その23.自分好みでキャラクターを作る場合の考え方

 前回まででキャラクターの作り方に関しての大まかな流れを説明しました。


 今回からの内容は、それを踏まえた上でいかに読者にアピールできるキャラを作っていくか、その具体的なアプローチについて色々なところで語られている話をまとめたものになります。



 ちなみに、『偉そうなことを書いてるけど、つーてお前、ヒットキャラとか出してないじゃん』みたいなことを感じる方もいるでしょう。ごもっともです。当然の感想です。


 とはいえ、例えば銃の構え方を知っているからと言ってうまく撃てるわけではないですが、それでも構え方を知らなければ射撃練習すらできません。また『今の自分のやり方で大丈夫なのか。他にないのか』と模索している方も少なからずいると思われます。


 今から語られる内容は、自分なりのキャラメイキングの手法を確立していない、または不安のある人に対してのある種の提案、と思って頂ければ。



 さて、アピールできるキャラクターをどう作っていくか。

 それについては、主に以下の二つの方針があると思います。


○視聴者分析をしてその好みにそったキャラを作る

○あくまでも自分の好みを前面に押し出したキャラを作る


 そしてどちらの方針を取るにしても『他作品視聴と感想の確認』および『試行錯誤』の積み重ねが必要です。(ただし、その目的や意味合いは方針によって多少異なってくる)



 創作を始めたばかりの方は、(自分の好みを把握できているのなら)まずは『自分の好みのキャラ』を模索するのがよいかと思われます。


 その場合、基本むずかしいことは考えなくてOK。『自分が好きだということは、潜在的にそのキャラを好きな人が他にもいるに違いない』という仮定のもと、思うように欲望を前面に出しながらキャラを構築していきます。


 なぜ最初は自分好みの模索のほうが適しているのかといいますと、慣れないうちは少しでも魅力のあるキャラを作ろうと企画が堂々巡りになり、なかなか実制作に進めないケースが見受けられるため。

 その点、自分好みで考える場合は『自分が好きだからこれでいいんだ』で済ませられるので、そういう行き詰まりにおちいりにくいわけです。


 また一度分析手法が形になってしまうと、あとで自分好みを試そうとしても経験によって得た自分なりの定石がキャラに影響を及ぼしてしまう場合がありまして。そうなる前に純粋な感性をぶつけられるうちに試したほうが良い、というのもあります。


 またそういう意味では『他作品視聴と感想の確認』も最初のうちは軽く流す程度にしたほうが良いでしょう。特に、実制作に手をつけるのが怖くて延々他作品の視聴に逃げるような流れになるのは避けるべき。

 他作を気にするよりまずは自作品を完成させ、その感想を次の作品に反映させる。この試行錯誤のサイクルを作ることが先決でしょう。そしてそれが安定したころに、本格的に他作品視聴に入るわけです。



 その視聴の主目的ですが、自分好みの場合だいたい以下の2つになります。


○自分の好みの把握・強化

○今まで知らなかった・認識していなかった自分の好みの発見。



 まず好みの把握・強化ですが、具体的には『ウケている、または評価の高いキャラの中から自分の好みに一致するものを見いだし、良いところを取り込む』ことを行います。


 例えばツンデレみたいなメジャーなキャラ付けはだいたいの人が同じように描くと思われますが、それでも細かい表現で作者独特の持ち味が出ているはず。むしろそれがなければ、皆が描き尽くした感のある特徴だけでいまさら人気になりようがないわけで。

 そういう表現について、自分の嗜好に一致するものを吸収していくわけです。


 また逆に自分好みの人気キャラを見て微妙だと感じた場合――例えば『作者はこのキャラ付けの魅力を十分に引き出せていない』と感じたならむしろチャンス。その場合、足りない部分を自分なりに補強したキャラを自作品に出せば、より視聴者にウケる可能性があると思われます。


 自分の好みの発見を重視する場合、作品は『自分があまり見ないジャンル』を重点的に見ていったほうが効率的でしょう。

 それは単純に、自分の見なれた作品群よりそうでない作品のほうが新たな発見のできる可能性が高いということです。また、ストーリーを作るにあたっても収穫があるかもしれません。



 そうやって作品を見た後に視聴者の感想の確認に入るわけですが、その主目的は『作中のキャラがどう見られているか』を把握するためのものになります。

 その際、余裕があれば自分好み以外のキャラにも目を向けるとよいでしょう。キャラの魅力がそれ単体ではなく他のキャラとのかけ合いなどで発生している場合もあるので、そういったものも拾えればなおいいということです。


 その場合、見るポイントは『視聴者にいかに好かれているか』では不十分で『視聴者がいかに激しく反応しているか』である点は注意が必要。

 つまり『好かれているキャラ』だけではなく、例えば『激しく嫌われているキャラ』にも目を向けたほうが良いということです。そういうキャラは主人公の敵役としてうってつけですし、隠れた需要がある可能性も。



 以上のようなポイントを念頭に置きながら他作品の持ち味を拾っていき、自分の肌に合いそうなモノを自作品に取り込み、キャラを魅力的に磨き上げていきます。



 また自分好みの表現での注意点としまして、作者は自分の好みを露出するのを照れたり、変にカッコつけたりしてはいけない、というのがあります。


 具体的に言いますと、例えば描いている途中で『このキャラ、スゴい自分好みなんだけど、見ている人はドン引きするんじゃないだろうか』と感じたとき。

 考えた内容がやり過ぎに感じ、入れるかどうか判断に迷ったときはとりあえず入れるのが吉、ということです。


 少なくとも、ウケるかドン引きされるか試しもせずに自分の好みからずらし、作品にとがった部分が失われて他作品に飲まれ埋もれてしまってはもったいないかと。

 また体験談として語られる話を聞く限り、多くの場合その迷いは気にしすぎで、同じ波長を持った視聴者なら『これを待っていた』となるケースが多く見られます。


 とはいえそれでもたまにホントにやり過ぎてしまうケースも見受けられますが、そうだとしても没個性で埋もれてしまうよりやりすぎで空滑りして悪目立ちしたほうが記憶に残ると思われます。むしろ、その失敗談を自虐ネタとして視聴者にアピールする作家すらいるわけで。

 それに次回作で失敗を生かす場合も、中途半端なキャラへの個性の継ぎ足しを模索するより、いったん限界突破したキャラから徐々に要素を削り、落ち着かせたほうが早く対応できるでしょう。


 やり過ぎと感じても、まずはとりあえず迷わず採用するべきです。



 次回は、視聴者分析をしてその好みにそったキャラを作る方針に関して説明します。

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