もう一人いる……

うめもも さくら

もう……

 部屋の中をあれこれ見ている時、普段なら気にならないことが気になることがある。

 それは大抵決まって、何気ないもの、取るにならないもの、取り留めのないもの。

 たとえば、床に落ちているゴミとか、襖の模様とか、壁のシミとか。

 けれど、それは一度気づいてしまうと、気になって仕方がない。

 今がまさにそうだ。

 私の目の前でヘラヘラしている女を横目で睨みつける。

 誰も住んでいるはずのない、誰もいるはずもないこの部屋に私以外の人がいる。

 今の今まで、いることに疑問すら気づかなかったのに、今は気になって気になって仕方がない。

 どうやってこの女を排除しようか……。

 こんな居心地のよい物件、他にない。

 生きているとか、死んでるとか関係ない。

 この部屋から即刻、ご退去願おう。



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