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「あ、配信してまーす」

「了解です。こちらも配信してます」

「こっちも~」


 今日は待ちに待った(というほど待ってはいないが)コラボ配信である。前回はるなさんに任せて自分の配信枠を取っていなかったが、今回は内容も内容ということで、それぞれ枠を確保している。


 画面に映し出されているApeniteの文字。最近巷で流行っているらしいFPSゲームで、何でもこれまでにない躍動感のある撃ちあいが体験できるらしい。1部隊3人×20の計60人でチャンピオンを目指すバトルロイヤル方式。配信者の間でも流行っているのは知っていたが、生憎とこれまでは触れることがなかった。そんなゲームを今回、るなさんと一緒にプレイしていくわけだが……。


「あっ、招待ありがとうございます!」


 事前に済ませていたフレンド登録のお陰で、すんなりと同じパーティへの参加が完了する。いわゆる「ロビー」と呼ばれる画面には3人のキャラクターが映し出されている。一人は自分。中央のキャラクター頭上に【Haru】のユーザー名が浮かんでいる。その左隣には【YumemiRuna】のユーザー名。言わずもがな、るなさんのキャラクターだ。そして最後に右隣。【AsaneMui】というユーザー名のキャラクター。


 彼――否、彼女は、僕たちと同じVtuberだ。更に付け加えると、ぜろいちに所属のライバー。しかも、るなさんと同じ五期生の「朝寝あさねむい」である。今回は助っ人として参戦してくれている。


 彼女は「ベストカップルGP」に出演しているわけではないので、コラボ相手として多少の事前情報を仕入れさせてもらった。どうやら彼女は、男性人気の高い五期生の中でも一番登録者が多いらしい。特に、親しみやすい性格と常に楽しそうな雰囲気の配信スタイルが人気を集めているようだ。そんな彼女が助っ人として参戦してくれるのは何とも有難い話である。


「改めまして、こんはる~! 個人勢Vtuberの陽です。今日は巷で流行りのApeniteを初めてプレイしていきたいと思います~! そして、本日の心強いパートナーは!」

『こんるなー。今日も一緒に夢見よ。ぜろいちに所属の夢見るなでーす。陽さんの初Apeniteの指導役として呼ばれました。そして今日はもう一人」

『こんむい~っ! みんなの眠気を吹っ飛ばしちゃうぞっ。ぜろいちに所属の朝寝むいです! 今日は助っ人として参加させていただきます。というかるなち・・・、指導役なの?』

『逆に他にある?』

『恋人役』

『ぶっ――!? あ、あんたねえ』

『えっ? 違わないよね、陽さん?』

「いやまあー……フィクションという前提であれば、そうかもしれないですね!」

『きゃ~~~♪』

『フィクションって知ってる?』


:こんるな~

:こんはる!

:こんむい~~~!!

:事前告知されてたから知ってたけど、ホントにむいちゃん混ざってんのか

:あくまで助っ人としてだから自枠は取ってないっぽいね

:むいちゃんらしい

:このコメントは削除されました

:早速飛ばしてるね~

:指導役兼恋人役(フィクション)

:両手に花とはモテ男は違うねぇ~【カナタ・ノミラーイ】

:カナタおる

:お前が燃やしにくるなw

:燃やされるべきはお前だろw

:というかApeniteなんだな、てっきりVALEXかと思ってたわ

:それは確かに

:最近よくやってるしね、五期生


 コメント欄にいるカナタはさておき、何人か鋭いリスナーがいる。実は、コラボでやるゲームの候補として最初にあがっていたのが「VALEX」だった。VALEXを簡単に説明すると、5vs5のラウンド制FPSだ。爆破を目論むテロリスト陣営と、爆破を阻止するカウンター陣営に分かれて戦うのだが、このゲームのいいところはFPSを知らない人がプレイを見ても楽しめる、シンプルなゲーム性だろう。実際、配信者の多くがVALEXをプレイしており、自分もコラボに誘われてプレイしたことがある。また、るなさんを始めとした五期生の面々もよくプレイしているらしい。


 ではなぜ、VALEXではなくApeniteを遊ぶことにしたのか。


『あー、VALEXは単純に人が集まらなそうだったし』

『えっ? めちゃくちゃ嘘つくじゃん。本当は五期生みんなで助っ人として参戦する予定だったんだけど、どうしても一人多いじゃん。誰も譲ろうとしなくて、それならApeniteで一人だけ助っ人として送り込もうって話に落ち着いたってわけ!』

『なんで全部言っちゃうかなぁ!?』


:理由草

:五期生は五人だからな、陽を入れるとVALEXできないのは確かにそう

:陽が抜ければいいのでは?(名案)

:本末転倒じゃねーか

:迷案きた

:ベストカップルGP忘れるな

:というか逆になんで五期生はそんな乗り気なんだ?w


『え~。だっていつもツンツンしてるるなち・・・が異性といちゃこらしてるのとか見逃せないじゃん? ちなみに最終的にApeniteになったのは、「VALEXみたいに人数多いと、陽さんとちゃんと話せないかも」っていうるなち・・・の鶴の一声があったからなんだけどね!』

『だからなんで全部言っちゃうかなぁ!?』


:ただの野次馬じゃねーかw

:このコメントは削除されました

:全部バラすやんw

:これには陽もにっこり

:どう見ても苦笑いです

:このコメントは削除されました

:ユニコーンくん阿鼻叫喚

:るなちゃんなりに真面目に企画に取り組んでるんだろ

:フィクションだと分かってない駄馬が多いのよ

:今のは荒れても仕方なさそうではあるw


 まあ、そういうことです。今の話は前もって聞かされていたので驚きはしないが、るなさんが自分の気まずさだったりよりも企画のために動こうとしてくれていることが有難かった。何はともあれ、このコラボ配信をめいっぱい楽しんで成功させなければ。


『と、とにかく! 最初は訓練所から始めましょう! むいはあくまで助っ人なんだから大人しくしてて!』

『はーい』

「よ、よろしくお願いしまーす!」


:やっと始まったか

:前置きが長かったなw

:盛り上がりは十分

:むいちゃんがいるからかもしれんが同接もふつうに一万超えてるやん


『そういえば、陽さんってFPSゲーム自体の経験はあるんでしたよね?』

「そうですね。それこそVALEXとかは結構コラボに誘われたりします」

『ば、VALEXのことは忘れてください!』

「え、あ、すみません……?」

『と、ともかくっ、Apeniteは他のFPSゲームに比べて純粋な撃ちあいに関しては弾とかも真っ直ぐ飛ぶので、割とすぐにコツを掴めるんじゃないかと思います』

「そうなんですね。自分が見た動画だと空中で急に曲がったりしてるのとかもあったんですけど」

『あー、それは玄人寄りの技術なんで多分今回は気にしなくて大丈夫だと思います』

「了解です! あ、訓練場入れました」

『おっけーです。じゃあとりあえず武器があるところまで行きますか』


 るなさんのキャラクターを追い、初めての武器を拾う。何だかこれまでやって来たFPSゲームとは違って、少しファンタジー要素があるような見た目をしている。そこから少しるなさんの説明を受ける。曰く


────────

・弾の種類がいくつかあり、その中でさらに複数の武器種がある

・得意な武器を幾つかピックアップして、最初はそれを練習するのがおすすめ

・バトルロイヤルは斜線管理と立ち回りが特に大事

・キャラごとにそれぞれのアビリティがあるが、少しずつ覚えていけばOK

・キャラコンとかグレネードとか他にも大事なことはあるが、最初はとにかくエイム、斜線管理、立ち回りを頑張ろう

・安全地帯への移動は自分たちが先導するのでひとまず気にしなくていい

────────


「なるほど。とても分かりやすい」


:るなちゃんが誰かに教えてるの初めて見たけど、要点まとめて教えてあげるの良いな

:もっとこういうの出していけば配信も伸びるのでは

:五期生はみんなFPSゴリラだから……

:外部(異性)とのコラボは燃えがち

:単純に陽の理解度が高いってのもあるんだろうけど

:というか陽のAIM普通によくない?BOT相手とはいえ

:それは思った

:まあ他のFPSに比べたらリコイルとか無いようなもんだからな


『ふむ。るなちと付き合ったら、こんな感じで手取り足取り教えてもらえるのかぁ』

『なっ!? 珍しく大人しくしてると思ったら……』

『えー? でもリスナーの皆も、るなちの新しい一面にめろめろだよ?』


:激しく同意

:手取り足取り……ごくり

:ガタッ

:落ち着け!これはフィクションだ!


『というか陽さんも慣れるの早いね!』

「そうですか? 多分、るなさんの教え方が上手いんだと思います」

『そ、そう?』

『うわ、露骨に嬉しそう』

『そ、そんなことないから!』

『というか陽さん、るなちのこと下の名前で呼んでるんですね。男性の方でそう呼んでるの初めて聞きました!』

「そ、そうなんですか? 自分的にはまだ少し恥ずかしいんですけど、るなさんがそう呼ぶようにって」

『えっ!? るなちからお願いされたんですか!?』

『企画の一環でね!? それに「陽さん」って明らかに下の名前だし、お互い様ってことでお願いしただけだから!』

『なるほどなぁ。じゃあ私が「むい」って呼ばれても問題ないよね?』

『企画的にはちょっとでも嫌がった方がいいのかもしれないけど、何だかまた凄い茶化されそうだから全然呼んでもらって大丈夫です』

「あれ、自分の意思は……」

『「むい」でお願いしまーす!』


:褒められて嬉しそうなゆめみん可愛い

:ちょろいな

:そして「るなさん」呼びを指摘される

:るなちゃん、あくまで企画であることを強調

:これにはユニコーンくんもにっこり

:むいちゃん「じゃあ『むい』呼びでも問題ないよね?」

:このコメントは削除されました

:このコメントは削除されました

:るなちゃんが止めたら止めたでガチ感出るし、止めなかったら止めなかったで「むい」呼びが確定してしまう

:あっ詰んだ

:このコメントは削除されました

:まあむいちゃんは割とフレンドリーだから異性で呼んでる人もおるし……


『もう! 冗談はこれくらいにして試合に行くよ!』

『はーい。あ、でも「むい」呼びはお願いしますねっ♪』

「あ、はい」


 そんなこんなで、エイムの感覚にも多少慣れてきたところで、いざ出陣。


 ゲームモードは誰でも気軽に楽しめるカジュアルモード。結構な種類のキャラがいる中で、オススメされた初心者向きのサポートキャラを素直に選ぶ。倒された味方を一瞬タッチすることで自動で蘇生できるアビリティを持っているらしい。それだけ聞けばかなりの強キャラ感がするのだが、るなさん曰く、局面次第とのこと。るなさんは一定時間無敵になれるキャラ、むいさんは索敵キャラを選択していた。


『さて、行きますか』


 飛行機から散らばっていく他部隊のプレイヤーたちを眺めていると、遂に自分たちの部隊も射出される。ここの操作は基本的にパーティリーダーに任せて問題ない部分らしいので、せめて周囲の索敵に意識を注ぐ。幸いにも、すぐ近くに他部隊の気配はない。安心していると、ばふっという効果音と共に自キャラが戦場に降り立つ。


「おぉ……」


 思わず感嘆の声がこぼれる。初体験の感動というのは、何事においても言葉に言い表しがたいものがある。その場でぴょんぴょんジャンプしてみて、感触を確かめる。訓練場とは明らかに違う戦場の空気感に思わず口元が緩む。


『初心者の反応かわいい』

『……それはまあ、確かに』


:可愛い

:かわいい

:可愛いw

:初プレイは興奮するよな

:分かりみが深い

:立ち絵ニッコニコやん

:可愛すぎか

:釣られてる二人も可愛い


「よし、まずは武器を探さねば」

『こっちにカビーンあるよ』

『こっちにはショットガンも~』

『回復もあるよ』

「全部見つけてくれてる!?」


 二人に介護されながら、物資をてきぱき集めていく。これまでやっていたFPSゲームは基本的にラウンド前に武器を購入するような形のものが多かったので、こうしてマップ上に落ちているアイテムを拾っていくのは妙な新鮮味がある。むしろアイテムだけ拾っていくようなゲームがあったら案外ハマりそうな気もする。


「ん? 銃声?」

『だね。割と近くで戦ってるみたい』

『ほんと? 私聞こえなかった』

『東の方やね。せっかくだし、戦いに行ってみますか』

「行きましょう!」


 ついに戦いの気配。るなさんに先導される形で、銃声のする方に走っていく。すると視界の奥の方で何やら豆粒みたいな人影が動くのが見えた。


『いた。結構戦いが進んでるっぽいね。もしかしたら決着しちゃうかも』

『その時は私たちで轢き倒しちゃえばいいよ』

「ひ、轢き倒す?」

『あ、陽さんはこっち。私と一緒に行こっ』


:轢き倒すw

:ワードチョイスが物騒すぎる

:可愛い見た目でぶっこんでくるのが堪らん

:変態じゃねーか

:ん? なんかるなちゃん横にいってね?

:単純に展開しようとしてるんでしょ


 物騒な発言に戸惑っている隙に、るなさんが何やら横に大きく展開していく。慌ててついていこうとすると、隣にいたむい・・さんに声をかけられ、大人しく従う。


「あ、なるほど」


 敵の位置と自分たちの位置、そしてるなさんの位置を確認して、その意図を何となく理解できた。VALEXのような攻めと守りのポジションが決まっているゲームとは異なり、このゲームは周りの全てが戦場なのだ。であれば、斜線を広げることでポジション的有利を作ろうとしているのだ。尚且つ、るなさんのキャラの一定時間無敵になれるアビリティを考慮すれば、限りなくリスクを低くした上で作戦を実行できるのだろう。


「えー、面白いなぁ」

『ふふっ、急にどうしたの?』

「いや、もう色々と感動してて」

『今のタイミングでそんな感動するとこあったかなぁ。おっと、それじゃあ撃つよ」


 るなさんの予想通り、自分たちが来る前に行われていた部隊同士の戦いは既に決着していたらしく、生き残った一部隊との戦闘が始まった。ほぼ同時に、るなさんとむいさんが挟撃する形で発砲する。間近で鳴り響く銃声。高まる緊張感に思わず唾を飲み込む。


「ん? あれなんだ?」


 銃を取り出したタイミングで、何やら妙な挙動のキャラクターを発見する。味方も敵も全員が縦横無尽に動き続けている中、イナバウアーのような形で立ち上がろうとしている敵がいる。そんな奇妙なキャラコンがあるのだろうかと驚きつつも、敵であることには変わりないので銃口を向ける。数発撃つと、幸いにその一発が敵に命中する。その瞬間、敵をノックダウンしたというメッセージが画面中央下部に表示されたかと思えば、すぐに敵が箱のようなものに姿を変える。


「え? 瀕死だったのかな?」

『あー、多分それ自動蘇生された敵を倒したんだと思います。陽さんと同じキャラが敵にいましたから。ちなみにノックした敵にトドメをさすか、敵部隊を全滅させると箱になって物資として漁れます』

『初ノック! おめでとう!』

「20ダメしか出してないんですが!?」

『勝ちは勝ちだよ!』


:相変わらず蘇生モーション気持ち悪すぎるw

:分かってても思わず見ちゃうわ

:何にしても初キルおめ!

:陽ならやってくれると思ってた!

:やった(20ダメ)


 結局のところ、初戦闘は瀕死の敵を倒しただけで、残りはるな・・さんたちが片付けてくれたらしい。よく見れば二人ともシールドが結構削れている。


『ちなみに削れたシールドは回復アイテムを使って────ってうわぁ!?』

『うわ、嫌なタイミングで来たなぁ』


 むいさんが何かを教えようとしてくれた時だった。すぐ近くで銃声が聞こえたかと思うと、むいさんのシールドが全て削られ、肉体にまでダメージが及んでいる。咄嗟に振り向くと、数十メートル先から敵三人がこちらに走ってきているのが見えた。


:うわ、まじか

:漁夫早すぎ

:このゲーム、というかバトロワの醍醐味ではあるんだけどな

:やられる方はたまったもんじゃないよ

:結構削られちゃってるし、さすがに厳しいか?


 るなさんは咄嗟に銃を構え、敵への牽制を始める。一連のスムーズな動作に状況も忘れて思わず見惚れてしまいそうになる。しかし、敵も多少のダメージは許容範囲なのか、迫りくる足は一向に止まる気配がない。


『回復間に合わなそうだから出来るだけ削る!』

『っ! 了解! サポート行く!』

『ごめん! 一枚だけ割ってる!』


 状況に応じて、むいさんが回復をキャンセルして迫りくる敵に発砲する。しかし、もともと少なかったHPを敵三人に狙い撃ちにされ、ノックダウンしてしまう。それでも一人のシールドを削りきったのは、さすが五期生の一人と言うべきか。


:敵うまいな

:というより連携がちゃんと取れてるのが偉い

:フォーカス合わせられたら何もできんからなぁ

:むいちゃんも頑張ったほう

:あの状況でシールド一枚削り切るなら十分よ

:あとはるなちゃんがどんだけ頑張れるか……

:陽もがんばってくれ〜〜〜


『厳しそうだから蘇生は後でいいよ! るなちゃんと一緒に戦ってあげて!』

「分かりました!」


 むいさんの指示に従い、るなさんと共に戦線を張る。何とか敵の一人を倒しきり2vs2の状況にまで持ち込むが、先の戦いで削られていた分のHP差がここにきて災いし始めた。HP状況を把握した敵が二人がかりで、るなさんに狙いを定める。


『っ! 一人やったけど、もう一人削れてない!』


 るなさんの切羽詰まった声と共に、ノックダウンの報せが届く。それでも、この状況で更にひとり倒してくれたことの重要性が、初心者の自分でも十分に理解できた。


:あああああ

:ノックダウンされんかったら全然あったんやけどなぁ

:いや、あの状況でもうワンノックする方がすごいだろ

:でも流石にこの状況はきついか

:初心者に託せる場面じゃないのはそう

:初タイマンきた

:うぉぉがんばってくれ〜〜〜


『陽さん! がんばって!』

『がんばれっ!』


 偶然とはいえ、部隊の命運を託されてしまった。二人の応援の声が微かに聞こえる。


 カジュアルモードである以上、勝敗にそこまで固執する必要性は正直無い。それは、るな・・さんやむい・・さん、リスナー、それこそ目の前にいる敵ですら理解していることだろう。それでも、二人が繋いでくれたこの盤面。応援してくれている皆の声に応えずして、果たしてそれは配信者たり得るのだろうか。




 愚問だった。ならやる。


「むいさん、ごめんなさい」

『えっ!?』


:ふぁっ!?

:ここで蘇生はさすがに通らんやろ

:初心者的に強い味方を蘇生したくなるのは分かるが……

:起こされた直後はHPもほとんど無いし、格好の的にしかならん

:ん?

:おっと?

:これは流れ変わったぞ


 ノックダウンしながらも目の前に来て盾を張ろうとしていたむい・・さんに謝り、その身体に触れる。決して小さくない蘇生音と、先程見たばかりの妙な動きで、むいさんがゆっくりと起き上がる。


 そして、発砲音。撃ったのは自分ではない。敵が今にも起き上がりそうなむい・・さんに、これでもかと乱射している。蘇生モーションのせいで盾を張れなくなった|むいさんは、あっけなくトドメをさされる。


「そうだよね。撃ちたくなっちゃうよね。僕もさっきそうだったから────よく分かるよ」


 弾切れでリロードに入った敵の眼前に姿を現し、照準を合わせる。いくら敵が上手かろうと、その銃に弾が入ってなければ何も恐れることはない。


 そして、最後のひとりを倒した。


「――――っはぁぁぁ」


 大きく息を吐く。ゆっくりだった時間が正常に動き始めたような気がした。


:う、うおおおおおおおお

:まじか! まさか倒すとは!

:え、もしかして今の狙ってやった?

:陽視点だとそんな感じだったけど……

:初心者の戦い方じゃねえw

:むいちゃんの驚き声かわええ


「あ、蘇生しなきゃ。……あれ、るなさん? むいさん?」


 目の前でノックダウンしているるな・・さんに軽くタッチする。むいさんは残念ながら箱になってしまったので、復活用のタグを回収する。そこでふと、やけに二人が静かなことに気が付いた。るなさんに至っては蘇生が終わっているにもかかわらず、その場で立ち尽くしている。


『今、凄いものを見た気がする』

『いや分かる』

「な、なんですか急に」

『なんですかじゃないよ! えっ、本当に初心者なんだよね? そのキャラとか使うのも初めてなんだよね?』

「そ、そうですけど。というかこのキャラだって二人におすすめされたから使ってるんですが」

『ま、まじかぁ。私ちょっと自信無くしそう』

『私も』

「ええ!? どう考えても二人の活躍の方が大きかったと思うんですが」

『初心者がやることじゃないって話!』

『なんだろう。エイムとかは他ゲーやってるなら相応な気もするんだけど、それ以上にゲームに対しての理解度というか対応力みたいなのが高い気がする』

『ゲームIQってやつ?』

『それかも』

「そ、そんなことは無いと思うんですけど。というか、るなさんは回復しましょうよ」


:初心者にあんなんやられたら経験者の立場ねえよ

:確かに最初に二人が可能な限り削ってくれたからこその結果ではあるが……

:陽が戦ってる時、二人の立ち絵がぽかんとした表情なの可愛い

:え、まじ、見てなかった

:巻き戻してこい

;まじで可愛いw

:ゆめみんは回復くらいしてくれw

:漁夫が来てないのが不幸中の幸いや

:陽はまじでゲームIQ高そうではある

:他ゲーでもちらほらそんな感じさせてるよな


 一体急に何を言い出すかと思えば。唐突なべた褒めに妙な気分になる。褒めてくれるのは有難いことだが、どう考えても二人の活躍が無ければ早々に負けていたはずだ。それを思うと何だか申し訳ない気持ちになってしまう。まあ初心者ということで大袈裟に褒めてくれているんだろうけども。


『それにトドメをさす時のセリフ、めっちゃゾクってした』

『……わ、分かる』

「えぇ、そんな変なこと言っちゃってましたか……? 恥ずかしすぎる……」

『……これが個人勢で人気を集めるVtuberか』


:分かる。さっきのはやばかった

:なんでスピーカーで聴いてたんだあああ

:草

:間違いなく切り抜かれるだろうなw


 さっきは集中と興奮もあって自分でも何を言ったかまで細かく憶えていないが、若い女性をゾクっとさせてしまうような気持ち悪い台詞を言ってしまったらしい。はずかしい。


『でもでも! 一つだけ言いたいことがあります!』

「な、なんですか?」

『自動蘇生を囮にするのはとても良いアイデアだったと思うんですけど、どうして私が選ばれたんでしょうか! 近くにはるなち・・・もいましたよね!』

「それは────恋人役ですからね」

『ごちそうさまでした』

『むいっ!?』



012を語るスレ ×××ちゃんねる目


212 名無しのリスナー ID:ThreadMB

本日のメインどりゃっ

https://xxxxxxxxxxxxx


216 名無しのリスナー ID:y8nbq9cv

ベストカップルGPのやつか


219 名無しのリスナー ID:f5evbz9s

Apeniteやるんだっけ?


225 名無しのリスナー ID:e5v4fzwg

事前告知もされてたけど、「はるのゆめ」に助っ人として「朝寝むい」が参加するらしい


229 名無しのリスナー ID:n5yrijqp

むいちゃんマ!?


234 名無しのリスナー ID:y39mt2sk

VALEXじゃないの意外だったわ


239 名無しのリスナー ID:z7savr9n

ゆめみん「VALEXみたいに人数多いと、陽さんとちゃんと話せないかも」


242 名無しのリスナー ID:r9gkmbpu

えんだああああああああああああ


245 名無しのリスナー ID:ThreadMB

あくまで「ベストカップルGP」の企画として、って話だろ。落ち着けよ俺


250 名無しのリスナー ID:k2pabvhg

>245

お前かよw


255 名無しのリスナー ID:a89jswr7

でも、なんだかんだ言って企画に真面目に取り組んでるのは好感だわ


258 名無しのリスナー ID:y59kh7rd

優勝したら公式番組の可能性ありだからな


262 名無しのリスナー ID:t9m2f7rz

なお相方は個人勢のため関係無し


265 名無しのリスナー ID:Hovelura

?「クソ企画だ!」


271 名無しのリスナー ID:n5yrijqp

ってか、るなちゃんの教え方わかりやすいな


276 名無しのリスナー ID:H3n4run

それな。俺もるなちゃんに教えてもらいたかった


279 名無しのリスナー ID:n397ujmk

>276

それは下心ありきなのでは?


283 名無しのリスナー ID:H3n4run

>279

ないわけないだろ!!


290 名無しのリスナー ID:d756wbqi

むいち「るなちと付き合ったら、こんな感じで手取り足取り教えてもらえるのかぁ」


293 名無しのリスナー ID:u6wm3ykv

>290

て、天才か……!?


299 名無しのリスナー ID:H3n4run

>290

ガタッ!!


303 名無しのリスナー ID:ThreadMB

落ち着けよお前ら。まずはどうやったら彼氏になれるか考えようぜ


308 名無しのリスナー ID:z7savr9n

>303

なれるわけねえだろタコ


312 名無しのリスナー ID:y8nbq9cv

>303

まずお前が落ち着いて現実みろ


316 名無しのリスナー ID:Hovelura

初心者の陽、普通にエイムがいい件


321 名無しのリスナー ID:f5evbz9s

他FPSの経験があるなら分からなくもない


326 名無しのリスナー ID:r9gkmbpu

訓練場のBOT相手ってのもあるやろな。まあ俺よりは当ててるが


331 名無しのリスナー ID:g6z7xudw

>326

雑魚が


334 名無しのリスナー ID:d756wbqi

【朗報】ゆめみん、褒められて露骨に嬉しがる


341 名無しのリスナー ID:e5v4fzwg

【悲報】ユニコーンくん激怒


343 名無しのリスナー ID:m3vp2ckx

推しがちょろいなんて可愛くて良いじゃねえか


347 名無しのリスナー ID:a89jswr7

これだから駄馬は


351 名無しのリスナー ID:b5n9kavh

お、ついに出陣か


353 名無しのリスナー ID:n397ujmk

キャラピックに手間取る陽かわええ


357 名無しのリスナー ID:Hovelura

着陸してその場で飛び跳ねて感動する陽もかわええ


359 名無しのリスナー ID:y39mt2sk

むい『初心者の反応かわいい』

るな『……それはまあ、確かに』


362 名無しのリスナー ID:n5yrijqp

ゆめみんもちょっと照れててかわええ


366 名無しのリスナー ID:g6z7xudw

むいちだって可愛いだろうが!


369 名無しのリスナー ID:t9m2f7rz

>366

それは多分みんなもよく分かってることだから


371 名無しのリスナー ID:e5v4fzwg

お、銃声したな


375 名無しのリスナー ID:g4x2985n

戦闘狂のるなち、突撃


378 名無しのリスナー ID:y59kh7rd

>375

言うほど戦闘狂か?


383 名無しのリスナー ID:u9exv8r2

でも実際ゆめみんの戦い方うまいな、状況を見て横に展開してるし


386 名無しのリスナー ID:Hovelura

【朗報】初心者の陽、初キル


390 名無しのリスナー ID:z7savr9n

おおまじか、それは普通にすごい


394 名無しのリスナー ID:r9gkmbpu

自動蘇生されたばっかの瀕死の敵に一発当てただけやけどな


398 名無しのリスナー ID:ThreadMB

【速報】陽、1キル20ダメ


400 名無しのリスナー ID:a89jswr7

初キルなのにあんまり倒した感ねえなw


404 名無しのリスナー ID:y3vazesb

五期生のふたりが相変わらずうまいな。

漁夫だったとはいえ、2vs2を危なげなく倒してるし


408 名無しのリスナー ID:b5n9kavh

【悲報】漁夫が来て、むいちダウン


411 名無しのリスナー ID:q4xvh6ad

初心者抱えての2vs3はさすがに無理か


414 名無しのリスナー ID:y3vazesb

おお、るなちゃんが何とか二枚持って行ったな


418 名無しのリスナー ID:t9m2f7rz

この状況で1vs1を託される陽、まじで運無いな


422 名無しのリスナー ID:d756wbqi

配信者としては持ってるんじゃね?


426 名無しのリスナー ID:b5n9kavh

>422

いや、相手ふつうに上手そうだし公開処刑みたいなもんやろ


429 名無しのリスナー ID:Hovelura

うちの推しならやってくれる!


433 名無しのリスナー ID:k2pabvhg

おっと?


436 名無しのリスナー ID:n397ujmk

まじかw

むいち囮にしてやがるw


439 名無しのリスナー ID:y59kh7rd

え、今のまじ?

どう見ても狙ってやってたよな?


443 名無しのリスナー ID:y3vazesb

>436

勝ちゃあいいのよ!


448 名無しのリスナー ID:Hovelura

うぉぉぉおおおお、さすが推しぃぃぃぃいいい

やってくれると思ってたぁぁぁあああ


451 名無しのリスナー ID:n7ecs95x

るなむいコンビ、放心状態


454 名無しのリスナー ID:r9gkmbpu

そりゃあ初心者が目の前であんなことしたらそうなるわw


458 名無しのリスナー ID:y39mt2sk

むい「今、凄いものを見た気がする」


462 名無しのリスナー ID:ThreadMB

陽、お前すごいよ。

ゲームIQ高すぎんだろ


464 名無しのリスナー ID:u6wm3ykv

るな「トドメをさす時のセリフ、めっちゃゾクってした」

むい「わかる」


469 名無しのリスナー ID:f5evbz9s

あっ炎上


473 名無しのリスナー ID:Hovelura

勝っても燃やされる推しが不憫でならん

しかも多分意味分かってない


475 名無しのリスナー ID:

むい氏、「囮ならるなち・・・でも良かったじゃん」とお気持ち表明


479 名無しのリスナー ID:m3vp2ckx

陽氏、「恋人役ですから」と一蹴


483 名無しのリスナー ID:b5n9kavh

むい氏、「ごちそうさま」と昇天


488 名無しのリスナー ID:z7savr9n

駄馬氏、「コメントは削除されました」と阿鼻叫喚の嵐


491 名無しのリスナー ID:c2hbjxtm

フィクションだっつってんだろ!


494 名無しのリスナー ID:n7ecs95x

るなち「えっと、その、……ありがとうございます」と回復アイテムをプレゼント


498 名無しのリスナー ID:y59kh7rd

>491

フィクションなのは重々承知した上で、「はるのゆめ」だけ何かガチ感あるんだよなぁ


501 名無しのリスナー ID:u9exv8r2

>498

ノンフィクションっぽいってこと?


505 名無しのリスナー ID:r9gkmbpu

言いたいことは分からんくもない。


509 名無しのリスナー ID:Hovelura

単に陽がそれっぽい発言を普段からしちゃうのと、

るなちゃんが企画に真面目だからガチっぽく見えるんじゃない?


513 名無しのリスナー ID:H3n4run

>509

それだ。名探偵はここにいたのか。

よかった。るなちは穢されてなかった……


517 名無しのリスナー ID:n5yrijqp

>513

駄馬もいるな


519 名無しのリスナー ID:H3n4run

>517

お、俺は駄馬なんかじぇねえ!

推しに男の影があるのに耐えられないだけなんだ!

そしてあわよくば俺が付き合いたいだけ!


523 名無しのリスナー ID:y8nbq9cv

>519

駄馬じゃねーか


526 名無しのリスナー ID:g4x2985n

>519

安心しろ。お前は立派な駄馬だよ


530 名無しのリスナー ID:g6z7xudw

陽は個人勢なことを除けばVtuberとしても男としても高スペックだからな。

人当たりもいいし、普通にモテそう


533 名無しのリスナー ID:q4xvh6ad

個人勢なのって言うほどマイナスか?

15万も登録者いれば企業勢と比べても殆ど遜色ないやろ

そりゃあ最大手と比べたりしたら劣るかもしらんが


537 名無しのリスナー ID:d8k2hqze

あいつが企業勢としてしっかりプロデュースされてたらカナタ並みに人気爆発してた説


540 名無しのリスナー ID:y39mt2sk

>537

それはさすがにじゃね?

カナタは配信以外のことは終わってるけど、こと配信に関しては天才だからな


543 名無しのリスナー ID:ThreadMB

>537

陽が女だったら個人勢でも天下取ってた説


547 名無しのリスナー ID:t9m2f7rz

>543

ガタッ!


551 名無しのリスナー ID:y8nbq9cv

そもそも何であいつ個人勢なの?

普通に事務所からスカウトとか来てそうじゃね


555 名無しのリスナー ID:a89jswr7

カナタとか絶対事務所に推してるだろ


559 名無しのリスナー ID:SKanaist

>555

それは普通にあり得る


563 名無しのリスナー ID:n397ujmk

もしかしたら事務所からの誘いとかも断ってんのかもな


568 名無しのリスナー ID:y59kh7rd

そこまで個人勢にこだわる理由なんてあるんか?


572 名無しのリスナー ID:f3aw7z56

一人で自由に配信するなら個人勢の方がいいんじゃね?

変なしがらみとかも無さそう


576 名無しのリスナー ID:u6wm3ykv

現に012以外の箱Vとも結構コラボしてるし、案外個人勢の方が性に合ってるだけなのかもな


580 名無しのリスナー ID:b5n9kavh

それにしては立ち絵とかモデリングとか、やたらと質が高い気もするんやけど


584 名無しのリスナー ID:d756wbqi

>580

それはまじでそう。俺もVtuberデビューするなら、あんな感じがいい


589 名無しのリスナー ID:g4x2985n

話脱線しすぎで草

合コン企画に関して陽の話題が出るのはいいんやろうけど、個人として掘り下げるのはスレチよ


593 名無しのリスナー ID:z7savr9n

>589

それはそう。陽くらい登録者いれば個人スレくらい立ってるやろ。


597 名無しのリスナー ID:t9m2f7rz

>593

まじか!

行ってくるわ!


601 名無しのリスナー ID:k2pabvhg

>597

話戻るわけじゃねーのかよ。いてら。


606 名無しのリスナー ID:u9exv8r2

ちなみにお前らが陽の話ばっかしてる内に、五位まで順位上がってるぞ

あれから部隊も二つ壊滅させてる


610 名無しのリスナー ID:e5v4fzwg

マ? かなり順調じゃん。


614 名無しのリスナー ID:f3aw7z56

陽「アンチ的に、あそこの高台とかどうですか?」


618 名無しのリスナー ID:y59kh7rd

初心者がする提案じゃねえよ


622 名無しのリスナー ID:b5n9kavh

いや、さっきから割と普通にサブオーダー的な役割だったからな、こいつ


626 名無しのリスナー ID:y39mt2sk

意味わからんて


630 名無しのリスナー ID:a89jswr7

意見としては的確なので経験者の二人も苦笑いするしかない


634 名無しのリスナー ID:q4xvh6ad

お? 補給物資めちゃくちゃ近くに落ちるじゃん


638 名無しのリスナー ID:ThreadMB

クラッシャー来たぁぁあああああ


642 名無しのリスナー ID:n7ecs95x

クラッシャーってなんぞ?


647 名無しのリスナー ID:d8k2hqze

>642

一撃必殺のスナイパーライフルやね。

試合を破壊クラッシュできる武器


651 名無しのリスナー ID:n397ujmk

陽「自分は当てられる気がしないので、お二人にお任せします」


655 名無しのリスナー ID:q4xvh6ad

きちんと自分の能力を弁えてて偉い!


660 名無しのリスナー ID:d756wbqi

るなちゃんが持たないということで、むいちゃんが獲得!


664 名無しのリスナー ID:f3aw7z56

るなちゃんがクラッシャー拾わないの珍しくない?


665 名無しのリスナー ID:a89jswr7

そうか? 最近だと逆に拾ってるのをあんま見ないわ


666 名無しのリスナー ID:u6wm3ykv

残り三部隊まで来ちゃ!


667 名無しのリスナー ID:Hovelura

陽、妙なタイミングで二人のプレイスタイルを聞く


668 名無しのリスナー ID:r9gkmbpu

むい「楽しめればオッケー!」

るな「勝てたらいい」


670 名無しのリスナー ID:c2hbjxtm

むいちゃんは予想通り。

るなちゃんはちょっと意外かも


671 名無しのリスナー ID:y59kh7rd

>670

ゲーマーが勝ちにこだわるのに意外なんてこともないだろ


672 名無しのリスナー ID:ThreadMB

陽「フルパとソロが1部隊ずついる感じだと思います」

む「え、なんで分かるの?」

陽「多分ですけど、生存者数って10人未満になると見えなくなりますよね? 残り4部隊で10人生き残ってて、三人分のキルログが流れたので」


674 名無しのリスナー ID:y8nbq9cv

むいち、るなちに視線を向ける。

るなち「教えてない教えてない」


676 名無しのリスナー ID:z7savr9n

初心者はそんなところ気にしません


678 名無しのリスナー ID:y39mt2sk

初心者詐欺だろ


680 名無しのリスナー ID:Hovelura

>678

回復アイテムの切り替えに手間取ってたで


683 名無しのリスナー ID:f5evbz9s

>680

初心者じゃねーかくそが


686 名無しのリスナー ID:d8k2hqze

【速報】むいち、ソロの一人をクラッシュ


688 名無しのリスナー ID:m3vp2ckx

>686

クラッシャーで倒すことをクラッシュっていう感じ?


690 名無しのリスナー ID:d8k2hqze

>688

俺の中ではせやで


693 名無しのリスナー ID:g6z7xudw

>690

お前の中だけだろ。

普通に聞いたことなくて焦ったわ


695 名無しのリスナー ID:n5yrijqp

残り一部隊!

しかも高所取れてるから圧倒的に有利!


698 名無しのリスナー ID:n397ujmk

【朗報】相手チーム、高台を取れるキャラ無し


701 名無しのリスナー ID:b5n9kavh

勝ち確やん。

初プレイでチャンピオンとかすごいな


704 名無しのリスナー ID:Hovelura

【悲報】陽、敵からの直下グレであわや死にかける


707 名無しのリスナー ID:n7ecs95x

あいつは不運に遭遇しないと死ぬ呪いでもかかってんのか?


710 名無しのリスナー ID:y8nbq9cv

>707

ぎ、ぎりぎり死ななかったから……


713 名無しのリスナー ID:a89jswr7

お? どうやら一人を残して二人で突撃するらしい


715 名無しのリスナー ID:u9exv8r2

るなちゃんが残るのか


718 名無しのリスナー ID:g4x2985n

初プレイの陽に譲ってあげたんかな?


720 名無しのリスナー ID:z7savr9n

陽&むい vs フルパ部隊か


723 名無しのリスナー ID:g6z7xudw

あー結構惜しいところまで行ったんやけどな


725 名無しのリスナー ID:y59kh7rd

陽も一枚落としてたし、結果的に試合には勝ったんやし上々よ


728 名無しのリスナー ID:r9gkmbpu

今回見てて思ったけど、るなちゃんの立ち回りとかめっちゃ丁寧になってない?


731 名無しのリスナー ID:e5v4fzwg

丁寧っていうより、堅実って方がしっくりくる


734 名無しのリスナー ID:f5evbz9s

なんか前はもっと荒々しかったような気がする


736 名無しのリスナー ID:y39mt2sk

荒々しいってw

まあ言いたいことは分かるが


739 名無しのリスナー ID:ThreadMB

るなちゃんも色々あったからな。

本人も自重してんじゃない?

意識的にそうしてるのか、無意識にそうなってるのかは分からんが。


742 名無しのリスナー ID:H3n4run

そこまで気にする必要があるんかねぇ



「おつるなー…………ふぅ」


 ベストカップルGPの恋人役である個人勢Vtuber──陽とのApenite配信は、想像以上の盛況を見せながら終わりを迎えた。勿論、むいの影響力も大きい。それでも、一番の功労者は疑うまでもなく、初心者ながらに十分すぎる活躍を見せた彼だろう。彼はその類稀なるゲームIQの高さで、後半にはサブオーダーを務めるまでにゲーム理解を深めていた。


 特に、一番最初の試合で見せた経験者と思われる敵との1vs1はコメント欄も大いに盛り上がっていた。正直なところ、あの場面で勝ってくれるとは思っていなかった。反応から察するに、むいも同じ気持ちだっただろうし、殆どのリスナーも陽の勝利には期待していなかったはずだ。


 そんな中で、彼は見事に勝利を収めた。それも初心者とは思えないような戦法で、相手を出し抜いた上での完全勝利。ただの結果としてだけでなく、配信者として一つの文句も付けようがない内容に思わず嫉妬してしまうものだった。


 それは、まるで────。


 いや、よそう。彼には彼なりのプレイスタイルがあり、それは他人が何かを押し付けていいようなものではない。彼自身も「楽しんだもの勝ち」というスタイルが性に合っていると話していた。同期で言えば、むいが同じタイプだ。


「むいが恋人役だったら良かったのに」


 自分のスタイルを聞かれ、迷った末に「勝てたらいい」なんて答えを出した。それを何の疑問も持たずに「勝つことは大切ですもんね」と笑って肯定してくれる彼の優しさと、知っていて何も言わないでくれた同期の気遣いに、自分のちっぽけさを自覚した。



 自分がむい・・より勝っている部分が果たしてあるだろうか。人としても、配信者としても、彼に相応しい恋人役としても。少なくとも今の自分に、彼の恋人役として隣に並び立つ資格があるとは思えなかった。


「もし、前までの私だったら──」


 自然と零れた言葉に慌てて口を噤む。ベストカップルGPの反響は現時点でも凄まじい。他の組み合わせとの登録者数の差を考えれば、私たち「はるのゆめ」はかなり善戦していると言える。今回のコラボ配信だって盛況だった。Apeniteでは勝つことも出来た。十分すぎるほどの成果を得た。



 なのにどうして、私の心は満たされてくれないのだろうか。

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