神の隠し子
桜鳳
序章
よくある田舎の、よくある夏祭り。
2人の姉妹が楽しそうに屋台を回っていた。
妹は今日初めて夏祭りに来たらしく、楽しそうにわたあめを頬張っている。姉はそんな妹の手を引きながら、屋台で釣ったヨーヨーを弾ませていた。
「次はどこに行く?」
「えっとね、陽菜たこ焼き食べたい」
妹はそう言ってすぐ先の屋台を指差したが、人気なようで数メートルにわたって列ができていた。
「結構混んでるね」
姉は少し並ぶのを躊躇したが、姉もたこ焼きを食べたかったらしく、2人は並ぶことにした。
並び始めは会話やしりとりで暇を繋いでいたが、次第に会話は少なくなり、疲れもあってか2人も口を閉ざした。
しばらくして少し先の客がたこ焼きを受け取り、もう少しでたこ焼きが手に入ると思った時、
「キャッ」
声が聞こえ、姉は驚いて妹の方を見たが、そこには妹の姿がなかった。
「陽菜?...陽菜!?」
姉は慌てて、周りを見たが妹はいない。屋台列を抜け出し、探したがやはりいない。
泣きそうになったが、家に帰ったのではないかと思い、姉は走って家に帰った。
「お母さん!」
息を切らしながらも家に着き、勢いよくドアを開けた。母は台所で父と自分の夕飯の準備をしていた。
「どうしたの桜?夏祭りは?」
「陽菜帰ってない!?」
母は驚いていたが、今度は首を傾げた。
「ひな....?お友達の子?」
「違うよ!妹の陽菜!」
母は依然として分からないといった顔で首を傾げている。姉はだんだんと怖くなってきた。母は真顔になり、真剣な顔をして言った。
「桜、あなたに妹はいないわよ?ずっと1人っ子
なんだから」
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