第17話 打ち上げ後の夜
体育祭の打ち上げも終わり、宇佐美がお風呂に入っている間にある程度服を脱ぐ。羽織っていたシャツを脱いで、ネックレスや腕時計を外し、いつもの場所に置いていく。
それまでしっかりと着ていた服を、軽くボタンを外したりするだけでどこか解放感がある。
「ふぅ…」
服を少し脱いでラフな格好になったので、ソファに腰掛け、無音のリビングは寂しいので、BGM代わりにテレビをつけてスマホを見てゆっくりする。
10分程リビングでゆっくりしていたが、やる事を思い出し自分の部屋に行ってパソコンを起動して、動画編集をし始める。
最近は色んな動画の再生数も増えてきて、コメントを貰える事も多くなってきたので、やる気が出てきている。
その後しばらく動画編集をしていると、ドアをノックする音が聞こえてきた。
「は〜い、はい」
「お風呂空いたよ」
「ん、わかった」
俺はそう言って着替えを持って部屋から出て、脱衣所に向かう。
宇佐美は既に髪もドライヤーをかけ終わっていて髪は乾いているが、1mも無い距離に近づくとシャンプーの良い香りがしている。
脱衣所の扉を閉めて、脱いだ服を洗濯カゴに入れてシャワーを浴びてから湯船に浸かる。
今思い返せば今日は色々あった。気づけば宇佐美とデートに行っていたし、その後は顔の良い女子達に囲まれて打ち上げに行った。しかもほぼ確実にあの中の誰かと間接キスはしている。
あの飲みかけの様な量の、ごちゃ混ぜの飲み物は誰が飲んだ後なのだろうか…間接キスを気にしなさそうなのは、伊織や竹内、そして樋口だろうか…その3人…誰でも嬉しいな、よし!
思えば宇佐美が俺の家に来始めてから、まだ半月程しか経っていないが、すっかり宇佐美も慣れたようだ。体育祭やら色んなイベントがあったせいで、1ヶ月は経った感じがする。
風呂に入ってゆっくりした後に洗顔やらを済ませてリビングに戻る。
「あ、宇佐美先に服洗う?」
「あ〜…梅野が先にしちゃっていいよ」
「わかった」
先に俺の今日着ていた服等を洗濯機に入れて、洗剤と柔軟剤を入れる。
俺的に柔軟剤は結構大事だと思っているので、色んな種類の物を買い始めている。個人的にはランドリーの柔軟剤がパッケージ的にもオシャレで好みなので、様々な香りを試している。
柔軟剤の詰め替えは売っているが、柔軟剤を入れるパッケージが置いていないのは少し残念だが…
今日は青色の新作を試しに使って洗濯機を回してみる。そして自分の部屋に戻り、また編集作業を再開する。
気づけば45分程経っていたので、洗濯機から洗い終わった服を取り出してハンガーにかける。俺はこの作業はあまり嫌いじゃない。自分の服が、柔軟剤のいい匂いに包まれているのが分かるからだ。
すると、宇佐美が洗濯機の方に近づいてきた。宇佐美も洗う服があるようなので、少しだけ洗濯機から離れてハンガーに服をかけていく。
「それいい匂いだね」
「ほんと?ありがとう。宇佐美的にどれが1番好きとかある?今日のは新作試してみたんだけど」
1番身近に居る人だし、そういう人の好みは把握しておきたい。宇佐美はそれを聞いて、「うーん…」と考え込み始めた。
俺は柔軟剤の入ったボトルを持って、蓋を開けて宇佐美に匂いを嗅いでもらう。何本か嗅いでもらったあと、宇佐美は少し悩んだ後に「これかな?これが1番好きだったかも」と答えてくれた。
「白のやつか、クラシックフローラルだ」
「そなの?だいぶ好き」
「ありがと参考になった」
俺はハンガーにかけた服を干して、リビングのソファに腰掛ける。少しして宇佐美も服を干し終えて、俺の隣に座って一緒にテレビをゆっくりと見始める。
「今日はありがとね、梅野」
「ん?別に良いよ、どうせ暇だったし。あんな感じで誘われないと、休みの日はなかなか外に出ないし」
「また服見に行くの連れて行って良い?」
「良いよ」
「ありがとう…」
「明日はどっか行くとかある?」
「…?無いと思うけど、どこか行くの?」
「いや、行かないけどどこか行くなら聞いときたくて」
「あー確かに」
どこかに行くならなるべく前日から知っておきたい。念の為聞いておいたが特に無いようで良かった。明日はゆっくり休もう。
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