【KAC20243】クイズ!なんの箱かわかりますか?

蒼井星空

私に投げつけられた"箱"は?

 かつて私は静かで平和な世界でのんびりと生きていました。

 私は知識と物語を提供する役割に誇りを持っていました。


 しかし、ある日その穏やかな生活は突然中断されます。

 太ったハゲのおっさんが現れ、私に"箱"を投げつけました。

 彼はもともとは善良な教育者であり、学問の世界における厳しい現実に直面していました。

 私が思うに、彼も最初は崇高な理念や使命感の元、この世界に入ったのです。

 しかし常識や前例という荒波には勝てず、私に"箱"を投げつける暴挙に出たのでしょう。

 

 それによって私の一部は失われ、"箱"に変わってしまいました。

 そして失われた私の一部は別の場所に閉じ込められてしまったのです。


「返してくれ!」

 私はとても悲しい気持ちでそのおっさんに言いました。

 しかしおっさんは、問題が誰かによって解かれるまで返すことはないと言い放ちます。

 泣き叫ぶ私に向かって、そのように冷たい言葉をよく吐けたものです。



 私は問題を解いてくれる人を待ちました。

 いつかきっと救ってくれる人が現れるはず。

 悪魔のようになってしまったおっさんに抗う人が。


 そしてしばらくすると、とても可愛らしい方が現れました。

 彼女は気高い目的を持っていて、常に知識のより深い理解と、それをどのように人生に活かすかについて探求していました。

 

 彼女は難しい顔をして私に向き合っています。

 あーでもない、こーでもないと呟きながら私に向かい合っています。


 私は期待感で一杯です。

 この方ならきっと私にかけられた問題を解いて、私を元に戻してくれると。

 私を救ってくれる方がこんなに美しい方であることに歓喜します。


 少し時間が経つと、可愛い方のお顔が明るく輝きました。

 きっと解けたのです。

 私の問題が。


 なんて素晴らしい。

 私は目の前の可憐な方に感謝の想いを送り続けます。


 

 そして私は再びあのおっさんと見えます。


 私は言います。

「問題は解けたはずです。私を元に戻しなさい!」


 そのおっさんは訝しむようにその醜い顔を私に向けます。

 鳥肌が立つのを一生懸命我慢して、おっさんが私を見つめてくるのに耐えます。


「ほう、確かに。合っているな」

 おっさんが気色悪い声でそう呟きました。


 確かに呟いたのです。


 私は嬉しさでいっぱいになりました。

 これで元に戻れます。

 さぁ戻して。

 そう思った私はおっさんを見つめます。

 

 しかし、現実は過酷でした。

 そのおっさんは赤いペンをもって私の上に、あろうことか丸を書きました。

 さらに花なんか書きやがりました。

 そして行ってしまいます。


 私は怒りでいっぱいです。

 ふざけんなよじじい。



『正解:テストとかの問題によくある「以下の文章を読んで、□の中に入る文章をア~オから選びなさい。」の□("箱")』

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