143. LUNA SEA『STYLE』(1996/2023)

 LUNA SEA(ルナシー)といえば、ヴィジュアル系バンドの歴史を語るうえで避けては通れない存在です。


 私が最初にLUNA SEAに触れたのは、学生時代の友人のすすめからでした。それまでクラシック一辺倒だった友人が、なにゆえ様々な過程をすっ飛ばしていきなりLUNA SEAにハマったのか、今でも謎です(笑)。


 ともあれ、同様に洋楽一辺倒だった私が邦ロックを再評価するきっかけともなった出来事であり、疎遠となってしまった今でも友人には感謝しています。


 個人的に一番お気に入りのアルバムがこちらです。



◆LUNA SEA『STYLE』(1996/2023)


〈オリジナル盤〉

https://open.spotify.com/intl-ja/album/4hisshSDK0hxkOjoo4ZzEp?si=ATE55EfNRAOHE0cxFXTCcA


〈セルフカヴァー盤〉

https://open.spotify.com/intl-ja/album/4uAz6RKH3BsqY2Q7Z0aBB0?si=zx4wmiCdS4Cf2lHFmoH_xA


 5th。多彩な曲調と、通し聴きの流れを意識した曲順が示すように、プログレ色の濃いめな作品です。同時に、シングルカットされたアルバム後半曲を始め、いずれも単体での視聴に堪えうる素晴らしい仕上がりなのは言うまでもありません。



☆「END OF SORROW」

https://www.youtube.com/watch?v=jhwnue7hQZY


 「1999」を前奏曲としてシームレスに繋がるミディアムナンバー。真っ直ぐな愛を高らかに歌い上げるRYUICHI(Vo.)の声は勿論、J(Ba.)のウネるベースラインも存在感を示しています。唐突に訪れるエンディングの余韻が効果的です。



☆「DESIRE」

https://www.youtube.com/watch?v=bYDExWsMD_g


 バンドきっての疾走曲。同じラブソングでも、こちらは自分をも壊しかねないほどの狂おしい情念を感じる歌いぶりです。ドライブ感あるベースリフとヘヴィなドラムのビート、重なり合うギターサウンドにも終始ゾクゾクさせられます。



☆「IN SILENCE」

https://www.youtube.com/watch?v=mr6QJcOuFCo


 イントロからAメロまで響き渡るSUGIZO(Gt.)のディレイ・エフェクトが効いたギターに耳を奪われる一方、実はINORAN(Gt.)奏でるアコギこそがアンサンブルの肝かもしれないと思ったり。

 とはいえ、サビのオクターブリフや、ヴァイオリンを思わせるギターソロも充分すぎるほど印象的です。


 RYUICHIの伸びやかで艶のある歌声はとにかく圧巻の一言。どこか寒々とした空気が漂う中、明朗で爽快感のある聴き心地を演出してくれています。


 そして、忘れてはならないのが真也(Dr.)の繊細さと力強さを兼ね備えたプレイです。彼のドラムが屋台骨としてあったからこそ、各人が十二分に才能を発揮できたのだという確信は揺るぎません。



 他にも、メタリックな攻撃性で畳み掛ける「G.」、中盤に配置した10分半の抒情詩「FOREVER & EVER」などを聴き返す度、本アルバムがLUNA SEAの成熟した魅力の詰まった傑作であると改めて思い知らされます。



【おまけ】


☆「G.」

https://www.youtube.com/watch?v=G-H3S6eUU0g


 2023年のセルフカヴァーに合わせて新録されたMVです。まさか令和になって映像化されるとは思いも寄りませんでしたが、当時と遜色ないどころかむしろ迫力が増してさえいます。往年のSLAVE(LUNA SEAファン)も必見です。

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