海からの囁き

一宮 沙耶

第1話 プロローグ

 私は、熱海にある小さな地元IT会社の社員で、東京の親会社から再発注されるプログラミングの仕事をしている。


 伊豆にある女子大を出て、明るい会社生活を夢みてたけど、会社は、ブラック企業で、だれもが精神的に疲れ果てていたの。とくに、サービスを開始する直前とかは、3日ぐらい徹夜なんてことは当たり前だったわ。


 上司に相談したこともある。でも、発注会社が決めたんだから、しかたがないだろうとしか回答はなかった。


 体調が悪くて休みたいこともあったけど、で、何が言いたいんだ? としか言われない。休日も含めて飲みに行く時間もなく、友達からは、付き合いが悪いって、声もかけられなくなった。


 そんなんだから、仕事が立て込んでいくと、職場では怒鳴り声であふれ、周りの人に気を使うなんて雰囲気は全くない。


 社員の気持ちがすさみ、そして、あんなことが起きるなんて・・・。

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