第一章:第七話【添い寝(?)】
掃除を初めて分かったことだが、
額にまで垂れてきた一筋の汗を服の袖で拭うと、顔を上げてテーブルに置かれた壁掛け時計に目をやる。そこには12時32分と表示されていて、休憩なしに朝から昼まで片付けに熱中していたのかと内心自分に驚く。
膝に手を当てながら体を起こして部屋の中を一瞥してみることに。そこは今朝までゴミ屋敷と化していたとは思えないほどに片付いている部屋で、日常生活を行う上では問題はない程に片付けが終わっていた。
ふと菜美がどのような反応をしているのか気になったので菜美がいるであろう部屋の入り口周辺を見てい見ると、そこには膝を抱えて座り込み、壁に背中を預けている菜美の姿。よく目を凝らして耳も澄ましてみると瞼を深く閉じ、スースーと小さな息を漏らしていることが分かる。
そう、寝ていたのだ。それも凄く気持ちよさそうに。いや、別に寝てもいいのだがこのタイミングだろうか。特段怒ったりとか無理矢理起こしたりなどはしないが、それでも俺の頑張りを見て頂きたかったという承認欲求があるのだ。......まあ、非常に可愛らしいのでいいのだが。
どうするべきか、と頭を悩ませていると助け船と言わんばかりに下からある一言が耳に届く。
「二人ともー! お昼よー!」
菜美を起こす理由ができ、一安心。俺は早速起こそうと菜美のすぐ傍にまでより、腰を落とす。そして体を揺らして起こすために肩へ手を伸ばすと、何か気配を察知したのか菜美の腕が力なく持ち上げられて俺の二の腕にしがみ付いてくる。
それだけならまだ良かった。だけど、菜美は腕に力を入れるとそのまま俺の体を引っ張り、体を密着させてくる。
さらに息を深くして本格的に眠りへと入っていく。その光景を俺は唖然と開いた口が塞がらないと言った感じに見届けることしかできなかった。
ちょっとしてやっと頭が現状に追いつき、どうするべきなのか必死に頭を働かせる。
「どうしたのー?」
呑気な
さすがに同居していると言えど、思春期の異性同士が密着しているという状況は非常に不味い。それは見た側も見られた側も同様。なので何とかして早く起こさないといけないのだが、不幸にも右腕は菜美にしがみ付いていて、左腕は断捨離の影響で筋肉痛になったのか上手く動かない。
残った手段としては体全体を揺さぶるのみなのだが、効果は薄いだろう。そう、言えば万事休すということだ。何とかして左を伸ばしているものの、もう遅い。ドアのすぐ向こう側から「入るわよー?」という智美紀の声が聞こえて来る。
俺はもう諦めることにした。だが最後の悪足掻きをさせてもらうことにする。
それは——『寝たふり』である。
「あら~、大分綺麗になったわ...ね...ってあんたたち何してんの?」
冷たい言葉が俺の心を
だが、ここで智美紀が予想外の言葉を発する。
「添い寝?」
ちげぇよ! と叫びたい気分だ。だがその言葉を何とか喉元で抑え込む。平常心、それを心に言い聞かせて持ち堪える。ほんの数秒すると、いつもの声色で「起こしに来るわね~」と一言零してから智美紀はこの部屋から退室した。
その後、何とか届いた左腕で何度か揺さぶってみるも、深い眠りに就いた菜美を起こすことはできず、ただ呆然と菜美の寝顔を見るしかなかった。
———後書き———
どもう! カクヨムにて初の後書き出演を果たした空野そらでございます!
え? なんで今まで後書きを書いてこなかったんだって?
そりゃあ......そりゃあ......面倒くさかったからです。ハイ。ほんとすんません!
っと、話は変わって......なんだか「どもう」を挨拶にしようか悩んでいるんですが......危なっかしい悩みな気がする......まあそれも置いておいて、Twitterの方でも報告させていただいたんですが、作品の更新に関して、カクヨムでは土曜日更新から月曜に変更して、小説家になろうとアルファポリスは今まで土曜日に投稿していたのを土日の二日間に変更します!(期日を守るとは言っていない。これがどのようなことを示すのかは、分かるだろう?)
急ですが、どうかこれからも空野そらと、その作品たちをよろしくお願いします!
それでは長くなりましたが、締めへ......
誤字脱字、感想等は気軽にお寄せください。
好評でしたら続編が出るかもしれません、ぜひ今作をよろしくお願いします!
では機会があれば次回もお会いしましょう!(後書きは気力があれば書くと思います)
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