第3話 実の父に殴られました




 夕方、残念親父に殴られました。

 女の顔を殴るとは、本当に残念な親父です。


「……痛」

「お前はナルシスト殿下になんということを言うんだ!!」


 残念親父の背後では、ネタミーニャとその母ソネミーニャがニヤニヤ笑っています。


「はあ、またこの展開ですか」

「なんだその態度は!!」


 この残念親父は、よくもまあ飽きもせずに同じような反応をするものです。

 何かある度に、私だけを一方的に責めたてて、三人の仲を深める。

 私が出ていこうとしても、それはそれで許さない。

 私という犠牲者がいないと、この三人は纏まることができないのでしょうね。


「まあいいのです、こういう展開も、今日で終わりなので」

「はっ!? 貴様、何を企んでいる!?」


 娘に向かってとうとう貴様ですか。

 本当に、これだからこの残念親父は……。


 私がげんなりしていると、後ろから執事が残念親父に声をかけました。


「旦那様」

「なんだ、今は忙しい!」

「大旦那様と大奥様がいらっしゃっています」

「なんだと!?」


 驚いているお父様に、扉の方から声がかかります。


「オロカーノ君」

「お義父様……!? ど、どうしてここに……客間へ案内します!」

「これはどういうことかな」


 今の扉近くに立っていたのは、母方のお祖父様とお祖母様です。


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