第497話 原発は必要か、の話
関西電力の美浜原発の新設についての記事が出ていた。現行の美浜原発ではなく新設の話である。
美浜原発は若狭湾に面する福井県にあるが、日本の電力会社が開設した原発としては一番初めに稼働した発電所だという。全部で3基あるが、1・2号機は廃炉中、3号機も稼働開始から49年のようだから、すでに稼働停止時期が見えてきたための後継機新造ということだ。原発の経営ということだけを考えれば、さもありなんということである。今回の記事については、中断していた地質調査をこれから5年かけて再開実施していくということだ。
さて、国策で始まった原発である。資源が乏しい日本において、狭い敷地から高出力の電気を供給できるという意味では高効率である。石油や石炭など輸入に頼る化石燃料頼みでは、安定供給が不安であるということもあるし、将来の化石燃料枯渇も考えておかなければならない。枯渇が見えてきた時点で値段の急上昇が発生するとなれば、それも危機だ。
東日本大震災を経験した日本では、一時期原発が停止した。原発は廃止すべきという議論が広がった。そのときはかなり脱原発が叫ばれたけれども、そのうちに下火になってしまった気がする。何しろ政府が原発を進めたくてしょうがないのだ。
原発が経済的だという人がいる一方で、実際のライフサイクルコストは非常に高価だという。原発を利用しさえすれば電気代が安くなって良かったね、という訳にはいかないのだ。水が豊富な日本では、水力発電を工夫すれば原発は不要だという意見がある。素人ではなくて学者の意見だ。私が勤める会社では一時期研修用課題図書となったこともあるくらいだから、信ぴょう性は高いのだろうと思われる。
原発がなぜ進められたか?減反政策が進んで農家から労働者があぶれた。高度経済成長時代には工場などへとシフトした。工業が機械化され労働者は再びあぶれた。そこで原発にシフトしたという。確かに柏崎原発に行った時には、柏崎の電力関係の労働者だけで2000人が働いていると聞いた。原発は四六時中施設の増設や改修をしているので、それに携わる建設労働者も多い。失業者対策にはうってつけなのだ。一方水力発電にはそれほどの労働者は不要なので、失業者対策にはならないのだろう。
現在はコメ不足である。減反政策を解除して増産する動きがある。しかし農家は高齢化による労働者減少で現状のままでは今後の拡大は見込めそうにない。コメ以外の農家では、AIなどを駆使した効率的な生産が始まっている。AIが収穫量安定確保と品質の向上に貢献している。ならばコメだって同じように出来ないものか?
脱原発によりあふれた労働者をコメ生産とコメ輸出関連に回して行ったらどうか。原発は田舎にあるので、その近くにコメ工場を作ればわざわざ住まいを移すことも無いかもしれない。それだけではまだあふれた労働力は余剰だろう。農業以外にも労働力を必要としている業界は現在国内に万とある。もはや失業者対策は原発に頼る必要はないのだ。
少子高齢化の日本、労働力不足の日本。もはや原発で失業者対策をするのを止めるべきである。水力発電に依存する発電にかじを切って脱原発が達成出来たら、世界がうらやむ国になれるだろう。公害が謳われる太陽光発電に頼らなくても、無害な理想はすぐ近くにあるのである。電力会社の人には悪いが、国全体のことを考えるべき時が今だと思う。
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