第23話 結婚することになりました



 私とチェレスティーロは、結婚することになりました。


 最初に問題になったのは、チェレスティーロの身分です。

 平民と貴族では結婚することができないので、一度チェレスティーロをどこかの家の養子に入れないといけません。


「それなら私の家に」

「遠慮します」


 食いつくように申し出てきたハジラッティ=ダメ=ナイトリー第二王女に、私よりも先にチルチルがお断りを入れました。


「その辺の適当な平民を王子にしようとしないでください」

「ミッチェーロの父は隣国のブルーバード子爵家の四男なのよ? ひいお祖父様は貴族だったのだから、適当ではないでしょう。幸運の青い髪で縁起も良いし」

「え?」


 初めて聞く情報に、私もチルチルも目をパチパチと瞬きます。

 ミチル爺ちゃん、聞いてないよ!?

 そうして驚いている間に、養子になるサインをさせられそうになったので、私達は慌ててその場から逃げ去りました。


 後日、ハジラッティ第二王女から、「絶対に王家の力で贖罪してみせる……」という呪いの手紙が届きました。

 彼女はいい人なんですけれども、ちょっと思い込みが激しい方なんですよね。

 元第二王子も元第三王子も罰を受けているのだし、そろそろ私への罪悪感は忘れてほしいものです。



「じゃあ、うちの養子になるのはどう?」

「え?」

「青い髪だし縁起がいいわ」

「青い髪、人気者ね!?」


 友人のジャクリーン=ジョウシキー公爵令嬢の申出に、私は目を白黒させます。

 チェレスティーロが、ジョウシキー公爵家の養子に?


「わ、私より身分が高くなる……!」

「いいじゃないの。元平民で侯爵代理をやるなら、そのくらい箔をつけておいた方がいいわ。ねえ、チルチル」


 そう言ってチェレスティーロを下から覗き込むジャクリーンに、私は慌てます。


「ちょっと、チルチルは私のよ。そんなに近寄っちゃだめ!」

「ふふ、私のお義兄様になるんだもの。いいわよね?」


 ジャクリーンにとん、と胸を小突かれて、チルチルは困ったような顔で微笑んでいます。

 私はむむむむ、と未だかつてない気持ちで胸をいっぱいにしながら、チルチルの腕にしがみついてジャクリーンを威嚇しました。

 そんな私を見た二人は、けらけらと笑っています。



 そんなこんなで、チェレスティーロはジョウシキー公爵家の養子となりました。


 そう、チルチルは公爵家の令息になってしまったのです!



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