✜06 地下3階層の死闘
一番下の階層から地上を目指すパターンか、だけど時間制限がない分、まだマシかもしれない。時間さえ掛ければ、
あとはモンスターが定期的に湧いてくれるダンジョンであれば少なくとも食料や水で困ることはない。ここで怖いのは、シュリやピコンを守れないほどの物量で襲われた場合なので、そこだけは気をつけて慎重に進もうと思う。
ゴブリンが10匹、シュリには階段で待機してもらって突撃すると、少し時間がかかったが今までより格段にモンスターを倒すスピードがあがった。
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拠点「ヴァールギュントの迷宮099」を管理しますか?
➤はい
いいえ
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こ、これは!? 1階層ごと拠点化できる。これならかなり楽になるのでは?
もちろん「はい」を選択して、すぐに拠点に命令……コマンドを入力する。「リスポーン後、ひたすら上の階へ向かって管理下にないモンスターを狩る」と書いた。
リセットは深夜0時のはずなので、現在の時間はわからないが、いずれ増援として上の階へ援軍としてやってくるはず。
その読みは正しかった。
90階層あたりで、次々とこれまで拠点化したゴブリンやホブゴブリンの群れが自分達を追い抜き、どんどん階段を上がっていく。
階層が上がるにつれ、その数が増えていき、上の階でやられても深夜0時にリスポーンするので、拠点化がすごく楽になった。
でも30階層あたりからその進撃も鈍化した。原因はオーガの登場。個体のステータスがかなり高いので、ホブゴブリンやゴブリンの数に物を言わせても返り討ちにされた。
一度、下の階層から階段を上がりきると障壁が張られ、下の階へ引き返せない。それでも何十時間もオーガに、もみくちゃにされたが、最後はなんとか勝てた。
30階層の拠点化に成功したので、次の階層からはまた比較的楽に攻略が進んだ。
そしてようやく地下第3階層へ辿りついた。だがここでオーガの大軍でもまったく歯が立たないものが待ち受けていているとは知る由もなかった。
地下3階層は、とても広大な部屋だった。左右に水槽のようだが、水槽にガラスが張られているわけではない。それなのにその先にある大量の水が部屋の中へ流れ込んでくるわけでもない。
この地下3階層から2階層へ続く階段は閉ざされている。下から上がってきたゴブリン達魔物は、左右の水の壁に近づいては巨大な触手が部屋の中へ伸びてきて絡め取られ、水槽のなかへ引きずり込まれるのを延々と繰り返している。
左右の水の壁へ近づかないように部屋の中央を横切るかたちで地下2階へと続くはずの壁のところまで移動した。
よく見ると、鍵穴があったので、鍵を差せば開きそうだが、その鍵が見当たらない。
ステータスウインドウのコマンド入力画面を開いた。「地下99階層から地下3階層の拠点への命令を地下2階層へ向かえ」から「地下3階層の水の壁から10歩離れた位置で触手と戦え」と命令を変えてみる。
水の壁から10歩のところで立ち止まった魔物たちは水の壁から伸びてくる巨大な触手へ抗おうとするもあっさりと捕まり、やはり水の壁のなかへ引きずり込まれていく。
このままじゃ埒があかない。水の壁へ近づくべく前へ一歩踏み出すと急に肩に乗っていたピコンが羽ばたき水の壁へ近づいていった。
「ピッ!」
ピコンが魔法で風を刃に変えて1メートルはある太い触手をぶった斬った。
その直後、数本の触手が天井や床を叩きつけ、風魔法を飛ばした相手を潰そうと暴れまわるが、ピコンは中央へ戻り、触手のリーチが届かない安全圏へ身を引いた。
しばらく左右の触手は闇雲に暴れていたが、急に動きが収まった。触手が水の壁の奥へと消えると、代わりに巨大なタコの化け物の目が水の壁から現れ、コチラをその目に捉えた。
ゾゾゾッと左右から触手が伸びてきて、自分たちを触手の海へ飲み込もうとしたが、ピコンが魔法で透明な壁を周囲に張って防いでくれた。
「ピッ! ピッ! ピッ!」
ピコンが何か伝えようとしている。たぶん今のうちに何とかしろと言っている気がする。
創造ポイントを消費して長剣を生成する。結界のような壁の上から触手に向けて剣を振るったら、ピコンの張った結界を素通りして触手の1本をざっくりと傷を負わせることができた。
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名前 タコさん
年齢 10,301歳
種族 ヴァールギュント
生命力 99,999
筋力 116
敏捷性 21
知性 23
精神力 17
器用さ 12
スタミナ 3,511
幸運 10
経験値 99,999
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名前 タコさんの足
年齢 ─
種族 ─
生命力 30
筋力 25
敏捷性 28
知性 ─
精神力 ─
器用さ 21
スタミナ 15
幸運 ─
経験値 5
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無数の触手の1本、1本にも経験値がついている。触手1本で「1匹」とカウントしてくれるなら作戦が立てられる。
長剣をひるがえし、触手を数十本と切り刻み、黒煙へ変えていった。
「シュリ! 魔法が使えるようになったかを確認して!」
触手を切り刻んでいる間にシュリの魔物10,000匹討伐の条件が達成できた。
「──できます!」
「この場で有効に働く魔法ってある?」
「はい」
シュリは足元に魔法陣を起動させて、魔法の強度を増幅させていく。
「行きます。【
炎の輪っかが、地面を駆けて触手1本1本を襲い、触手をすべて千切り飛ばして消えていった。
「アラタ様」
「うん、見えた!」
少し離れたところへ金色に光る鍵が落ちているのが見えた。
急いで拾い、地下2階層への鍵穴に差し込むとガチャリと音がして施錠が解けた。
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