ドラゴンスレイヤー
エルフメイドと二人。
とある貴族令嬢が長らく国の癌として悩みの種になっていたドラゴンを討伐したという一報は大きなものとなって国の全土へと轟いた。
「……こ、これはどういうことかな???俺は何も聞いていないぞ?」
そのような中で、当然討伐を果たした当の本人……まぁ、つまりは僕であるが。
そんな僕を前に自分の父親が大きな動揺をあらわにしていた。
「そのままの意味ですわ!」
「何がどうなったら引きこもりがちだったうちの娘がドラゴンを倒しているのだっ!!!」
「そんなの当の昔ですわ!」
僕は父親の言葉を一蹴で片付けてしまう。
ストレーガ侯爵家。
公爵家が王位戦に負けた王族のために用意されている位であることを考慮すると貴族としては最大の格を持つ侯爵家の一角。
その一族の娘に生まれている僕の父は当然、そんなストレーガ侯爵家の当主である。
王家の懐刀と呼ばれ、高名なストレーガ侯爵家当主。
アラリア・ストレーガは今、完全に頭を抱えてしまっていた。
「……君か?」
そんな父は僕の隣に立つエルフメイドへと疑問の声を上げる。
「……私だけでは勝てませんよ。お館様。純粋にお嬢様の戦闘能力が高すぎました。あの勢いであればソロ討伐も出来そうな勢いでした」
その言葉に対して、エルフメイドは首を振りながら答える。
「別に出来ていたと思いますわ!大きく時間はかかってしまいそうですけど」
そして、そんなエルフメイドの言葉に僕も乗っかる。
多分だけど僕一人でも問題なく勝てていただろう……ちょっと、半日はかかる可能性もあるけど。
「なるほど、なるほど……いつの間にか強く?」
「ずっと前からですわ!端から私は強いですのよ?父上が知らなかったですわ」
「……そうか」
身も蓋もない僕の答えに父上は天を仰いでしまう。
「……何が目的なのだ?」
そして、そのまま父上は僕へと疑問の声を上げる。
「お前がここまでした……ならば、それなりの理由があったのではないか?何が、お前をドラゴンスレイヤーになる道へと突き動かしたのだ?」
父上が告げるのは随分と真面目な話題である。
だが、だがしかしだ。
僕の理由を考えるとどうあってもシリアスにはならないだろう。
「それはあの豚王子との婚約を破棄するためですわー!」
だって、僕がこんなことをした理由が婚約破棄を円滑に行うためというものなのだから。
「……はぁ?」
僕の言葉。
それを聞いた父上はこちらへと驚愕の視線を投げかけながら何とも言えない声を上げるのだった。
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