異世界転生したら超極悪皇子になっていたんだが…

@ebi0716

第1話 陰キャの日課

「にーちゃーん、僕のゲーム知らなーい?」

「……」

「ねー、にーちゃん!」

「……」

「ねーー!!にーちゃ――」

「うるせぇ!!今、レベル上げしてるんだって!!

ゲームくらい一人で探すんだ!!」

「ゔゔゔゔぅぅぅぅぅ…うえーーーーーーーーん!!」

ガダッッ!!

「こら!真人まさと!何、自分の弟泣かせてんだい!」

俺の名前は、阿部真人あべまさと、マジの陰キャ。

まぁ、誰に喋ってんだよって話だけど…

「しつこかったからだよ!まだ口でいうだけでまし――うぅゔゔぅ゙ッッ!」

頬がじんじん痛む。

マジビンタされたわ…うん。これは虐待だ!

「何が口でいうだけなの!弟が悲しい思いをしたのは変わんないでしょ!」

「…チェッ」

「舌打ちじゃなくて、土下座の方をしなさい!!」

「ホントだよぉ!ぅぅう、にいちゃん」

「お前は黙ってろ!」

「こら!お前って言わない!」

「しつこいんだよ!!ババ――」

ワーワー ブーブー ワーワー

これが阿部家の日課であった。



○―――――――――――――――――――――――――――――――――――

なんとか謝って許してもらった。

自分のプライドを捨てて、謝った俺だが、これには訳がある。

それは、ゲームをするためだ!!

「この野郎!皇子クロズ!!何もできないくせに!上から目線でしゃべるなぁ!!」

このゲームはRPGの中でもクリアが簡単になっているので、トントン拍子で、ストーリーが進むのだが、まあ、このようにめっちゃ腹立つキャラもいる。

「はぁ、カルズが羨ましいなぁーー」

逆にカルズとはこのゲームの主人公で、めっちゃハーレム状態の奴である。

このゲームに転生でもできるいいんだけどな。

まぁ、転生したとしても村人A程度だろう。

弟は…あいつ意外と優しいし、勇者パーティーの戦士くらいには、

なれそうだけどな。

「考えてたら眠くなってきたな。今日も結構収穫あったし、夜中だし、ゲームをやめて寝よう」

時計を見ると深夜2時である。

他の奴は、何周も夜中までゲームをやって何が楽しいんだよ、とか言う奴がいるけど、そういう奴はこのゲームの良さを分かっていない。

お前は、ゲームの概念を知らないんだよ!って言いたいくらいだ。

そんな事思っていたら、眠たくなった。

「今回で5周目、か…」

俺はゲームの電源を切ってベッドに身を投げる。

なんだろう、何故か急に眠く―――――


「……スピー……スピー……」



いい夢見れるといいな。

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