バウムクーヘン

 バウムクーヘン。それは中心に穴があり、断面に年輪のような模様が浮き出たドイツのケーキ。家庭でも作れるようなレシピも登場している。


 ヨウが働く菓子メーカーは、バウムクーヘンの販売に熱を注いでいた。プレーン以外にも抹茶、チョコ、季節のフルーツを使ったものと、数多のラインナップがあった。


 そのためか、製造する度に作られるバウムクーヘンの切れ端を社員は持ち帰ることができた。ヨウは丸々のバウムクーヘンよりも、切れ端の方が好きだった。売り物にもならない感じが、何となく自分と似てる気がしていたから。でも今は違う。憧れの人がすぐ隣にいる。一緒に居れば売り物にだってなれる。


「長田さん、一緒にバウムクーヘン食べませんか?」

「何で?」

「幸せがずっと続いて欲しいからです」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る