NON PLAYER CROWN ~デスゲームに巻き込まれたNPC人魚が擬態スキルで行脚する~
貝袖 萵むら
第0話 ゲームマスター緋戸出セルvs最多国統治者バノムロッジ
「おい、早くしろ。」
男がそう言うと、白い布生地のエルフがもう歩けないと地面に崩れた。
「もう無理です。槍水ノルド様、このところ寝ずに働いています。」
「嘘をつけ。お前昨日もろくに力を使えてないだろ。風がまともに使えたら、王宮で快適な生活ができるってのに。」
「うう。ゲームマスター様なぜこのような世界にしたのですか。あなたは誰よりも優しかった。」
2038年。VRMMOがゲームの主流となった。VRはもう一つのREALというキャッチコピーで瞬く間に広がり、FPSゲームや、SFゲーム等が盛んになった。次第にSFゲームが大半を占めた頃、あるゲームが誕生した。「DESSQ」だ。このゲームは現実的MMORPGの一つでしかなかった。しかし、このMMOは他のゲームよりも自由度が高いゲームだった。禁止行為はNPCヘの状態異常を含む全ての恣意的な攻撃及び討伐。しかし、お金を使えばモンスターでもNPCとも契約できるし、他のユーザーとは比べ物にならない唯一無二のチートスキルが手に入る。結果的に王国がいくつも誕生し、国家間で争いが絶えず起こる混沌としたゲームになった。はじめにゲームに参加したβテスターが登録されているチートスキルをすべて独占した。最新技術があり、他のMMOでは機関の承認を得られずDESSQにはなれない。その他のユーザーはここでしか味わえない爽快感のために、固有スキルの恩恵を崇め国王であるβテスターの欲するものを捧げるようになった。
「今シーズンのDESSQはやばいらしいぞ。既に15の王国を壊滅させたbanomrodge様が自身のチートスキルを景品にしてレンドランク王国で殺し合いをするらしい。
今からでもロッジ様に仕えなおすか。景品は一番殺したやつなんだと。」
「馬鹿か。どうせ裏がある。彼の方がそんな譲歩をする人間だと思うか。聞け。なんでもゲームマスターがロッジ様に今回の大会を提案したらしい。」
「ゲームマスターってめったにDESSQやらないらしいじゃん。なんで今更出てきたん。」
「現実の方が楽しかったからじゃないか。だって億万長者だろ。こんなゲーム作ったんだから。」
「いいなあ。ロッジ様もゲームマスター様も好き放題できて、だって触覚さえあるんだよこのゲーム。もうこっちの通貨の方が価値があるなんて言ってる情報誌もあるくらいだ。」
「まあその時になってみれば分かるでしょ。」
そして数日後ロッジ様主催の戦争ゲームが始まった。
「皆の者。今回の闘技大会は固有スキルである白藍麟竜ログ・ウィルミルの逆鱗を与える。これはゲームシステムに干渉するものではないが、どのスキルよりも効果範囲そして威力が高い。
このスキルがあれば他の国であっても重宝される。皆全霊で臨んでくれ。」
「はいバノム・ロッジ様。」
ゲームマスターが出てくるというのは想定外だ。そもそもこのゲームに強く干渉していい人間ではないはず。だが直々にゲームシステムを変えられるのであればこの好機を生かさない手はない。これですべての国を統治できるかもしれない。
「国王様。今回のゲームマスターの動きが明らかに不穏です。真っ先にやつを倒し、コロシアムの範囲外へと送るというのは如何でしょうか。」
「ああ。頼むぞRoz・Esly。」
「あ、ありがとうございますロッジ様。必ずやゲームマスター共々蹴散らして御覧に入れます。」
「下がっていいぞ。」
やった。会議に戻ろう。
「という作戦で行くことが決定した。今回は敵がかなり少ないがゲームマスターが出る。普通の装備で戦うことを契約したらしいが油断はするな。」
「「「死ね、ゲスリィ。」」」
「いつもESLYだけ特別扱い。どうせ、ロッジ様の事利用しようって腹積もりでしょ。あんたの戦略は相手の安心した背中を爆弾で焼き尽くすようなものばかり。人として信用できないの、あんたは。」
「脳のない単細胞のお前がいくら忠誠があろうとこちらの仕事が増えるだけ。迷惑なだけだ。お前は兵を連れてとっとと戦場に行ってこい。」
「品のないESLY。あなたの忠誠心は小粒程度は認めてあげる。でもね、あなたのいいところは冷徹で意地悪なところ。それだから兵士たちもたくさん見殺しにしてきた。リスポーンするからって兵士たちだって傷ついているのに。思慮のないお方。」
「黙れ、LIZRIRU。」
「おいおい。お前らだって自分の利益を優先してるから、今日こんなにやる気なんだろ。今回の景品だってどうせ裏で画策してお前らの誰かがまた手に入れそうだもんな。からねちゃんはいつもあんな感じだけどさ。つーか白藍麟竜はちょっと弱いんじゃないか。どうしてそう躍起になる。」
「躍起になってるのはあなたじゃなくて。一番強欲だわめしちさん。あなた家の土地だけでもう半分王国みたいになってる。」
「そうそう。あんたはいつも邪魔ばかり。」
「東めしち貴様の戦術を私は高く買っている。逆に聞くが貴様は今回の景品を狙っているのか。」
「狙ってなんかないよJEMITH。ただ今回のは面白そうだから参加したいなあって思っただけ。」
「東めしち。貴様の行動のせいで度々統率がとれなくなっている。事前に戦術を伝令しろ。」
「俺が考えないと負ける盤面結構あったじゃん。ESLY、昔はそんな人じゃなかったのに。」
『ESLY、夏ラ音衣、JEMITH、LIZRIRU、東めしち、お前たちには今回の大会以外にもアルスウェーブ海辺りの土地を渡そうと思っている。だが、ゲームマスターがなんの考えもなしに今更この世界に来るはずがない。心してかかろう。』
「「「「「かしこまりました」」」」」」
「時間だ。行くぞ。」
「なあ。今回の景品の固有スキルっていつもみたいななんでもできる感なくないか?」
「う、うん。でも仕方ないよ。今回のゲームで力が認められれば王宮近くに住めるし、土地だってもらえる。景品は王宮に住んでいる王妃様たちか五景人がまたもっていっちゃうって。」
「よろよろ〜。DESSQ楽しんでるかーお前らーー。」
「まーじで獣みみ最高。」
「はー。エルフの方がいいに決まってんだろお。こいつ真っ先に殺す。早くゲームしてえ。」
「はーい。バノム・ロッジ国王様主催のバノム闘技大会へようこそ〜。今回のルール説明をするぞい。ルールは簡単。エリアはこのレンドランク王国の城門まで。門が完全に降りたらスタートの合図でゲーム開始。このエリア内で死んだらソルコスト教会で復活する。復活したらエリア外だから自動的に退場ね。ルールはエリア外に出たら負け。それだけ。最後まで残ってた人の優勝。景品ゲット。以上だぞお前ら。司会のニルフィーナでした。」
「なああの人初めてみたんだけど可愛くないか?」
「なんだこの体から溢れ出る未知のエネルギーは。」
「あいつら終わったな。ニルフィーナのレアスキル知らねえのか。真っ先に自我乗っ取られるぞ。」
バノム・ロッジ国王様は既にレンドランク王国の雲上にいた。自身に幽霊化及び無限浮遊の魔法をかけてレンドランク王宮内に自分の身代わりを分身魔法で配置している。
「バノムクラン、参加するものは揃っているな。此度の戦争はかのDESSQの開発リーダーにしてゲームマスターの緋戸出 セルが来ている。何か計画があるように思える。皆警戒し緋戸出を見つけ次第迅速に殺せ。」
「「「「「「「は‼︎」」」」」」」」
「お前らも配置につけ。今回は個々の軍で指揮を行う。いいかこれは重要な大会だ。国王闘技とはいえ慎重にいこう。」
「で、なんでまた俺が城門前広場なんだよESLY。お前はほんとうに俺のことが嫌いなんだな。俺は悲しい。昔はもっと天真爛漫だった。」
「黙れ。貴様のそういう昔話を何度もするところが心底憎い。与太話をしている時間はない。状況を教えろ。」
「えー敵の数は100人くらいかな。ゲームマスターらしき人はいないけど、アルグレットクランのesetosが参加してる。大丈夫10秒くらいで終わるよ。全員終わったら本番なんだからちゃんと連絡だけはしてよほんと頼むから。」
「さあな、LIZRIRU、状況は。」
「最近私を遠ざけるようになったESLY。今回はあなたにとっておきのプレゼントを考えたの。楽しみにして待っておくことね。」
「そんなことはどうでもいい。状況を教えて。」
「はいはい。こちら西城門前広場、ええゴスぺラクランの幹部久良蜘蛛がいるわ。私の蘇生魔法なら対抗できそう。安心して。必ず討ち取ってあなたの前に現れるわ。」
「分かった。カラネ。状況を説明して。」
中央西エリア。
「こっちはざっと1000。今回はいつもより少し多い。嗅いだ感じ数だけ。敵になりそうなやつはいない。すぐに蹴散らす。」
「頼む。JEMITH。状況は。」
中央東エリア。
「こちら中央東エリア。他国の敵軍のようなものはなし。斑に500人が散っている。まず合図と同時に私の力で包囲し兵が上から射抜く。状況に応じて動くつもりだ。いつも通り王宮への道は完全に封じておく。」
「頑張ろうねみんな。よーし。みなのものー準備はいいかー。3,
「よし。では、ゆくぞ。全員の戦が終わり次第こちらから連絡する。」
「2,1、すたーとー。」
「「「「「「「ロッジ様に平伏せよ」」」」」」」」」
合図が始まってすぐに、一方的な蹂躙が各地で起こった。
と思われたが、合図と同時に体制を崩したのは、バノムクランであった。
中央西エリア
「なんだあいつら。合図がなったってのに戦おうとしない。」
「まあ全員で向かってこようと返り討ちに・・おい。まあまあの数がマントを羽織って逃げてるぞ。あははは。夏ラ音衣様、今回のは手応えがありそうですよ。」
「面白え。久々に腕がなる。こちらカラネ。300くらいの草食野郎共が一斉に黒いコートを羽織り全身を隠した。目で見てわかる。明らかに分散してる。技使うぞ。」
ザザザザザあザザえザザい
「おい聞いてるかESLY。さっさと応答しろ。おいっ!!」
城門西エリア
「毒蜘蛛糸を補強する魔法を重ね合わせてできた絶対に切れない毒蜘蛛網だ。しかも俺のはDESSQ一と虫モンスター研究会で評判だからな、くへへ。」
「なにその研究会気味が悪いわ。まあ毒の周りは激しいけれど、厄介なのはこの煙ね。蜘蛛糸に捕まった状態だから私の兵士の位置を完全に把握できない。」
それよりさっきからESLYたちからの報告がない。妨害魔法は対策してきているはず。一体どうなっているの。
城門東エリア
すでに勝敗は決しており、東めしちが上空へ狼煙をあげた。
「通信が途絶えた。おそらく何らかの妨害魔法だ。まず、2手に別れるぞ。リヌピコに続いて足の速い者は中央西で支援。最も数が多い。ついていけないものは置いていって構わない。」
「はい。」
「足の遅い者、負傷した者は中央東JEMITHのもとまで行きすぐさま状況を報告しろ。俺は国王様に報告しに向かう。以上。」
「「「「は。」」」」
中央東エリア。
中央東の500名はゲームマスターの仲間であった。スタートの合図と同時にメガホンを使用。JEMITHに動きを悟られないよう錯乱させ、詠唱。JEMITHの位置めがけて様々な魔法を一斉放射。しかし結果、目標は周りのタンクたちを犠牲にして、崩れかけた体制を瞬時に整え、他幹部からの連絡が途絶えたことを確認。
最上位魔法も含まれている。私の兵がやられた。
「恐らく夏ラ音が発狂能力を使用するだろう。包囲は解かずこのまま追い詰める。陣形 闘牛の構え。」
JEMITHは味方の筋力を大幅に増強。弓ではなく剣による全角度からの一斉攻撃。
すぐに決着すると思われたが、相手は小さな範囲の揺れを引き起こし使える煙玉全てを使用。それでも顔色を変えず向かってくる兵士たちから逃げるように人がいなくなった建物内に散りじりになった。
「みなさん。立てるものはとにかく相手の兵士に魔法を放ってください。建物内を守ります。」
無駄な足掻きだ。時期配置を正確に、
ドカーン。
「は!?なぜ当たる!」
相手の全ての魔法攻撃は建物内にいる敵を襲う兵士たちではなく、自らに向けられていた。しかも大規模な白煙の中なぜか位置を特定していた。
待て。なにかおかしい。なぜ時期に消える煙玉をこんな数一度に使う必要がある。外套を羽織っている魔法使い共の中に見られたくないものがあるのか。不覚。ここまでの敵であれば本気で臨もう。
「聞こえる者は直ちに動け。陣形 風殺の構え。」
相手はすでに建物内にいる。煙を消すのは不利になるが仕方あるまい。
マジックアイテムである吸引フラスコをいくつか各地で使用。そして吸い込まれた敵をあらゆる角度から剣で挟み込む。
「よっと。倒した雑魚敵共の中にNPCのはずのエルフがいました。JEMITH様。こいつです。」
そうかNPCの妖精族か。エルフの中には魔力の流れを正確に視認できる者がいる。
「緊急です、JEMITH様。会話を遮ってしまい申し訳ありません。東めしち様から報告です。城門東は終わらせた。連絡が途絶えたのは超音波によるものらしく、我々が情報網となり状況を随時伝えると。」
丁度いい。
「了解だ。敵の中にNPCがいる可能性が高いと伝えろ。」
「JEMITH様。それ僕が伝えたほうが速いと思います。いいですか。」
「詩鶴。頼んだ。通る際に包囲を開ける。」
「お任せください」
NPCのエルフが目を覚ましていた。
「貴様ら人間共の支配は今日終わる。景品を手に入れ一網打尽だ。覚悟していろ。」
「ああ。今回は寝首を掻かれた。皆の者聞け。敵の中のNPCのエルフがこちらの魔力の流れを読んでいる。禁止行為は避け捕縛しろ。殺すな。」
「煙が消えて兵士の位置がまるわかりだ。こちらは建物内にいる。状況不利はない。もう一度叩くぞ。」
「「「「「おおおおおおお」」」」」
「申し訳ありません。ゲームマスター。」
中央西エリア
夏ラ音衣がまず発狂能力を使用。その轟音を聞いたものはただちに動けなくなる。しかし、黒いコートを纏っているものは様々な路地に散った。すでに夏ラ音衣が100名近くを狩っており、今も獲物を速やかに見つけようと飛び回っている。
「くっそ、また見失った。」
やっちまった。味方が動けねえ上にコート羽織ってるやつらは平然と逃げていきやがった。しょうがない。俺一人でもなんとかするしか・・。
「夏ラ音衣様。ご報告に参りました。お初にお目にかかります。詩鶴と申します。JEMITH様より伝言がございます。」
同時刻。
東めしちは既に王宮に到着していた。
「国王様。戦況は城門東のみ決着し、他のエリアはいまだ戦いが続いております。またJEMITHより今回の敵の中にはNPCが紛れているとのご報告がございました。禁止行為に抵触した場合、ゲームマスターから無期限追放をくらうとなっておりますが如何いたしますか。」
「構わん。私に任せていいぞ。ふふ。久しぶりに国王闘技で出番が来たらしいな。嬉しい。いつもは仲間内で馴れ合っているだけだ。チートスキルなんてまともな使い方を忘れてるかもしれんからな。思い出しながら戦ってみよう。」
雲の上でただ、遠くに見える空に漂う無数の美しいモンスターを眺めていた現最多国統治者のバノム・ロッジが今までの国王闘技で雲の下のプレイヤーをこんなに楽しそうな眼差しでみつめたのは初めてだった。
『Outside the system』
[かしこまりました。現在12のNon silver clown codeを所持しています。どちらをご使用されますか。]
「銀星鷹の瞳、時神の四次元目、精霊雲魚の細連動」
[承りました。]
彼がそう言い放ったということは雌雄が決し遊戯が終わる事を意味している。
「やはり、この視界はつまらんな。」
至高の固有スキルである銀星鷹シルバーエトワール・ホークの瞳は超広範囲能力全開示が可能。また同時に位置も表示されるため、相手がどんなスキルを使用しようとしても予め予測できる。
そして、時神ルーピルの四次元目は使用した直後、時間が停止した状態となる。
その力たるやまさしく神業。魔法の細部にいたるまでバノム・ロッジが干渉したもの以外の全てが静止している。
天から明らかに次元の異なるプレイヤーが雲の下に姿を現した。辺りに黒雲を呼び起こして彼は言った。
「では行こうかsqui。雷神の乱怒。」
時間が動く。雷神セト・トルエドの乱怒は、雷を超広範囲に生み出した。王はその雷を丸めて粉々にした。
精霊雲魚レクトシーク・シラミウ、テレパシー使用。
『JEMITH。こんなことは久しぶりだ。 迅速に包囲を解け。』
彼は反射で包囲を解かされた。
敵が密集している中央東、中央西のNPCのみを避けるように雷の雨は国中に降り注いだ。国民以外の視認しているプレイヤーを壊滅させるまで。
闘技は終わった、
「東めしちの動きが最も冷静だった。よって今回の景品である白碧竜の逆鱗は彼に譲渡する。」
ように見せた。彼はわざと周囲に景品を見せ、ゲームマスターを釣った。
ロッジの思惑通り彼は現れた。東めしちより先にESLYが動いた。彼女は妖精族の中に紛れており他のNPCを捕縛し彼を止めた。そして手をかざすと催眠能力で動きを封じた。
「ガアアアアアアアアアア」
その直後、夏ラ音衣が発狂能力を発動した。
あのバノムロッジでさえ油断しており場にいる者は身動きが取れなくなった。
だが彼にとって身動きが取れないことなどどうでもいい事。
『夏ラ音、裏切ったのだな』
状態異常瞬間回復を使用。一撃矛 リード・サピア で彼女を葬った。
しかし、ゲームマスターは素早いエレキミスト・バニーを大量に出し、景品をくすねて誰が持っているか分からなくなった。
「まあ貴様の意図は分かった、緋戸出セル。よし、では兵士の剣で戦おう。このまま一対一でいい。その代わり私が勝ったらゲームマスターになりたい。やってみたいことがあるのだ。」
ゲームマスターが構えを取った。
「ロッジ。お前の企みは怠惰な私でも知っている。期限を設けると言うなら約束する。」
「二年だ」
そこから彼の応酬は始まった。様々な方向から剣を振るい相手を退かせた。しかし一度もゲームマスターには当たらなかった。
「意味のないことをするな。剣を振れ。」
セルは質問には答えず、もの凄いスピードで走り去っていく。
「逃げるのかゲームマスターが。なんとも情けない。」
次に緋戸出は爆弾貝を用いたグレネードを投げまくった。しかしバノム・ロッジはそれを避けながらいくつか剣の峰で跳ね返した。
「昔よく使っていた剣も同じものだった。私はβテスターだからな。」
ガフッ。そこに緋戸出は倒れていた。位置は間違えなかった。間違えていたのは彼がゲームマスターではないということだ。
彼はリトル・フェスリムチ 人間に化ける子熊のようなモンスター。
本物はすでに剣を構えていた。
「あばよ、俺もこのゲームをず---っとめちゃくちゃにしたかったんだよおロッジ。天撃衝。」
彼はリード・サピアで彼の背中めがけ斬撃で倒した。
「天撃衝!天撃衝!天撃衝!楽しいなこれは。」
そしてすぐ周りの夏ラ音衣の能力で動けない者を次々に倒した。
DESSQではチートスキルを持つ者を倒すと当人に能力が譲渡される。
彼はバノム・ロッジらを倒し12のNon silver clown codeを所持した。
「DESSQを楽しんで下さっている親愛なるプレイヤーのみなさまへ、今日は超大型アップデートを盛大に伝えるためにやってまいりました。国王のみなさんも楽しんでいただけましたか。今日は人類の夢が一つ叶う日です。今までで最高のアップデートとなるでしょう。DESSQを今後ともよろしくお願いいたします。」
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