃお前の方が上だろうが、同じ“階位”に成ったらあいつらの方が強くなると思うぞ。」



……そうなのね。ティアラちゃん原作に出てこない普通の女の子に肉体の才能負けてるのか。かなち。



「そうだな……。姉の方がセンス下の中で、肉体は中の上。妹の方がセンス下の上で、肉体が中の中って感じだ。ま、安心しとけ。本人たちもやる気だし、お前の手足に成れるよう育ててやるよ。」


「あ、ありがとう……でいいの? ち、ちなみにティアラちゃんのはどんな感じなんですかね?」


「センス上の中、肉体は下の下。ナディが言うには精神性は満点。」



あ……。オリアナさんから見ても私の体って終わってるのね……。いや自覚はしてたけどなんか悲しくなってくるな。作中でも最低レベルの成長率だったし、もともとの体クソよわだし。レベリングと装備でごまかしてるだけだし……。こりゃ本格的にテコ入れ。ダンジョンでステータス向上系のアイテム取りまくるしかないな。


いいからドーピングだ!



(でもアレって基本50階層以降だったよね……? とりあえずさらに下に行っても対応できるようレベリングしなきゃ。)



傭兵ちゃんたちのレベリングに、私のレベリング。部隊運営とか、お金の管理とか色々やらないといけないこと多いけど……、とりあえず一つ一つこなしていかなきゃね♡









 ◇◆◇◆◇








あの日。私たちは、真なる神と仕えるべき主を知った。




私、ソーレと妹のルーナは、元孤児の傭兵だ。


それまで住んでいた村を帝国に滅ぼされ、生き残ったのは私たち二人だけ。オリアナ様に助けて頂いたおかげで死なずに済んだし、その後生きるために必要な食料を、お金を頂いた。あの方は他にも多くの人々を救っていたらしい、だからこそ自分たちのことを覚えていなくても仕方ないと感じた。


けれど、あの方が覚えていなくとも、私たちはこの恩を返さないといけない、ずっとそう思っていた。


だからこそ、私たちはあの応募を受けたし、あの人の元に行くことを決めたのだ。



「お姉ちゃん……。」


「大丈夫。……そんなに悪い人たちではないみたいだし。」



面接があった次の日。私たちは迷宮都市の外にある、広場に集められていた。そこにいるのは私達姉妹と、威圧的な格好をした奇抜な髪型の男たちが50人くらい。オリアナ様のお孫様がスカウトした方々であるのは間違いないのだけれど……、とてもすごい格好で、少し気の弱いルーナはそれに圧倒されている様だった。


けれどどうやらあっちも対応を決めかねているのは同じようで、少し耳を傾けてみればこんな声が聞こえてくる。



『お、女の子だ。』

『姉妹かな?』

『俺たち怖がられてね?』

『悪いことしちゃってる……』

『こういう時どうするのが正解?』



うん、やっぱり悪い人たちではない。その服装や髪型の良さは全く理解できないけれど、多分そういう人たちなのだろう。ルーナも、それを理解すれば怖がらないようになれるはずだ。


そんな形で、お互い顔色を疑う時間が過ぎていたころ。見上げるほどに大きな馬と共に、お孫様がこの場に現れた。ごっめーん♡ という快活な声を上げながらその巨大な馬から飛び降り、どこから出したのかいくつかの紙束を私達に手渡してくれる。


昨日、オリアナ様に少し剣の手ほどきを受けた際お聞きしたのだが……。



『雇い主は私じゃなくて、あいつだ。』


『お孫様、でしたか?』


『……あぁ。誰に似たのかまぁ色々とアレな奴でな。悪い人間ではないんだから、価値基準が少し私らとは違うし、精神性も“戦闘”に行き過ぎている。死にたくないという感情と、死地でこそ高揚する。まぁそんな相反するはずの感情を両立させてるのがアイツだ。……支えてやってくれ。』



私と、ルーナ。私たち姉妹の雇い主はこの方で、オリアナ様から支えてくれと言われた相手。


妹と顔を見合わせ、頷き合い、気合を入れながら、彼女の話に耳を傾ける。



「全部手書きだから腱鞘炎になりそうだったよ、あはー! コピー機欲しい。ということでソレ大事な書類だからちゃんと無くさないように持っててね。んじゃページめくって? お給料のこととか書いてあるから~!」



読みやすい、きれいな字。そこに書かれていたのは、怖いほどに細かく定められたお金の話。……まだ経験は浅いけれど、基本的に傭兵の仕事は口約束で決まる。だからこそ踏み倒されることもあるし、想像よりもお給金が安いことなんてザラにあった。雇う側と、私たち。力関係はどうしても前者にあるのが普通。



(お姉ちゃん、これって……、)


(うん。貰い過ぎだと思う。)



私達がしてもらう契約というものは“育成契約”というものらしい。一定期間お孫様の傭兵として雇われ続けないといけないようだが、彼女が求める強さになるまで育ててくれる上に、雇われている期間中は生活に不自由しないだけの給金を頂けるとのことだ。


こんなの、見たことない。思わず紙束から顔を上げ周囲を伺ってみれば、あの奇抜な男たちも同じような顔をしている。たぶん私たちと、あの人たちの契約内容は違う。けれどもらい過ぎと思うほどなのは、同じようだ。



「うにゃ? 足りなかった? ごめんね、ちょっとそれ以上はティアラちゃんが強くならないと難しいから……。ま! 私が強く成ったり、君らが頑張ってくれたら絶対昇給するからねー! そこんとこよろしく! んじゃ次行ってみよ! みんなカモ~ン。」



憧れの人で、恩を返さなければいけない相手。その人の元で働けるだけでお給金なんていらないのに、さらに育ててもいただける。つい貰い過ぎです、と言いそうになったが、お孫様に両手を広げながら止められてしまう。そしてぴょいッと巨大な馬に飛び乗った彼女は、迷宮まで私たちを連れて行かれるようだった。


移動中、ずっと黙りっぱなしでは失礼かと思い鼻歌を歌っていらっしゃるお孫様に、二人で声をかけたのだが……。



「あ、あの。お孫様。今からどこに行くのでしょうか……?」


「お孫様? あ、私か。ティアラちゃんでいいよ~。今から行くのはダンジョン。ソーレちゃんとルーナちゃんはちょっと違うことするだろうけど、後ろのモヒカンズは基本ダンジョンで頑張ってもらう予定だからね。その下見を兼ねて、ティアラちゃんの強さ見てもらおっかな~って。」


「強さ、ですか?」



そうそう、案外私戦えるんだよ、と続けるティアラ様。私達姉妹も、そこまで強い方ではない。昨日オリアナ様から『まぁまぁ』という評価を頂く程度の存在だ。だからこそ努力でその差を埋めようと決めたのだけれど……。ティアラ様の腕は、そんな私たちのものよりも細い。


肌も髪も少し不安になるような白さ、体つきも病的なまでに細い、というわけではないが、やはり戦う者の体には見えなかった。吸い込まれるような青い瞳と、そんな体。まるでお人形のように存在が、私たちの雇い主で、仕えるべき人。


ティアラ様は自信満々という感じだったが、私もルーナも同じ不安を抱いたのだろう。何かあった際はこの身を投げ出してでも守らなければいけない。そう決意し、ダンジョンへと足を向ける。



「あ、いたいた。"お婆ちゃん"~!」



それから十数分後、ダンジョンの入り口に到着すると私たちの知る装備を身に着けた、オリアナ様がそこに。穂の部分を白い布で包み、黒く塗られた柄の槍を持ったあの方は、軽く手を上げながら私たちを迎えてくださる。



「説明とかは済んだのか?」


「うん!」


「ならいい。今から30階層に行く。ボス部屋だからすぐに戦闘があるわけじゃねぇ。気ままについてこい。」



オリアナ様はそう言うと、すぐにダンジョンの入口へ。ティアラ様も大きなペガサスに乗ったまま、それに続く。思わず顔を見合わせていしまう私たちだったが、付いて行かなければ何も始まらない。遅れぬように駆け足でお二人を追いかけ、入口である黒い穴へと手を伸ばす。



「わぁ。」


「これが、ダンジョン。」



景色が、変わった。


さっきまでいたはずの町の景色が消え、周囲が土壁に囲まれる。ティアラ様の言う“モヒカンズ”? の方々の中にもダンジョンが初めての方がいらっしゃったようで、私たちと同じように物珍しそうな顔で周囲を見渡していた。


そんな様子を面白そうに眺めていらっしゃったティアラ様が、口を開く。



「んじゃちょっと戦って来るからみんな見学しててね。あ、タイタンも今日は出番なし。」


「ブブブ!」


「じゃあ色々終わったら付き合ってやるからさ、今だけ我慢。な?」



ティアラ様は、ペガサスを操る『空騎兵』という職に就いていると聞く。私たちにはただの鳴き声でとしかわからなかったが、やはりそういう職に就くとペガサスたちの言葉が解る様になるのか。怒りの声を上げたようなペガサスを優しく撫でてやりながら、ティアラ様が飛び降りる。



「あ、あの! ティアラ様! 30階層と言えば、オーガが出てくると聞きます。さすがにお一人では……。」


「およ? 心配なのソーレちゃん。大丈夫だって! ほら師匠も止めてないでしょ? んじゃ“ドーン”!」



私にそう言いながら、ボス部屋へと続くドアに手を当てた彼女。


その瞬間、信じられないほどの轟音と共に、その扉が開け放たれる。



(……もしかして、押しただけで?)



ダンジョンに関して、私たち姉妹は全くの無知だ。昨日オリアナ様から『ダンジョンに行くかもしれない』と聞き、急いで各階層に出てくる魔物たちの情報を頭に入れたくらい。けれど先ほど目の前で開け放たれた扉が、とんでもなく頑丈そうで、私一人ではどう足掻いても開けられそうにないほど重いことは、見てわかる。


思わず扉の方を見れば、何かが“突き刺さった”かのような跡が残っており、おそらく金属製であったであろう扉が、大きくへこんでいる。


もしやティアラ様は、押しただけであれほどの威力を?



「きょうも元気そうだね~、オーガ君。遊びに来たヨー!」



私がそう思った瞬間、鼓膜がティアラ様の声を拾う。そしてその直後、聞こえるのはオーガの雄たけび。たった一体で村どころか街すらも滅ぼしてしまうかもしれない化け物。鬼の魔物が、そこに。


タダの兵士では対応出来ず殺されてしまい、熟練の兵を集め、囲んで攻撃することでようやく勝てるような相手と聞く。私達なんか一瞬で殺されてしまうような相手に、あの体の弱そうなティアラ様お一人で?



一瞬ですら稼げるか解らない。けれど少しでもお役に立てるのならば。



私とルーナの思考、そしてその結論に至ったのはほぼ同じ。同時に一歩踏みだろうとした私たちだったが……、オリアナ様に止められる。



「まぁ、みとけ。」



オリアナ様がそういった瞬間。戦闘が、始まる。


どこからか巨大な大槍、私達では到底持つことが出来ないであろう槍を取り出したティナ様がオーガへと切りかかる。それを拳で受け止めるオーガ。その硬い体皮と、鍛え上げらた腕によって繰り出される拳の奔流を、私たちの主は涼しい顔でさばいていく。


槍を振るい、拳とぶつけ、少し押し返す。


私達にご自身の強さを理解させるように、幾ら攻撃に転じられるような隙を作っても、踏み込まないあのお方。


その肉体からは、想像できないほどの、戦闘力。



「うひー。やっぱコイツ攻撃重いや。お手々しびれちゃう。素手だから何とかなってるけど、武器持たれたら押し切られちゃうかも。っと、んじゃもうちょっと頑張るとしますかね。」



私達の所からは聞き取ることが出来なかったが、ティアラ様が何か言った瞬間。それまで保たれていた均衡が、変わる。


自分が押されていることに気が付いたのであろうオーガが、声を上げながら拳を振り下ろす。


が、それを槍の柄で受け流したティアラ様は、空を舞う様に体を回転させ、遠心力を乗せてその振り落とされた腕に槍を当てる。直後金属と金属がぶつかるような音が聞こえ、同時にオーガの腕は、逆方向に曲がる。一撃で、骨を折ったのだ。


そこから先は、ただの蹂躙だった。


腕を折られたことにより攻撃の手段を失ったオーガは、次々とその肉体を破壊されていく。無事だったもう片方の腕も折られ、その真っ赤な肉体はより強い血の赤によって染められていく。始まってから数分も経たぬうちに魔物の体がボロボロとなり、地面へと倒れ伏した。



「終わりー! どうだったー!」



そんなオーガを見て、こちらへと振り返りながら手を振る彼女。その戦いに思わず見惚れてしまい、何も返せない私たち。脳で、そして心で理解できた。あの方は見た目通りの方ではない、英雄でいらっしゃるオリアナ様と同様の、圧倒的な強者であると。


私達がそう思った瞬間、ティアラ様の顔に、影がかかる。



「ッ!」



最後の力を振り絞ったオーガが、立ち上がり折られた腕でティアラ様を……!



「ありゃ、まだ生きてたか。失敗しちゃったなぁ。【オリンディクス】、お願いね。」




スキル『開闢の一撃』




ティアラ様が何かを呟いた瞬間、急速にその槍が熱を帯び始め、赤熱し始める。それを持ったあのお方はまるで舞を踊るかのようにくるりと回られ、こちらに軽く一礼。


背後にあったその鬼の巨体は、斜め下から上へと完全に切断されており、ゆっくりと倒れて行った。



「ふぃ。これにて前座終了! さ、次はメインと行きましょうか!!!」



(メイン?)



私がそう思った瞬間。ティアラ様の足元に何か板の様なものが出現。そこから発せられた光は、一瞬のうちに私たちの体を包み込んでいき……。



私達は、神に出会ったのだ。



ーーーーーーーーーーーーーー




〇ティアラ


何百回も戦ってるから攻撃パターンとか解ってるし、その上【オリンディクス】使ってるから……。負ける方がおかしいというか……。あ、流石に普通の槍だと重さが足りなくて力負けするし、オーガの体にダメージ与えられないから普通に負けて、R18+R18Gルート一直線です。怖いねぇ。

あ、ちな扉開ける時は“射出”使いました。ちょっとオーガ君に押されたら戦闘中にも“射出”使おうかと思ったけど、……槍一本で何とか出来て満足! 次はアユティナ様の所に行きますよ~!


〇オリアナ


【オリンディクス】の性能で無理矢理やってるなアイツ。もうちょっと筋トレさせないといけないな。オーガぐらい素手で握りつぶせるようになっとけ。……私? 出来るぞ。まぁ昔に比べたらだいぶ訛っちまってるから時間はかかるだろうがな。


〇新人さんズ


ようじょつよい

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