第59話 ドラゴンの巣 その1

 治癒院を後にしたネイビス達はAランクダンジョン『ドラゴンの巣』に戻ってきていた。『絶対零度』の三人は今日はダンジョンには潜らないという。生き残った『破壊神』の二人を看病すると言っていた。


 ネイビス達は気を取り直して、ダンジョンの受付前で久しぶりの作戦会議を開くことにした。


「先ずは改めてステータス確認からだな」


 ネイビスの提案にビエラとイリスは頷いて、各々のステータスウインドウを表示して確認する。


 名前:ネイビス

 年齢:17

 性別:男

 職業:魔法使いLv.68

 HP:807/807

 MP:1164/1014+150

 STR:269

 VIT:269

 INT:507+50

 RES:438

 AGI:269

 DEX:338

 LUK:269

 スキル:『応急処置』『リカバリー』『サーチ』『ノービスの本気』『プチマジックアロー』『プチマジックウォール』『プチマジックウェーブ』『プチマジックミサイル』『マジックアロー』『マジックウォール』『マジックウェーブ』『プチメテオ』『プチストーム』

 アクセサリー:『朱雀の指輪』『翡翠の指輪』


 名前:イリス

 年齢:17

 性別:女

 職業:剣士Lv.55

 HP:786/636+150

 MP:468/468

 STR:368

 VIT:312+50

 INT:156

 RES:156

 AGI:212

 DEX:156

 LUK:156

 スキル:『スラッシュ』『二連切り』『蟲斬り』『剣士見習いの本気』『一刀両断』『三連切り』『魔獣斬り』

 アクセサリー:『シルバーバングル』『ゴールドバングル』


 名前:ビエラ

 年齢:17

 性別:女

 職業:僧侶Lv.55(経験値二倍)

 HP:468/468

 MP:711/636+75

 STR:156

 VIT:156

 INT:312+25

 RES:368

 AGI:156

 DEX:156

 LUK:212

 スキル:『プチヒール』『プチキュア』『プチリジェネ』『プチホーリー』『ヒール』『キュア』『リジェネ』

 アクセサリー:『蒼天の指輪』『ミスリルバングル』


「ステータス、物凄く久しぶりに見た気がするわ」

「そうだね」

「確か、ネイビスが付けてたミスリルバングルをビエラに渡したのよね?」

「そうだな。ビエラにはいち早く巫女に転職して『レイズ』を覚えてほしいからな」

「うん!」

「不死のペンダントは付けないの?」

「まだいいだろ」

「私、怖いから付けてもいいかな?」


 ビエラはインベントリから金と翡翠に輝く不死のペンダントを取り出してネイビスに見せた。


「まぁ、死ぬことはまず無いとは思うけどな」


 ネイビスはそう言って頷き、ビエラに了承の旨を伝えた。


「やった!」

「敵が複数現れるわけじゃないから『プチフリーズ』の使い所も限られるしな。ちゃんと『蒼天の指輪』と交換するんだぞ」

「わかってるよ」


 ビエラがアクセサリーを交換するのを見届けてから、ネイビスは徐に作戦を語り始めた。






 作戦会議を済ませたネイビス達はAランクダンジョンの入り口で受付を済ませ、いよいよダンジョンに入ることにした。


「ねぇ、ネイビスくん。私、怖くなってきた」


 心配性なビエラは両腕で身体を包み込むように腕を組みながら、ネイビスに救いを求める眼差しを向ける。


「大丈夫よビエラ。たぶん」

「そうだぞ。それに、不死のペンダントだってあるじゃないか。たぶん大丈夫だ」

「たぶんは嫌だよ」


 ビエラは先の一件でかなり怖じ気付いていた。今までネイビス達は冒険の中で死を目の当たりにしたことがなかったため、初めて死に直面したことはかなり響いたのだ。だが、怖じ気付いているのはビエラだけじゃなかった。イリスもネイビスも少なからず死を意識させられていたのも揺るがない事実であった。


「死ぬときは死ぬ。仕方ないだろう。それじゃあ行くぞ」

「え、ええ。ビエラ、ほら」


 ネイビスの掛け声にイリスが応じて、ビエラに手を差し出す。


「うぅ……。分かったよ」


 ビエラは仕方なくイリスの手を取り、ネイビスに続いて青白く輝くダンジョンのゲートを潜るのだった。






「久々のダンジョンだから緊張するな」


 ダンジョンに入ると、両脇を巨大な崖に挟まれた幅のある一本道が続いていた。ネイビスは慎重に歩きながら呟く。


「私、心臓が張り裂けそうだよ」

「確かに、緊張するわね」


 あたりは濃い霧で包まれていた視界の悪さが余計に緊張感を引き立てていた。


「ねぇ、何か聞こえない?」

「確かに」


 ネイビスが耳を済ませるとドシン、ドシンと遠くから地鳴りのような音が聞こえた。それは次第に大きくなっていく。それに伴って緊張感も高まる。そして、ゆるりと霧の中からそれは現れた。


「ドラゴン!」


 そこにいたのは巨大な白竜だった。その大きさは朱雀の指輪を手に入れるために戦ったメテオキメラよりも二周りは大きかった。ドラゴンは三人をその金色の目で睨めつけて、大きく息を吸うと、大音量の咆哮をした。


「怯むな! ふたりとも、戦闘態勢! 作戦通り行くぞ!」

「分かったわ!」

「うん! 『リジェネ』✕2」


 ビエラが魔法スキル『リジェネ』をネイビスとイリスにかける。回復魔法スキルは傷に加えて疲労も回復させることができる。『リジェネ』は回復だけではなく、疲労蓄積を防ぐ効果もあるので戦闘開始に使うにはうってつけのスキルだった。


「ビエラ、ありがとう! 私も行くわよ! 『剣士見習いの本気』! 『三連斬り』!」

「俺も! 『ノービスの本気』! 『マジックアロー』! 『プチマジックミサイル』!』


 バフスキルでステータスを向上させたイリスの剣撃とネイビスの魔法が白竜に迫る。今まさに、戦いの火蓋は切られた。

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