第51話 殺意と戦意

「申し遅れたが、私の名はエシュパーという。カオス教団のしたっぱ兼健常者だ。よろしく」


「せめてフードを外して名のれよ。俺の名前は」


「知っている。バランじゃなくて…アランだよね?」


「なんで俺のことを知っているのかはどうでもいい、何の用だ」


「少しの間大人しくしてほしい、私は子供を殺すようなド畜生じゃないから、お互いのために穏便に済ませよう」


「大人しく、ね。お前たちが何をしようとしているかによる。とだけは言っておく」


 アランは確か『希望の旋律』と面識があった。今彼女たちにはをさせないために刺客を送ったけど、さすがに殺されるはずがない。早く済ませて私も殺しにいかねばならない


「あっぶねぇな、何が穏便にだよ」


 アランは顔に飛んできた拳をギリギリかわせたが、明かに殺す気だ


「今のがよけられた……決めた」


 急に決めたとか言い出して何をする気だ

 

「かはぁ…!」


 アランはエシュパーに腹を殴られた

 見えなかった。いや…殴るまで姿勢の変化がなかった


「普通なら今の一撃で死んでるけど、こいつ思ったよりも頑丈な奴だな


「そうかそうか、お前がその気なら俺もやる気になってきた」


「殺意の攻撃を相手に戦意の攻撃で対抗しようとか、私には君が正気とは思えない」


 殺すなら今が絶好のチャンスだ。こいつは友達を巻き込まないように範囲が広い魔法が使えない、たとえ範囲が狭くとも私がかわした先にいる学生に当たるように位置を調節しながら戦えばいい。なりより決定的なのは殺意と戦意、どっちが勝つのは言うまでもない


「お前さっき俺に昏睡魔法を使ったよな」


「気づいていたのか、なら私が最初から殺す気がないことぐらい」


「違う。俺が言いたいのはそういうことじゃない。なんで昏睡魔法を使った。お前はさっきみたいに一瞬で間合いを詰めてゼロ距離で別の魔法を使うべきだった」


 俺の背後を取って首に電気ショックで気絶させることもできた。なのに、どういうことか、それをしなかった


「私が昏睡魔法しか使えないからだ。魔術も苦手だし魔道具はかさばるから所持していない」


 嘘だな。こいつが履いてる靴とか完全に魔道具じゃん。靴型の魔道具は売ってはいるがかなりの高級品でコレクター貴族御用達の店ぐらいにしか置いてあってない


「ストーンバレッッ…テメェ」


 アランが魔法を撃とうとしたが、エシュパーはタバスを盾にしていた

 魔法名を言うのはナシだ。イメージを強固にしろ、そして対象をあのクズだけにする。そして追尾するイメージで…ストーンバレット

 無数の石がエシュパーに飛んでいく


「(人質を避けて私だけに飛んできた。軌道的に追尾もしてくるのなら)」


 エシュパーは盾にしていたタバスを離すと、飛んできた100個以上はある石を全て砕いた

 盾を避けて攻撃してくるなら


「これはもういらない」


 エシュパーは道端に落ちている空き缶を蹴るようにタバスを蹴り飛ばす


「テメェ…俺の友達に何してんだ」


 アランはタバスを蹴ったエシュパーに怒りの感情を向ける

 ここで魔法は使えない…使えても初級ぐらい。解なんてもってのほか、ならばどうするか

 魔身に筋力強化と加速魔法を重ねがけだ


「近接で戦う気?まさか勝てると思ってるの?」


「勝てる」


 アランは言い切った。勝てるという確信があるのか、それともただのはったりか

 アランはエシュパーを中心に円を描くように走る

 エシュパーは確実に攻撃を当てるためにアランが近づいてくるタイミングを待っていた


「な⁉」


 アランはエシュパーに一息で距離を詰め渾身の蹴りを頭めがけたが、エシュパーは左手で簡単に止めてしまった


「やっぱり頭を狙ってきたか、分かりやすくて助かった」


「ありがとな、


「この魔力!まさか!」


「逃がすものか、今!ここで、死なばもろともだ!」


「クソ!ふざけるな!はなせ!」


 アランは足を掴まれ宙吊りの状態でエシュパーに抱き着く、そして自ら魔力を爆発させ、自爆した



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