第7話 鷹山

 鷹山は沖雅也が別府出身だと知り、驚いた。『太陽にほえろ!』のスコッチ刑事や『俺たちは天使だ!』の麻生役を演じたが早逝してしまった。


 鷹山は地獄めぐりをした。別府地獄めぐりは、大分県別府市の別府温泉に多数存在する様々な奇観を呈する自然湧出の源泉「地獄」を、定期観光バスなどで周遊する定番の観光コースである。また、これらの地獄の総称としても使われる。海地獄、血の池地獄、白池地獄、龍巻地獄は、2009年(平成21年)7月23日に、別府の地獄として国の名勝に指定されている。


 別府温泉には、含有物によって青、赤、白などの様々な泉色を呈する温泉や、間欠泉などの特色のある源泉が点在する。また、温泉の熱を利用して飼育・育成した動植物を展示する施設を併設したものもある。このような、入浴ではなく、観覧を主な目的とした温泉は地獄と呼ばれ、別府観光の目玉のひとつとなっている。


 地獄という呼び方がいつ頃始まったのかは定かではないが、1694年(元禄7年)に貝原益軒が著した『豊国紀行』では随所で「地獄」という呼称が使われている。


 かつてはやっかいもの扱いされて誰も手をつけないでいた地獄だが、温泉付き別荘地の開発をきっかけに温泉給湯の源泉として整備され人が安全に近づけるようになると、湯治客が地獄を覗き見するようになったという。それが観光施設として商業化されるようになったのは、1910年(明治43年)に、海地獄が施設を整えて入場料を徴収するようになったのがはじまりである。


 大正時代に入ると自動車が遊覧に用いられるようになり、昭和初期にかけて小噴気孔を掘削して大噴出を誘導することが盛んに行われて、鉄輪地獄(1922年)、龍巻地獄(1923年)、無間地獄(1924年)、鶴見地獄(1925年)、八幡地獄(1928年)、鬼石地獄(1930年)、白池地獄(1931年)、鬼山地獄、金龍地獄(1932年)、かまど地獄(1926年)、雷園(1927年)と次々に新たな地獄が出現した。ところが鉄輪地獄地帯においては大小の地獄の開発が相次ぎ、それが近接していたことで在来の泉源の湧出量が低下する事態となり、新規の持続開発は差し止められ、1920年代にて頭打ちとなった。


 別府市内には多くの地獄が存在するが、その中でも地獄めぐりで有名な地獄組合に加入しているのは海地獄、鬼石坊主地獄、かまど地獄、鬼山地獄、白池地獄、血の池地獄、龍巻地獄の7つ。このうち血の池地獄、龍巻地獄はやや離れて柴石温泉にあるが、他の5つは鉄輪温泉に集中している。地獄組合加盟の地獄では、共通観覧券の利用や、駐車場の無料利用、亀の井バスの定期観光バスで七五調のガイドを聞きながらの見学ができる。


 海地獄は、1200年ほど前に鶴見岳の爆発によって誕生したとされる。硫酸鉄によってコバルトブルーの一見涼しげな色をしているが、その温度は98度で、泉脈までの深さは200mにも達する。地獄に隣接した池では温泉水でオオオニバスが栽培されていて、お盆のシーズンには大きく育った葉の上に児童を乗せるイベントがある。卵を竹籠に入れて青い地獄の湯に浸けて茹でた温泉卵が名物である。なお、当地獄は別府の地獄の中で最も広大であり、群を抜いている。戦前は藤の花が有名であった。足湯があり別府八湯温泉道に加盟している。2009年(平成21年)、別府の地獄として他の3つの地獄とともに国の名勝に指定。

 

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