第19話戦い7
とうとう地下4階だ。
ここには、鉄球を持ったオークが出てくるハズだ。
背中にしょった鉄カゴには、鉄球が幾つ入っている。
その鉄球が当たったら大怪我ものだ。
自衛隊の中にも命を落とした人が多いらしい。
だから油断は、出来ない。
「ユミは見つけ次第、矢を射るんだ」
「ギャー、ギャー」
急にオーが「ブ、ブヒー、ブー」と叫んだ。
あ!オークが飛び出してきた。
手には、鉄球だ。
大きく振り被る。
しかし、投げる前に口に矢が命中。
そのまま消える。
あ!クーが駆け出す。
盾を前面に出しての突撃だ。
あ、相手の盾に当たる瞬間に「ゴロ、ゴロ、ドガン」と雷鳴の音が響く。
盾持ちのオークが2体は、立ったまま丸焦げだ。
そして消えてゆく。
想定していた威力を超えているぞ。
きっと電気系が発動すると思っていた。
まさに的中したよ。
それにしても肉を焼いた臭いがただよう。
生姜焼きのタレでもつけてたら、きっと美味しい匂いがしただろう。
後はゴブやリンとオーに任せる。
「バコン、ボコ、ボコン、」とこだまする。
鉄球持ちを倒せば楽勝のようだぞ。
次の戦いは、冷や冷やしたぜ。
俺の顔面スレスレに鉄球が通過。
ちょっと油断してた。
まさに生死を分けた戦いだ。
後ろの通路で「ゴン、コン、コロ」と音が響いた。
あのクソオークの野郎!とんでもない奴だ。
あ、仕返しできない。
しようにも植物が首に巻きつき吊るし上げているからだ。
足を「バタバタ」させて、手は植物を掻きむしっている。
「ボキッ」と音がした。
消えるオーク。
「バチ、バチ、バシュン」と放電。
残ったオークが倒れて痙攣しながら口から泡を吹き出す。
そして1体、2体、3体と消えていった。
クーが一ヶ所に雷を放つのでなく、広範囲にやればと俺の指示に従った結果だ。
こんなに上手くいくなんて思いもしなかった。
ゴブが「ギ、ギャー、ギ、グ」
なんか言ってるが分からん。
オーが「ブ、ブヒブヒ」
ああ、行くぞと言ってる。
オークを見つけた、いや鼻で嗅いだらしい。
先頭に走るのは、ユミだ。
あ、弓を構えだした。
そして矢を放った。
矢筒から矢を取って、また矢を放った。
そして、引き返して来た。
オークが接近して逃げたのだ。
入替わるようにオーが前にでる。
広範囲のカミナリを放つ。
「バチ、バチ、バシュン、バッ」
俺はスマホを見る。
この先の右通路で階段があることを確認。
「通路の先を右が階段があるハズだぞ」
え!俺を措いて走りやがったぞ。
俺は、魔石を必死に回収して走った。
前の通路からオークが来たらどうする積もりだ。
俺1人で戦えってか何を考えている。嫌、何も考えてないんだ。
右に曲がるためにスピードを落とす。
曲がった瞬間に一気にスピードを上げて走る。
あ、見えてきた。
誰が先に行くかで
速く行った意味がないぞ。
「ギャー、グ、ギャ」
「ブー、ブー、ブギ」
「ブー」
「ギャー」
「お前ら黙れ!俺が1番に下りるから見ていろ」
階段を1段、1段踏み締めて下りる。
階段を下りたら安全エリアだった。
助かった。ここで休憩だ。
ようやくゾロゾロと下りてきた。
なのでコンビニ弁当を配りながら説教だ。
「欲しいか!」
「ギャー、ギャー」
「それなら俺を措いて行くな」
「ギャー、ギャー」
最後の弁当をリーゴに手渡したら1つ足りない。
あ!クーがこっちをジーッと見てる。
俺の弁当の半分をフタにハシで分けてやる。
そして、おにぎりを包装を剥がして海苔を巻いて・・・
え!食い終わってた。
え!目は、おにぎりだ。
ポーンッと投げたらパクッと美味しそうに食べたよ。
俺が食うのを見るな。
仕方ないなーーたしか、もう1個買ったハズだ。
リュックをゴソゴソしてあった。
「ほら!クーのおにぎりだ」
「ブヒブヒ、ブー」と言って食いだす。
「これしかないから、ゆっくり噛んで食うんだぞ」
「ブヒブヒ、ブー」
おにぎりをチビチビと食ってるよ。
他の奴らは、食い終わってクーの食う姿を見てる。
ああ、コンビニ弁当1つでは、少ないらしい。
俺も食い終わった。
なのにクーはチビチビと食ってる。
結局、昼飯が30分だよ。
いつもは20分で終わるのに・・・
のどが渇いたので、お茶を一気に飲み干す。
「ギャー、ギ、ギー」
「なんだ飲みたいのか」
ペットボトルのお茶を、弁当に注いでゆく。
ペットボトルって重いだぞ。俺の苦労を分かってるのか・・・
これって俺の真似をしてるだけだ。
大して喉なんか渇いてない。
おいクーよ、舌でチビチビするなよ。
「さあ行くぞ」
オークを発見。
オークの後方に青い火の玉が見えていた。
「作戦通りやれば勝てる」
皆に言ってるが、実際は俺に言ってる。
俺は、ビビッていた。
リーゴの呪文が完了して植物が成長。
葉っぱが回転しながら青い火の玉に向かう。
かわそうとゆれ動く。
事前調査で遅い事は分かっている。
1枚の葉っぱが邪魔なオークの首をかき切る。
切った切れ目から「ドバー」と血しぶきを撒き散らす。
その血から逃れる青い火の玉。
逃げた先には、4枚の葉っぱが襲い掛かる。
「シュン、シュバ、シュッ、シュア」と切り刻まれて消滅。
やっぱ葉っぱ攻撃は、ただの攻撃でなく魔法攻撃だった。
これってクーの雷撃もありかもしれない。
クーは、広範囲の雷撃でオークを全滅させる。
そんな時だ。スマホが鳴り出す。
帰るタイミングだ。
初めてのダンジョンだから18時には帰りたい。
急いで魔石を回収。
青い火の玉からドロップした魔石は、青い魔石だった。
直径6センチだ。
青い魔石なんて聞いた事もないぞ。
冒険者ギルドの1階の特別室。
テーブルの上にリュックを置いてかき出す。
黄魔石 129個×4万円=516万円
青い魔石 1個未定
「この青い魔石が青い火の玉からドロップしたと・・・・・・」
「そうです」
「見た事がない魔石ね・・・金額は保留でいいかしら。こっちは516万円の振込みでいいのかしら」
「はい、それでお願いします」
「明日からは、通常の自衛隊も参加するけど邪魔はしないから、邪魔したら報告してね。対処するから」
本来ここは、自衛隊専用ダンジョンだ。
ホテルのような部屋は、自衛隊専用宿泊施設。
家族で住んでる強者もいるらしい。
なんでも夫婦で自衛隊員で、2部屋取って1部屋を子供部屋らしい。
冒険者ギルドも黙認。
そんな自衛隊に邪魔だとは言えないよ。
相手は、銃を持った自衛隊だ。
下手したら撃たれるかもしらない。
自衛隊を全面的に信用してない。
これって人間不信になった経験から出した答えだ。
ボディカメラで撮っていても放置されたら24時間で消滅。
証拠なんか残らない。
ダンジョン内は、一種の無法地帯と言ってもいい。
ああ、頭痛が・・・
あ、俺は1人じゃーなかった。。
仲間がいるんだ。仲間のモンスターを信じよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます