第5話

シナリオの力は強大で、あの後いくら私がゲームにない行動をとってもほとんどのイベントは変わりなく発生したのでレイス様との接触自体をとにかく避けてきた。




そうして過ごしていくうちに時は流れ、いつの間にか私はこの学院の三年生になり卒業まであと一年となった。


恋愛フラグにアンテナを張りまくり、なりふり構わず回避してきた結果、レイス様と何もなかったのはもちろん、他のだれかと恋に落ちることもなかったのである。




恋愛がメインの乙女ゲームにあるまじき事態ではあるが、それでも私の生活はそれなりに充実している。




私が日々を楽しく過ごすことができているのは、友人の存在が大きい。


ベロニカ嬢はあの言葉通り、何度も私をお茶に誘ってくれた。


そこで彼女と二人で話すのはもちろん、それだけではなく他の令嬢たちも招待したお茶会を彼女は開催し、その場に私も呼んでくれたのだ。そこでいろいろな人と交流し、私は友人を増やすことができたのである。




お茶会にいらしてね、と初めて招待されたとき、絵本のお姫様たちが優雅にケーキを食べている場面しか想像できなかったため自分のようなただの大学生(今は一応貴族だが)が行っていいものかと悩んだりもした。




しかし実際には学院内で行われるお茶会は放課後に中庭の一角で開催されているものでドレスコードなどもなく、あまりかしこまったものではなかったため、私の心配は杞憂に終わった。


加えて参加者たちがお茶やお菓子を持ち寄る形式も多く、なんだかクラスで友人と手作りチョコを交換し合った高校時代を思い出して貴族のお嬢様たちも日本の女子高生と似たようなことをするんだと知りほほえましい気持ちになる。




しかしさすがはお嬢様というか、中には家でシェフに作らせたケーキを持ってきたりだとか家が所有しているお茶畑で自分の好みの茶葉を作ったりする人もいて、女子高生との規模の違いを思い知らされたりもした。




そんな人もいる中、私は寮暮らしだしわざわざここまで人を呼んでお菓子を作らせるほど裕福な家でもなかったので街で評判のお店で選んだを持っていくことが多かったが、令嬢たちにとっては普段見ないお菓子でむしろ嬉しそうにしていたので安心した。

皆お金持ちだがそれを鼻にかけない、穏やかな人が多いのは本当にありがたい。




このお茶会は友人との交流の場として扱われているためそこそこ頻繁に開催されており、今日もベロニカ嬢主催で行われる予定で、私も招待されている。しばらく定期試験に向け部屋で勉強していることが多かったので、久しぶりの参加となる。試験も一昨日終わったので、心置きなく楽しもう。

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