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第二章では空想について語られる。存在と永遠回帰への空想の本の中の空想とは簡単に言うと他者の心ことだった。(自分の心のことではない。自分の心のことは夢と語られる)なぜ他者の心と定義されるのかと言うとそれは空想が個人のものではなくて関係性によって生み出される共通認識であるからだ。(交換価値があると言っても良い)自分と他者の両者の間に共通の認識がある。その共通認識のことを空想(あるいは世界)と呼ぶ。
「生きることは空想を広げる行為である」と女の語る存在の定義を認めた上で男は言う。「しかしそこに神はいない」タバコの煙を吐か出しながら男は言葉を続ける。
「神とはある共通の言語を話す民族の集団の中で生み出される規範、常識、理想とされる姿。もっといえばその民族の中で生み出される空想のすべてを集めたものが神と呼ばれる概念である」と男は言う。
「しかし共通認識が技術の発展に伴い言語や民族の壁を越えて空のように世界のすべてを包括するとき、そこで生み出される空想の総体はもはや神ではなく現実そのものである。それはつまり存在であり、存在は神なに世界の語り部であり、孤独な旅人であり、親を亡くしたこじでおり、また自由を獲得した真の自由存在でもある」男は語る。
「神とは世界がいくつかの壁によって別れて存在するときにだけ存在する集団、国家、文化の生み出す大空想であり、それは対立があるからこそ生まれた壊れることのない完璧な壁であり、境界である。空想の概念が世界のすべてを包み込むとき、壁はなくなり、神もいなくなる。そこにいるのは人であり、人間そのものである。神がいなくなり、人が生まれる。神と人は同時に存在することができない同じコインの裏と表のような関係なのだ」男はタバコを灰皿の中で揉み消した。
その男の意見に対して女は反論する。
女は神様とは子供のことであると言う。そのあと男と女は長い(五十ページくらい)議論の末に神様とは子供そのものであると存在と永遠回帰への空想では定義する。(間違っていないと影は思った)
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