第6話 こんな一面もあるんだ
【登場人物紹介】
これまでのあらすじを踏まえた人物紹介です。
真鍋星矢(せいや)…社会人二年目。優柔不断。あざとい後輩、愛未の思わせぶりにやられ好きになるも愛未に彼氏がいると分かり、落ち込む。しかし、その後、ストーカー対策として恋人のフリを頼んできた後輩の春花と本当に恋人になろうと決意し、意気込む。
多田愛未(まなみ)…社会人一年目。あざと系女子。星矢に思われぶりな態度を取っていたが、彼氏がいたことが判明。
中野春花(はるか)…社会人一年目。最近彼氏と別れたらしい。ストーカーの被害に合っていてそれを回避するため、星矢とは恋人のフリをしている。
春日部博(ひろし)…星矢の相談相手。周りからの信頼も厚く、恋愛相談に乗るが少しズレてるため、アドバイスがあてにならない事も多い。愛されキャラ的存在。
内間君恵(きみえ)…星矢の上司。何故か星矢に厳しい。プライベートはあまり人に明かさないため、謎に包まれている。
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星矢は朝、ウキウキで仕事の準備をしていた。恋人のフリとはいえ、可愛い後輩と手を繋ぎながら通勤できるなんて幸せ以外の何物でもない。しかもお互いフリー。こんな話、ウキウキするなと言われる方が無理だった。
待ち合わせの場所に星矢が着く。
「お待たせ!」
「じゃ、行きましょっか」
そう言うと二人は歩き出した。
「先輩!もし会話がストーカーに聞かれてた時のために先輩の事、下の名前で呼んでもいいですか?星矢さんとか」
「もちろんいいよ。俺も春花って呼んだ方がいい?」
「お願いします」
そして呼び方も『星矢さん』『春花』となった。
………もうこれ、本当の恋人と同じじゃね?何が違うの?お互いフリーで毎日一緒に歩いて………
星矢はそう思ったがこれは恋人のフリだと我にかえった。自分は後輩のストーカー対策のために善意で恋人のフリを演じている優しい人なのだと。
そう思うと自己肯定感も上がるからだ。
「そろそろ着きますね。誰かに見られたらまずいしこの辺で今日は終わりにしましょうか。」
「そうだね。」
そう言って二人は手を離して距離を取る。正直星矢からしたらもっと手を繋ぎたい、なんなら本当の恋人だったらもっとオープンにできるのに!というやるせない気持ちもあった。
会社に到着するとすぐに内間さんに呼び出され、地獄の資料作りが始まる。一緒に作っているとしょっちゅう怒られた。
しかし星矢はそれを一週間耐えた。毎日、中野いや春花と通勤する時間が癒やしの時間だったため、耐え抜くことができた。仕事の楽しみはそれだけといっても過言ではないくらい通勤の時間が楽しかったのだ。
発表が終わると取引先の人から凄い分かりやすいと褒められた。そして仕事終わり、内間さんから「発表おつかれ!アンタ、本当に頑張ったよ。今日私の奢りで飲みにでも行くかい?」と言われた。
「あ、ちょっと予定が〜」
星矢はそう言うと自分を待っている春花の方へ視線を送った。
「またあの中野って後輩と何か話すの?まさかアンタたち、付き合ってるんじゃないでしょうね?」
「まさかそんな!ただ」
「ただ何よ?」
これ以上は言わない約束だ。本当にやましいことは何もないのだが二人の約束なので守ることにした。
星矢は春花に事情を説明した。結局、三人で飲みに行くことになった。
発表を成功させたため、内間さんは少し機嫌が良かった。いつもは怒ってばかりだが今日は星矢の事をたくさん褒めた。褒めてるかと思いきや、今度は飲みすぎで机に突っ伏して寝てしまった。
………こんな一面もあるんだ。面白い………
星矢はそう思った。内間さんは怒ってばかりの嫌いな上司という印象だったが実は仕事に熱い情熱を持っていて後輩想いな一面もあることを知った。
だからといって好きになるわけではないが。好きになることだけは絶対にあり得なかった。
結局、星矢はタクシーを捕まえ、酔った内間さんと春花を家に届けて帰宅した。
家に到着すると愛未からラインが届いているのに気付いた。
『星矢さん!今、電話できたりします?』
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ここまで読んでくださり、ありがとうございます!感想や主人公が誰と結ばれるのか等、予想を応援コメントとかに書いてくれるととても嬉しいです。
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