120. CAMEL『Breathless』(1978)

 CAMELといえば、Andrew Latimer(Vo./Gt./Fl.)率いる英国の叙情派プログレッシヴ・ロックの代表格です。

 メンバーチェンジや音楽的変遷はありつつも、常に安定した世界観とクオリティを保ち続けています。


 長いキャリアの中でも、とくに筆者が注目するのは、カンタベリー・シーンからRichard Sinclair(Vo./Ba.)を迎えた5th~6thアルバムの時期です。


 上質なメロディの牽引力とドラマ性を維持しながらも、フュージョン/クロスオーバーのテイストを取り入れた作風は、ディスコグラフィ中でも異色にして出色の仕上がりとなっています。



◆CAMEL『Breathless』(1978)


https://open.spotify.com/intl-ja/album/3pAWQqtQZPwWvZBCFDm4xg?si=XjJtKxBPRMuTqRJKo8HHJg


 6th。Sinclairの存在感が目立つこの時期ですが、KING CRIMSONでも活躍するMel Collins(Fl./Sax.)の参加も無視できません。両名の持ち込んだジャズロック的な趣きが、従来のサウンドにさらなる深みをもたらしています。



◇「Breathless」

https://www.youtube.com/watch?v=NVQfGl4-bSQ


 Richard Sinclairの柔らかな歌声とベースの音色が存分に味わえる、メロディアスで叙情的な表題曲。優しくも軽快なリズムに、Mel Collinsのフルートやサックスが色を添えます。心洗われる雰囲気に1曲目から胸がいっぱいです。



◇「Down On The Farm」

https://www.youtube.com/watch?v=f3iNT9QZvb8


 こちらはカンタベリー色濃厚な牧歌的でユーモラスなナンバー。フルートやギターのバッキングが何気にいい仕事をしています。農場が舞台ということで、動物の鳴き声が入る遊び心にあふれた演出も心憎いです。



◇「Summer Lightning」

https://www.youtube.com/watch?v=ccoHOnGLPl0


 グルーヴィなベースリフやギターのカッティングが心地いいファンクロック。バックで煌めくシンセやエレピの音色も印象的です。前半の鍵盤ソロ、後半を丸々占める熱いギターソロも最高。CAMELの個人的ベストトラックはこれで決まり!



 以上の他にも、バラエティに富んだ楽曲群が収録されています。

 中でも、スリリングな演奏パートを軸とした「Echoes」や「The Sleeper」は、プログレッシヴ・バンドとしての面目躍如な必聴曲です。

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