第9話
ラルフが母親のことを考えていたちょうどその頃、ソフィアは羊小屋の掃除をこなしていた。
ルーカス家は貴族の博を失ってからはみるも無残な衰退の一途を辿っていた。
衰退は衰退を加速させる。
ソフィア=ルーカスの頃にはすでに貧民に成り下がり、職を見つけるのさえ難しかった。
王政下にあっては、全ての人が階級化される。その階級ピラミッドの中で人々は前後の階級と繋がりを作り、現在の地位を安定させようとしていた。
当然、階級の最も低い貧民は商人になる事も、鍛冶屋になる事もできず、彼らと繋がりを持つのだってできなかった。せいぜいが農民と繋がり、彼らに仕事を与えてもらうにとどまった。
ソフィアはわずかなお金にしかならないと知りながらも、丹精込めて掃除を行っていた。朝から晩まで。
ここでも仕事がなくなったらラルフを養っていけない…それだけが彼女の原動力だった。
そして、彼女は亡き夫について、ラルフに秘密にしている事について考えた。
ルーカス家は呪われているの。
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