やべぇやつ

 愛してほしい。

 でも、自分は愛されない。

 そんな思い込みの中で藻掻き苦しみ、ただ一つ見つけた真に愛してほしい人を見つけ。

 その人から自分が愛されるわけないと勝手に悟ったが故の行動として、相手を自分へと依存させてそのまま離れなくさせようとした桃葉という一人の少女。

 桃葉の目論見は成功していた。

 でも、咲良には秋斗しての姿があり、そこの交友を辿れば決して彼女は、彼は孤独でなかったのである。

 

 表向きは完璧超人であり。

 だが、その裏では誰よりも深い闇を携えていたやべぇ少女。

 その子がただ一人、閉じ込もっていた中で。


「あびゃぁーっ!!!」


 表向きも、裏向きもただ単にやべぇやである特急呪物たる咲良は今。


「くぁwせdrftgyふじこlp」


 その体を文字通り、物理的にブレブレとさせながら発狂していた。


「ど、ど、どうすればぁっ!?」


「ど、どうなっているのだ、これは」


「秋斗さまぁぁぁぁああああああああああああっ!!!」


 どうなっているのかまるでわからない超常現象。

 人の体がブレブレとなり、その色さえも変わっている。

 それを前にして彼女の周りの人たちも動揺することしかできない。


「くぁwせdrftgyふじこlp」


 桃葉は勝手に悟ってしまった。

 旧友が存在していた桃葉はすでに自分へと依存しなくなってしまったと。

 己をただ一人、身近で肯定するものとしての立場を失った自分が彼女の中で大きな存在になれるはずがないと。


「ももはぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああっ!!!」


 だがしかし、それは大間違いであった。

 咲良がついさっきまでまともに喋れていたのは自分のそばに桃葉がいたからという理由からだった。

 コミュ障を拗らせていた咲良は、桃葉の想像を超えるほどにどっぷりと彼女へと依存していた。

 もう手遅れのほどだ。


「な、なんで介護人の退出を許したぁぁぁぁぁあああああああっ!」


「こ、これでは何も話しあいにはならない……一旦帰ってもらって、帰ってもらって……どうすればいいのだ?これは」


「秋斗さまぁぁぁぁああああああああああああっ!!!」

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