現代で時魔法使いになったので、時魔法をいっぱい悪用して人生楽しんでみようと思う

崖淵

第1話 時魔法との出会い

ふっふっふ。僕の名前は英明ひであき

刮目してみよ、これが時間停止の時魔法だ!


――時よ止まれ!


僕の視界が灰色に塗られ、モノトーンの世界になる。時間が停止した証だ。

この能力を悪い事に使って、人生を謳歌してやるんだ!

いっぱいいたずらしたり、楽してお金を稼いだり……もう人生勝ち確だね!


……


……




話はちょっと遡るけど、それは僕が小学校1年生の時だった。

放課後、いつものように家の近くの山で秘密基地を作っていたんだ。

秘密基地を作っていたといっても、山肌を掘り続けてやっと二~三人が入れる程度の横穴を作っただけだったけど、古いバスタオルを持ってきて穴の中に敷いたり、そこら辺の湧き水を詰めたペットボトルを置いたりした。

深く掘ると湿った地面が出て、井戸を掘った気分で楽しかった。おやつを持ち寄ってそこで食べたりと、僕らは立派な秘密基地だと思ってた。

まぁ当時は僕も小学1年生だったんだし、そこは温かい目で見てほしい。


秘密基地ごっこをするときは、いつもはみんなでしていたんだけど、その日はたまたま僕一人だった。秘密基地に来てみたら、いつもの秘密基地よりちょっと奥に小さな横穴があった事に気付いた。


「あれ…こんなところに穴なんてあったかな?誰かが掘ったのかな?」


何か野生動物とかいたら怖いなーと、恐る恐るその横穴を覗いてみると…思ったよりも結構掘られていたのか入ってすぐくねっていて奥まで見えない。ランドセルについているペン型LEDライトを片手に持って四つん這いになって、小さな横穴に入っていく。

ああ、ちなみにここは千葉県の南の方の田舎だ。熊とか狼とかはいないはず。

当時はそんな危険性を考えもせずに穴に入っていったのも事実だけど。

穴は狭く少し進むと少しだけ開けたところに出た。

立ち上がれるほど広くはないけど、這う状態から座る状態になれるくらいには高さがある。

這って進むのに疲れたので、座ってちょっと息を整えながら辺りをライトで照らす。


すると左手の少し先に、祖父母の家で見た仏壇のようなものがあった。

近づいてみると、そこからは不思議な雰囲気が漂っていた。

なんとなく祖父母の家で見た仏壇にあったお供え物がなかったのが気になったので、ランドセルからペットボトルのお水を仏壇にあったおちょこのようなものに少し注ぎ、空のお皿に食べ残していたパンを少し千切って載せた。

それで特に深い意味も無いけど、なんとなくいつも祖父母の家でしているように手を合わせてお祈りしてみた。

……何をお祈りしていいか分からなかったけど。


すると目の前の仏壇のあたりから、直視できないほどのまばゆい光が押し寄せてきたんだ。お祈りするのに目を瞑っていたから、はっきりとしたことは分からなかったけど、慌てて目を開けたときはもう白い光に包まれてて、眩しくて何も分からなかったよ。

で、僕はそのまま意識が飛んだんだ。




気が付くと、僕は真っ白い光の中にいた。

小奇麗な小さな木の机に座っている人がいる。おじいさんかな?

かな?っていうのは豊かな白いお鬚があごから生えているのは見えるんだけど、そこから上の顔の中心部分はまばゆい光を発していて見えなかったんだ。


「ほほほ、これはかわいいお客さんだな。」


そう言ってそのおじいさんは席を立つと僕の頭を撫でてくれた。

なんでかわからないけど、すごい安心する。


「ふむふむ……なるほど。ほう、あの血筋か。それならば……は、あり……だな。」


とぶつぶつとおじいさんは何やら呟いていたけど、そのうちにしゃがんで僕の顔の高さに合わせて語り掛けてきた。顔が光り輝いているから、その表情は見えなかったけど。


「お主に特別な力を授けよう。時を司る魔法だ。

便利ではあるが決して万能ではない。これをどう使うかはお主次第だ。」


「時を……つかさどる魔法?」


「そうじゃ。とりあえずは時を止めることが出来るようになるだろう。

自分以外の時が止まり、お主だけが動けるのじゃ。元の世界に戻ったら、心の中で強く願ってみなさい。時よ止まれ! と。そうするとお主以外の時間が止まる。」


「え、すごい。面白そう!」


「そうじゃろう? でも思ったより何も出来ないかもしれないし、そうでもないかもしれない。工夫次第じゃな。

それとこの時を止める魔法は秘密にしなさい。悪い人にばれたら、お主や周りの人の身に危険があるかもしれない。もし明かすにしても本当に信頼できる人だけにしなさい。」


おじいさんの声には、不思議と重みがあった。


「うん、わかった!」


「これを使っていいことをするもよし、悪い事をするもよし。どちらに使っても構わぬ。それはお主の人生だからな。さてそろそろ時間だな。元の場所に送ろう。忘れるなよ、時よ止まれ! だぞ?」


「はーい、おじいさんありがとう!」


「ほっほっほっ」


とおじいさんはそういうとまた白い光に包まれ僕の意識は途切れた。

意識が戻ると、いつもの秘密基地のバスタオルの上で横になっていた。

あの仏壇らしきものがあった横穴は、まるで最初から存在しなかったかのように、影も形もなかった。


「あれ? 夢だったのかなぁ。」


辺りは薄暗くなってすっかり夕暮れ時になっていた。


「あ、まずい。遅くなるとお母さんに叱られる。」


僕はランドセルを背負い直し、急いで帰ろうとする。


「あれ?もしかして時を本当に止められるのなら、時を止めればちょっとは家に着く時刻がマシになる?」


僕って天才かも!?

とはいえさっきのが本当なのか夢なのか、まだわかんないけど、試しにやってみるのも悪くないかも。

とりあえずやってみよう。

念じるぞ。よーし、時よ止まれ!


!!!


その瞬間、世界は色と音を失った。


自分の目に見える景色が全てモノクロになった。

虫の鳴き声や風が木や草にあたる音など全てが消えて無音になり、聞こえるのは僕の心臓の音と呼吸音だけになった。


これが時が止まるという事?ちょっと怖いかも。

でも本当に時が止まった!

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