第15話 追放前の虐め開始ですわ
学園が再開したので登校をしますが、今日最初にやることはマリアの経営する孤児院に1億クレジットの寄付をすることですわ。ついでに手足のように使えと、マキアとマキナを送り込みますわ。本当に革命家か確認はしておきたいですし、本当に革命家なら湯水のようにお金を注ぎ込んで武器防具の提供もしますわよ。
ついでにこの双子を裏切らせて欲しいのですが、マキアとマキナは私の封臣の娘なので、基本的に裏切らないことが残念ですわね。裏切ったら家族に迷惑がかかるとなると、普通の人なら裏切りませんし。お金に釣られた仲間や友人に裏切られる時の心情を想像する時は、とても胸がキュンキュンするので出来れば裏切って欲しいところです。
そして始まる学園生活ですが、最初の授業は教師の自己紹介だったり、今後のスケジュールについての説明だったりと退屈ですわね。
「実戦魔法演習担当のマリリーナ=サイトウよ。
今日は初めての授業だから、各々の実力の確認をしていくわね。
まずは入試で首席だったリディアさん、前に来て下さい」
明らかに転生者の子孫っぽい人が教師をやっているのもこの世界の面白いところですわね。この世界でもサイトウが珍しい苗字じゃない辺り、過去のサイトウさんはハーレムでも築いたのでしょうかね。言われた通りに前に出ると、専用のフェンスで囲まれたフィールドの上に組み立てられた櫓に登らされますわ。これスカートが短かったら下からおパンツが見えてしまいますわね。短くすれば良かったですわ。
マリリーナ先生が対戦相手を指名するように言って来たので、エイブラハムを選択しますわ。これは虐めが出来そうなので、エイブラハムの復讐対象になれるよう頑張りますわよ。
マリリーナ先生の合図で互いに渡された宝玉へ魔力を込めると、下のフィールドに私そっくりの幻影が誕生しますわ。同時に向かい側にもエイブラハムの幻影が誕生して、飛び跳ねたり走り回ったりしてますわね。……この宝形は、恐らく触った本人のステータスを読み取るための宝玉ですわね。
冒険者ギルドにも、似たような宝玉があることは知ってますわ。量産されていますし、これ自体は特段珍しいものでもないですわね。冒険者になればこの類の宝玉でステータスの測定が行われ、それを元にランク付けされるという異世界定番のアイテムですが、この宝玉も恐らく似たような機能で能力を読み取ってますわ。
そしてこの学園の何処かにある、読み取った能力値をアウトプットする宝玉の力で幻影として表示していますわね。動作を頭で思い浮かべれば私の幻影も飛んだり走り回ったりするので、ゲームのアバターを操作している気分になりますわ。
……これ、ひょっとしなくても元日本人が作ってますわね。異世界のアイテムの使い方が上手すぎますわ。実戦に近いかと問われれば、3人称視点なので微妙なのですが、ゲーム感覚で幻影を操作できるのは面白いですわ。
「面白いですわねこれ……えい!」
「ッ、ラフシュエート!」
幻影の方はちゃんと本人の能力を模しているようなので、馬鹿でかい火球をエイブラハムに投げつけることも出来ますわ。エイブラハムは唐突な攻撃にびっくりするものの、ちゃんと腕を剣に変形させて防いでますわね。……あの剣を生み出す力も、相当謎な力ですわね。魔剣と合体でもしたのか、後で聞いておきたいですわね。
そしてそれをちゃんと読み取るこの宝玉の存在が少し怖いですわ。下手したら私の思考を読み取られてしまうかもしれませんわね。それはそれで破滅の未来が訪れそうなので良いのですけど。
マリリーナ先生から「まだ演習開始の合図出してないわよ」と注意が入って、戦闘開始の合図と同時にエイブラハムは接近して来ますが、剣を使う剣士に接近戦を挑む馬鹿ではないですわよ。風属性魔法を使って、地面をスライドするように移動しながら、エイブラハムに向かって火の球を撃ち続けますわ。
私の幻影が、脇腹に圧縮された空気の球をぶつけられながらスライドするように移動しているのを見ているとちょっと羨ましいですわね。エイブラハムとの距離が近くなったら追加で空気の球を背中やお腹に当てて更に加速しますわ。この移動方法、主観視点だと難しいのですが上から見ていると使い易いですわね。
エイブラハムが私の幻影の移動方法にドン引きして、接近せずに剣を振るう度に発生する斬撃を飛ばす攻撃に切り替えますが、ずっとスライドしているので当たりませんわね。あと当たったところで大したダメージにはならなさそうですわ。
「実戦魔法演習で魔法を使わないとか舐めてますのあなた?
大人しく軍の士官学校にでも行って剣を学びなさいな。サームタイン家の恥さらし」
「……降参する。これ以上打てる手はない」
「あら、左腕の剣への変形もせずに引くのですか?面白い冗談を言うのですね落第者」
ひたすら煽っても、変形させるのは右腕だけで悪魔との戦いのように左腕は変形させないエイブラハムは、出し惜しみをするつまらない男ですわね。しかも片方が降参したら終了の条件ですので、非常にあっけなく終わってしまいましたわ。これはもっと嘲笑ったりして怒りを買った方が良かったですわね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます