全ての力を奪われた暴勇バベル

おにまる

第一章 地上最強からの転落

第1話 地上最強の暴勇からただの村人に転落

人と魔族が争う世界の中で、ひたすらに己の強さのみを追い求める男がいた。


「善も悪も関係ねぇ、力こそが全てだ」


そう、それがその男の口癖であった・・・

男のやる事と言ったら、食う、寝る、強さを求める。 また好きな時に寝る、それがその男の唯一の邪魔されたくない事。だが、一度熱が入り一つの技を習得できそうになると、三日三晩寝ずに修行することもある。


「そう、これだ、これでまた一つ強くなった、フフフ・・・」


 何がその男にそうさせるのか、その意味すら忘れ去られるほどの年月が過ぎ、気が付けば地上最強と呼ばれるほどの力を身に着けた男は、その力を善に使うでもなく、悪に使うでもなく 何者ともくみせず、ただ己の赴くままに。


 そして人々は畏怖と敬意からこう呼んだ「暴勇バベル」・・・




  バベルは今日も強さを求めて魔界に来ていた強者を探して。

低俗な魔族は姿を見ただけで逃げるほどバベルの名は魔界にも轟いていた。




(今日も大したのに出会わなかった、魔界も大したことねぇな、もう俺より強い奴はいねーのかよ・・・)


 そう、ウトウト昼寝に入った。 最近ではもうバベルのまともな相手をできる魔族も見当たらず。好きな時に眠るそれが唯一の時間つぶしだった。が、バベルは寝てるのを起こされるのが一番嫌いだった。寝込みを襲った魔族の集落がバベルの怒りで焦土となることを数度繰り返し、いつしか寝てるバベルを見た魔族はそっと逃げるほどに・・・


一度寝ると丸二日寝ることもあったバベルのその日はいつもの日々では無かった。

その場所は魔王の住む山の中、そこでは世紀の一戦が繰り広げられていた。





~~~魔王軍団Vs勇者一行~~~




「たかが人間風情が我を滅ぼしに来たと聞いてどのような者か見に来てやったというのに、この程度か。」


 状況は魔王圧倒的有利な状況に見えた、魔王も傷を負ってるようだが、勇者一行は、戦士と魔法使いがやられ勇者と白魔導士の二人。 勇者も満身創痍、白魔導士は息も絶え絶え、勇者一行は撤退も許されない状況。


(もはやここまでか、せめてユリだけでも逃がせないか)


そう考えてた勇者・・・


「大丈夫、私も勇者チームの端くれ、覚悟はできてる!」


  その時であった、強大なオーラに包まれた力の権化がこちらにゆっくり近づいてきた。

バベル挿絵https://kakuyomu.jp/users/onimaru777/news/16818093074790676772


「うっせーな、人が寝てりゃドンパチドンパチとよー」


「その姿、貴様がうわさに聴くバベルか、ちょうどいい勇者もろとも消してやる」


「お前が魔王か」


「小賢しい、勇者ともども散れ!」




魔王が強大な魔法を撃とうとしたその刹那、魔王の体が後方によろめき魔法は発動しなかった。


「くぅ、キ、キサマ・・・・」


そう、魔王は何の反応もできずその身は崩れ落ちた。そこに立っていたのは一瞬のうちに魔王の寸前に移動し魔王の心臓を抜き取った暴勇バベルの姿がただ勇ましくあった・・・ ・・・魔王この程度かよ・・・


「助かったバベルど・・・!」


九死に一生を得たその安堵から安心しきって、バベルのその肩に後ろから手を掛けようとした勇者はバベルの裏拳で吹き飛んだ。


「その程度の力で勇者語るなボケ!」



呆然とする魔王軍残兵と白目をむいてる白魔導士・・・



__その時であった天から降り注ぐ一筋の光、その光についで降りてくる一人の女神。

フレイア挿絵https://kakuyomu.jp/users/onimaru777/news/16818093074872820662


「トトト、とぅ」


「何者だテメェ・・・」


「あなたがバベルね、私はフレイアと言います、いい加減にしなさい、あなたは何をしたか解ってるの?」


「魔王と勇者ぶっ飛ばした、それ以外の何があるってんだ」


「はぁー・・それが問題なのよ、魔王はあれはあれで魔界を牛耳ってるの、いわば魔王の恐怖で魔界はある程度統率が取れてたのよ。その魔王倒しちゃったらこの世界は制御不能よ。」


「あの勇者名乗ってたやつも魔王ぶっ倒そうと来てたじゃねーか。」


「でも勝てないように普通はなってるの!そうやって世界のバランスは保たれてるの!まったくぅ、あなたは世界の規格外なのよ・・・」


「うっせーな貴様も全部、俺が全てぶっ倒してやる!」


「ま、ま、待って私は無力、何の力もない女神よさすがの暴勇もそんな子に、手は出さないでしょ?。でもバベル君にはちょっとお仕置きが必要と言われたので、ごめんねテヘ」


女神はたった一つの技を持っていたそれはすべての力を奪い封印する能力。

女神がかざした手にバベルの体から光が、闇が、吸い込まれていく・・・


「くぅ・・力が抜けていく、動けねぇ・・・」


「あと、もうちょっと、なんて力の量なの・・・それにこのどす黒いのは・・・」


 その時であった、余りの力の量に耐え切れず吸い取られた力の塊は女神の手を離れ 打ち上げ花火のように天高く舞い上がりはじけ飛んだ。そしてその光は世界に散った。


「何しやがったテメェ」


「えっと・・半分成功で半分失敗しちゃったテヘ」


「テメェふざけてんじゃねーぞ、ぶっ倒す」


バベルが殴りかかろうとしたその瞬間、女神は容易くよけてバベルのほほをはたく。


___バチーン__ビターン!


なんでもない小娘の様な女神の平手打ちを食らい、おもいっきり地面にあおむけで倒されるバベル。


(この女神とんでもねぇ力隠してやがったな・・・)


「あ、言っとくけど今のバベル君無力だから私でも勝てちゃうくらいの」


「ど、どういう事か説明しやがれ!」


「本当はバベル君の力を奪い取って正しい力の使い方をわかってくれたら返すつもりだったの、だけど力が強すぎて弾けちゃったテヘ」


「俺の力はどうなったんだ!」


「わかんないけどー世界に散らばっちゃったから、また一つずつ集めるしかないかなぁー 。でも全部吸い取れたわけじゃない、なんか一個すごすぎて吸い取れなかった。」


 女神が調べると、バベルの生命力がすごすぎて吸い取れなかったようだ。言わば、とんでもなくしぶとく打たれ強い、なんの力もない村人になったようだ。そしてバベルの力は、技は世界に散らばりその対象は無差別に引き継がれていった 。


女神の説明によるとその散らばった力は特別なものでバベルが返還をもとめ、それに応じるとバベルに戻るようだ。


「そういう事だから、正しい力の使い方を身に着けてこの世界の均衡を守ってねテヘ、たまに様子見に現れるから、変な力の使い方しないようにねーその時はまた吸い取っちゃうから!がんばってねーフリフリ」


「くっそ、ふざけんな!マテコラ」


そして女神の姿は消えていった・・・。



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2024.04.03フレイア挿絵追加


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