第25話戦い10
買取り個室で、胃袋バッグを受取った。
「申し訳ありません。研究員が徹夜しても分かりませんでした」
何度も頭を下げて謝ってくれた。
「そうでしたか・・・何も分からなかったら仕方がありません。謝る必要もありません。そちらは、そちらの仕事をしただけです」
このように非を認めて、下手に出れば文句も言われないだろう。
改めて胃袋バッグ見た。穴や傷はなかった。
血だらけのタオルを解いたようだ。
結び目がじゃっかん違うし、そのタオルも洗ってる。
問題はなさそうだ。
持ってきた工具箱を入れてみた。
問題なく入った。
本当は心配だった。
1日が経過して機能が無くなる。
そんな心配をしてたのがバカみたいだ。
そして、地下1階に下りる。
「おい!あれって無限に物が入るバッグだぞ」
「それって本当な話かよ」
あれあれ、またも個人情報が筒抜けだよ。
ああ、困ったものだ。
ゴブ、リン、リーゴ、ユミを召喚。
「皆、行くぞ」
言い終わった瞬間に走りだす。
俺も一緒に走る。
地下4階まで戦いもなく進んだ。
4階では、最短ルートで進み4回も戦った。
魔石以外のドロップはない。
何かドロップするかなっと思ったのに残念だ。
目の前には、階段がある。
いよいよ地下5階へ下りる。
安全エリアでオー、クー、ランプを「召喚」
やっぱオークがいないと走る速度は違うな。
現れたオーが「ブー、ブ」
クーが「ブー、ブ」
黙ったままのランプ。
なんか挨拶ぽいぞ。
俺も、とっさに「ああ、おはよう」と挨拶する。
「ギャー、ギ」
「ギャー、ギ」
「ギャー、ギ」
「ギャー、ギ」
嫌々、お前らも挨拶するんかい。
「ブ、ブ、ブヒー」
オーが通路を指差す。
戦う気まんまんらしい。
「ヨシ!行くぞ」
ああ、オーやクーの走りは、やっぱりゴブより遅い。
ランプも更に遅い。
だから残して戦闘が始まったぞ。
リンが通路側面を駆け上がる。
そこまで速いのかリンよ。
そしてモンスターの後ろへ着地。
そのままジャンプして振返りながらヌンチャクを振り被る。
無防備なウィル・オ・ウィスプを光るヌンチャクが襲う。
当たった瞬間に「プシャッ」と火が飛び散った。
あ、オークは両方から攻められる体勢だ。
もう、パニックだ。
豚が犬より知能が高いって聞いたことがある。
豚は、鏡に映る自分を認識できる。
対して犬は見ても認識できない。
だから恐怖でパニックなってるんだ。
ああ、ボコボコにされて1体のオークが消えた。
ゴブが長くなった足で蹴り回す。
そのままよろけながら振返った状態で、リンがヌンチャクで頭を叩きつけられる。
そして崩れるように倒れながら消えてゆく。
「ブヒーヒー」とオーが叫ぶ。
サッと逃げるリンとゴブ。
オーは、四節棍を思いっきり振り抜いた。
すべてのオークの頭をなぎ払い、オークが次々に消えさった。
突然オーが「ブ、ブヒーヒー!」と叫びだす。
あ!進化だ。
オーに変化が・・・180センチのオーが膨らみだす。
「ブク、バグ」と皮膚が急激の盛り上がり皮膚を引き裂く。
引き裂かれた皮膚は、徐々に再生。
再生して、また引き裂く。
そして再生。
まさに急な成長って、こんなに悲惨な目にあうなんて・・・
「ブ、ブヒーヒー!」とまたも叫ぶ。
痛さを伴なう進化なのだろう。
我慢出来ずに叫ぶ。
こっちも見ていて痛々しい。
やっと成長は終わった。
身長は、200センチを超えているだろう。
胃袋バッグから工具箱を出して、巻尺を取り出す。
「シャーー」と伸ばして測る。
215センチそれがオーの身長だ。
35センチも一気に伸びた。ならば痛々しい光景も納得だ。
そんな成長したオーが「ブ、ブ、ブヒー」と叫ぶ。
これって行くぞって意味だ。
もうオーは、走り出している。
ゴブには負けるが結構速く走ってるぞ。
ああ、ランプとクーを遅れだしている。
あ、戦いが始まった。
ゴブがオーク1体を倒して消し去る。
リンも振り上げながらオークの右腕を切断。
ユミも矢を目に命中させて消し去る。
そこへ「ブヒーヒー」とオーが叫ぶ。
またも皆は逃げる。
四節棍が振られてオークを倒しながら壁に激突。
壁がポロポロと剥がれ落ちる。
もの凄い衝撃だ。
俺は、魔石を拾いながら「今からユミとクーだけがモンスターを倒す。それ以外は、防御だ。ユミは、ウィル・オ・ウィスプを積極的倒せ」
「ギャー、ギャー」とユミが返答。
遅れて「ブヒブヒ、ブー」とクーも返答。
ここは、ユミとクーの進化を企む。
ユミは、味方に当てないように後方から放つから倒す数が少ない。
クーも防御が主体だ。
どうしても進化に遅れが生じる。
その為の処置だ。
クーの走る速度に合わせる。
リンが「ガ、ギャー、ギー」と叫ぶ。
ああ、敵が来たって言ってるらしい。
ユミは、弓に矢につがえて準備をして、いつでも射れる。
クーも前に立って、雷撃準備だ。
あ、オークが現れた。
そんなオークたちの後ろにユラユラ揺れるウィル・オ・ウィスプがいた。
ユミが矢を放つ。
飛距離だが真っ直ぐに飛んで逃げるウィル・オ・ウィスプへ曲がって命中。
それが合図にクーが雷撃を「バリ、バリ、ビリ、バリ、」と放つ。
体から煙が立ち昇り、焦げた臭いが・・・次々に立ったまま消えるオークたち。
そんな戦いを繰り返した。
ユミがウィル・オ・ウィスプを仕留めた。
そして「ギ、ギャー、ギー!」と叫びだす。
「進化が始まったぞ」
「ブチッ、ボキ、バキ、ブチブチ」
骨が体を突き破って筋肉を引き千切る。
その筋肉が生き物ように再生してゆく。
次には、筋肉を隠すように緑の肌が覆い尽くす。
身長が150センチに伸びていた。
今回の進化は、体だけではなかった。
ユミが持っている弓が「バアン」と大きくなって矢も光って真新しく伸びた。
俺は、ユミの矢筒から矢を取る。
俺が魔改造した矢尻は変化してたよ。
こんなのあり得ない。
なんと尖った牙も大きく成長。
触っただけで切れそうな鋭さだよ。
武器の成長って・・・あり。
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