第25話 パワードスーツがもたらす事 2
エルメアーナに言われた事をアイカユラはレィオーンパードのパワードスーツを見たが、それはパワードスーツを見るというより自身の考えをまとめるように、ぼんやりと見ていた。
(そう言えば、ジュネスは一人一人の体型をチェックした後、設計の為に黒板に色々書き込んでいたけど、それも直ぐに終わっていたわ。何日も作り始めないで、シュレとエルメアーナの3人で話をしていたけど、あれはメンバーのパワードスーツを、それぞれの得意な分野に適しているか確認の為だったんじゃなくて、ギルドの結論が出るのを待っていたって事だったの?)
アイカユラは、何かに気がついたように視線をエルメアーナに向けた。
「あの何も作ろうとしてなかった時って、6台の設計の為じゃなかったなら、ここに住み着いたのはパワードスーツを作る為じゃなく、ギルドの判断も待ってたって事なの!」
ジューネスティーン達は卒業後にエルメアーナの店舗兼家屋に居候していたのは、ヒュェルリーンからも6人を空いている部屋を使わせて、パワードスーツの完成に力を貸すように言われていた 事もあり、6台のパワードスーツを製造する為だろうとアイカユラは思っていた。
(それだけじゃ無かったって事なのね。時々、ヒュェルリーンがジュネスとシュレだけと話していたのは、うちの商会を通じてギルドとの間で何らかの密約が有ったって事? ん? そういえば、ギルドから新素材の提供も、私の知らない所で交渉されていて無償提供されたって事なのか)
アイカユラは難しい表情になった。
(ギルドは大きな組織だから、うちの商会とギルド、ヒュェルリーンが動いていたというなら、お互い上の方で交渉されていたって事なのね。秘密裏の交渉も上の人との話なら他部署に情報が流れない事も有るわ。技術部門と冒険者部門で別々の動きをする事もあるのか。ジュネスは、商会を通じてギルドの様子を伺っていたのかしら)
自分の認識とは少し違いがあるような事を言われて少し驚いたようになり直ぐに考え始めていた。
自分の知らない部分で、ジューネスティーン達の考えをヒュェルリーンがジュエルイアンの意を受けてギルドとの交渉をしていた事に気がつき、真剣な様子で考えていた。
その表情を見ていたエルメアーナは沈黙に耐えられなかったようだ。
「それも有るけど、パワードスーツを作る理由が欲しかったんじゃないか。あんな物騒な物を考えてしまったんだ。個人で後ろ盾も無かったら、国を相手にする必要があったはずだ」
アイカユラは、考える事を途中で止めてエルメアーナの話を聞き始めた。
「国の中には欲に目が眩み無法行為を行う特権階級が居るからな。宿で寝ている最中に踏み込まれて逮捕されたら、それっきりだ! だが、ギルドが後ろ盾になってくれたら、そんな特権階級の輩でも中々手を出しづらくなる。ギルドの影響力は、国も貴族のような特権階級でも手を出しずらいからな」
エルメアーナの解説を聞いて、アイカユラは納得する表情をした。
(そうよね。国や貴族を相手にしなければならないとなると、罪の有無なんて関係無しで逮捕して、後から適当な罪をでっち上げるだけだろうから、宿に寝ている時に踏み込まれたら捕まって終わりよね)
顎に手を添えるようにして考える。
全ての大陸中の国は王政であり法律は用意されているが、王族や貴族は特権階級となっており、庶民の法律で裁かれる事は無い。
貴族ともなれば、建前上、貴族法に従う必要があるが、上級貴族の後ろ盾が有ったり王族の言動一つで罪の重さが大きく変わり、場合によっては殺人や誘拐、強姦を行なっても無罪となりかねない。
国王が余程公正で無い限り、一般市民と貴族の争いにおいて、一般市民が勝訴する事は稀な事になる。
その為、大陸に存在する全ての国に影響力を持つギルドの存在は大きい。
ギルドに所属する冒険者は不当な逮捕をされた場合、ギルド側が調査を行い裏付けが取れれば、その国に対して圧力を掛ける。
ギルドの開発した魔道具の輸出規制、その国で活動している冒険者の引き上げ、魔物のコアの買取拒否と、様々な形で国に対して圧力をかけるので、各国の王族や貴族といえども、冒険者に対して無闇矢鱈に権力を振るう事はできない。
ましてや、ギルドお抱えの冒険者ともなれば、ギルドの監視も付く事になり無法な罪の後付けのような逮捕を行えば直ぐに伝わってしまう。
そんな冒険者に手を出したら、ギルドが徹底して経済封鎖を行い、場合によっては近隣諸国に圧力を掛けて囲い込みを行なわれる事になる。
その国は、魔物への対処は全て国が行う事になり、魔物を討伐した後に残った魔物のコアは倉庫に保管する事になる。
冒険者ならば、魔物の討伐費用を出さなくても、ギルドが魔物のコアを買い取る事から国として魔物の討伐にかかる費用は抑えられているが、ギルドが冒険者を引き上げ、魔物のコアの買取を停止した場合、討伐は全て国の軍が行う事になり、国は魔物討伐の為に軍を動かす事により財政負担が増す事になる。
ギルドは経済的な圧力を掛ける事が可能な事から、ギルドに所属する冒険者に対して不当な扱いを受けないように配慮している。
それがギルドお抱えの冒険者が、不当な扱いを受けたとなれば、徹底的に圧力を加える事になり場合によっては国が滅びかねない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます