第13話 フルスイングで追放ですわ

なんか悪魔達が侵攻して来て帝都を火の海にしていきましたわ。せっかくなのでその火の海に飛び込んでみましたが、少し暑い程度ですわね……。これは前々から、衣装バーベキューをしていたからかもしれませんわ。高い衣装を作らせて持って来させては無意味に燃やしていくという、復讐されそうな悪役令嬢っぽいムーブを頑張っていたのですが……。


あとこの服が燃えたら裸で徘徊することになりそうなので水で濡らしておきましたが、この悪魔がいるならすっぽんぽんの方が良かったですわ。というか何でこの悪魔はパンツ+コートとかいう謎なファッションをしているのでしょう?悪魔界のトレンドでして?


「殺すならさっさと殺せ」

「いやですわよ。色々と聞いてみたいのに……。

さっきの戦いを覗いていましたが、あれ空を飛んでいるのは重力操作ですわよね?

その背中の羽で飛んでいるわけではなさそうですし」

「……あっているが、それが何か?」

「……これは私の想像ですが、固有魔法を獲得する能力でも持ち合わせていますの?」


この前に襲撃して来た悪魔は色んな固有魔法を使用してきていたので、もしかしたら固有魔法を獲得する手段を持ち合わせているのかと思い聞いてみたら、実際に固有魔法が増える特性持ちでしたわ。どうやら死んだ人から24時間限定で1つだけ固有魔法を継承出来る能力を持っているようで、主人公みたいな性能してますわねコイツ。無理やり奪う能力ではないみたいですがチートですわ。


ついでに海を渡った魔王領、向こうの領地についても聞いてみましたが、大体こちら側と根幹は一緒ですわね。複数の国を纏める皇帝(魔王)がいて、その下に4人の王がいるみたいですからこいつらが四天王というわけですわね。


その下は日本で言う○○地方を纏める公爵、○○県レベルを纏める伯爵、1つの都市を治める男爵といるようなのでこちら側と同システムなのは確定ですわ。これきっと過去では1つの国でしたわね。古代核戦争説が現実味を帯びて来たのは気分的に少し嫌ですわ。


今回の襲撃の目標は皇帝の娘を攫うことだったそうで、その目的は既に達成されたようですわ。流石にそれは初耳なので驚きましたが……これ、明日の朝には大騒動になっていますわね。


今代の皇帝には息子と娘が2人ずついますが、長女の方が攫われたらしいですわ。……こいつ、本当に観念しているのか情報をボロボロ出しますわね。ちょっと哀れになってきましたわ。


将来的に私を超える可能性のある人物……悪魔ですし、見逃して復讐させることにしましょう。とりあえず帝都からは追放ですわ。見たところかなり頑丈なようですし、一発ぶちかましても大丈夫ですわね。


「とりあえず帝都からは追い出しますわ。追放ですわ」

「いや追放も何も俺はガッ!?」


風属性の強化魔法を杖に纏わせて、悪魔の腹部を宝玉で強打しますわ。そのままフルスイングで帝都の外へとかっ飛ばしましたが、まだ生きているみたいなので素晴らしい耐久力ですわね。これで理不尽な暴力も与えられたので、きっと復讐しに来てくれますわ。きっと今頃「あの女、今に見てろよ……絶対に復讐してやる」と呟いているに違いありませんわ。


さて。確認すべきことは確認したので後は消火活動のお手伝いをして家に帰るだけですわね。火はかなり広範囲に燃え広がっていて、水属性魔法を使える人が一斉に消火活動を始めていますわ。私は風魔法を使って、風向きを変えるだけで良いですわね。これだけで燃え広がり辛くなりますわ。


……それにしても、帝都に火を放って、皇帝の娘を攫って何をしたいんでしょうか?火災は帝都に水属性魔法使いが沢山いる以上、すぐに鎮火されていきますし、人質としては次期皇帝の長男の方が圧倒的に価値は高いですし。……はっ。まさか、皇帝の娘を魔王の性奴隷にするつもりですの……!?何という羨ましい状況……!


どうせなら私の方を攫って欲しかったですわ。一応私、公爵ですわよ。見た目すげえ美人ですわよ。おっぱいも大きくなってきましたし、もう孕めますわよ。領地の経済力は帝国内トップクラスの貴族ですから、利用価値もたくさんありますわよ。だから攫って下さいな……!


火は2時間ほどで大体鎮火しましたが、これ被害総額は大きそうですわね。悪魔の位置情報が瞬時に手に入る結界が喪失したせいですが、これ最初の襲撃で悪魔を取り逃がした原因である私のところに損害賠償請求が届くのではなくて?この規模の損害だと下手したら借金漬けになって……借金漬けになって、そのまま借金奴隷コースで鬼畜ご主人様に買われるルートも良いですわね。


「マキア、今回の帝都の被害総額は幾らぐらいになると思われますの?」

「ええっと、帝都の一区画が全焼なので…………20億クレジットから30億クレジット程度ですかね?」

「……クレシアに言って、30億クレジットを帝都に寄付しておいてくださいな」

「えっ!?……はい!」


しかし残念なことに、半月で稼げそうな額しか損害がなかったのでマキアに言って補填させておきますわ。……借金漬けになるのは、ちょっと難しそうですわね?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る