あなたはベストセラー作家です

 タイトルに惹かれて「読んでみるか」と思った方には申し訳ないですが、今回は創作論というより、創作にあたっての精神論に近いです。ただ、決して無駄ではありません。



 いきなりですが、みなさんは遠藤周作を知っていますか? 国語の授業とかで聞いた方が大半でしょう。遠藤先生は純文学で有名ですが、実はエッセイも書いています。


 その一冊に『読んでもタメにならないエッセイ 周作塾』という本があります。

 この本でこんなエピソードがあります。引用すると長いので、要約です。


「鏡を見て私の夢は必ず叶うと暗示をかける」というものです。



 これと近い主張が載っている本がありまして『一生折れない自信のつくりかた』というタイトルです。やはりこの本でも似たような内容がありました。こちらも要約です。


「ナポレオン・ヒルという人物の本に「成功する前に成功したかのように取り組みなさい」とあったので、自分はセールスの天才だ! と鏡に向かって自己暗示をかけた。それと同時にトップセールスマンならどのように振る舞うかを意識した」


 この本の著者は実際にトップセールスマンになりました。


 この2つのエピソードに共通するのは自己暗示をうまく使う、ということです。


 本当か? と怪しむ人、それでなれるなら苦労しないと思う人、それぞれだと思います。二つのエピソードを踏まえて重要なことは自己暗示をかけて、ベストセラー作家ならどう振る舞うか? を意識するという点です。


 よく形から入るということを言います。これと一緒です。カクヨムでヒットしたい、と強く願うならパソコンを新調するのもいいかもしれません。これも形から入るの典型です。パソコンを新調したら、使わないともったいという感覚に襲われます。必然パソコンに向かう時間が長くなり、なんとかいいアイデアを出してヒット作を書かねば、という考えになります。


 パソコンの新調は極端な例です。しかし、次の作品は戦国時代のifにしよう、と決めたならWikipediaを情報源にするのはやめて、関連書籍を数冊購入しましょう。Wikipediaはあくまで参考であり、コメントで「この設定は時代考証がなっていない」との指摘はなくなりますし、あったとしても書籍を明示して反論できます。



 いずれにせよ、自己暗示をかけて、形から入る、これは一つの方法論としてアリかと思います。



 ここまで、自己暗示についてプラスの側面を書きましたが、自己暗示といいますか言葉には見えない力があります。マイナスの面についても遠藤先生はエッセイの中で書かれています。要約です。


「回復期に向かっている患者に向かって看護師が「週に2日しかお風呂に入ってはいけません」という場面に遭遇した。これでは自信を失ってしまう。言い方を変えて「週に2日もお風呂に入れるようになりました」と言う方が良いだろう」


 このエピソードを教訓にするのなら、自作について、卑下せずに自作が一番面白い、というマインドであるべきということです。まあ、自作をXなりで宣伝する時に卑下する人はいないと思いますが……。



 付け加えると、私も自身をカクヨム内での創作論でトップを走っている、と自己暗示をかけ、そうであればどのように振る舞うべきか、どのように皆さんに有益な情報を提供するかを考えています。


 そこで、数字や根拠となる書籍があった方が説得力が増すと思い、既にある書籍の有効活用はもちろん、新しく書籍を買ったりしています。これは自分のためでもあります。



 冒頭に述べた通り、今回は精神論に近いものでした。今回のタイトルは「皆さんはベストセラー作家ですよ」という暗示をかけることを意図してこのようにしました。今回はこの辺で。

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