女子校で知らされる、禁断の性教育

あかせ

第1話 隣の人と胸を見せ合って下さい(鈴&真鈴)

 今日はわたしが通う事になった女子校の入学式。朝の準備が終わって玄関で靴を履いている途中、お母さんと大学1年の真鈴まりんお姉ちゃんが見送りに来てくれた。


すず。忘れ物はない?」


「大丈夫だよお母さん。ちゃんと確認したから」


「今日はやるみたいだから楽しみだね」


「色々…?」


今日やるのは、入学式とホームルームだけのはず。お姉ちゃんは何言ってるんだろう?


「歩いて通学できるからといって、油断しちゃダメよ」


お母さんの言う通り、歩いて10分ぐらいで着く。近さだけを考えてそこにしたんだよね~。


「風花ちゃんによろしく~」


「わかってる」


わたしには幼馴染の染川そめかわ 風花ふうかちゃんがいて、同じ女子校に通う事になっている。家に遊びに来た時に何度も顔を合わせてるから、2人は“顔見知り以上友達未満”って感じかな?


「…あ、もうそろそろ出ないと。行ってきま~す」


「いってらっしゃい」


…お姉ちゃんは何を言わず、ニヤニヤしながらわたしに手を振る。さっきのも気になるし、帰ったら訊いてみようかな?



♠真鈴視点♠


 「真鈴。あんた何か隠してるでしょ?」


玄関で鈴を見送ってすぐ、お母さんが訊いてきた。


「バレちゃった?」

あんな事をする鈴を想像したら、ニヤニヤしちゃうって♡


「当然よ。一体どういう事か説明しなさい」


「実は数日前に、鈴の高校から封書が来たんだよ」


「封書? そんなの見てないけど?」


「内容があまりに衝撃的でさ~。鈴はもちろん、お母さんにも内緒にしたの」


「よくわからないけど、その封書持ってきて」


「はいはい」



 自分の部屋の引き出しにしまった封書を持って、リビングに戻る私。早速テーブルの椅子に座っているお母さんにそれを渡した後、向かい合って座る。


「………ちょっとこれ本当なの!?」


「驚くのも無理ないよね~。私がいる時にやってほしかったよ」

私は鈴が通う女子校の“OG”にあたる。


「これを鈴が知ったらなんて言うか…」


「秘密にしたくなる理由、少しでもわかってもらえた?」


「ええ…。でもアタシに言わないのはどうなのよ?」


「秘密が漏れないようにするため。知る人は最低限じゃなきゃ」


「まったく、生意気な子ね」


鈴って、風花ちゃんのおっぱい見た事あるのかな?



♢鈴視点♢


 風花ちゃんと待ち合わせてる場所に向かうわたし。…もういるから、早歩きで向かおう。


「お~い、鈴ちゃ~ん!」

わたしに気付いた風花ちゃんが元気に手を振る。


「…ごめんね、待たせちゃって」

遅刻してないけど、どれだけ待たせちゃったんだろう?


「全然良いよ。…行こ」


「そうだね」


わたし達は入学する女子校に向けて歩き出す。



 「あたしと鈴ちゃん、同じクラスになれると良いね」

不安そうに言う風花ちゃん。


「うん…。同じ中学の人はいるけど、仲良いのは風花ちゃんだけだから」


「万が一違うクラスになっても、休憩時間ごとに遊びに行くから」


「わたしも行くよ」


その話をしてどれぐらい経っただろう? 風花ちゃんが遠慮がちに口を開く。


「あのさ…、見た?」

風花ちゃんがよくわからないことを訊いてきた。


「あれって何?」


「学校から封書来たじゃん? 見てないの?」


「見てないどころか、封書の事も知らないよ」

もしかして、お姉ちゃんのあの態度に関係してる?


「そっか…」


風花ちゃんはホッとしたように見えるけど…。


「ねぇ、どんな内容だったの? 教えて」


「知らないなら良いの! 学校を騙ったイタズラかもしれないし」


「そう…」

どんな内容だったんだろう?



 わたし達が3年間過ごす女子校の校門をくぐって前の人に続くと、何やらホワイトボードの周りにたくさんの人が集まっている。


「きっとあれにクラス発表の事が書いてあるんだよ。鈴ちゃん行こ」

風花ちゃんはわたしの手を引き、ホワイトボードの前に向かう。


ホワイトボードには数枚の紙が貼ってある。内容は…、クラス分けについてだね。わたしは風花ちゃんと同じクラスになれる事を祈りながら探す。


「……あった。あたしと鈴ちゃん、同じ『B組』だよ!」


風花ちゃんがそう言うので確認すると、本当に同じクラスだ。嬉しいな~。


「良かった…、本当に良かった」


「そう…だね」

風花ちゃんが涙ぐむから、わたしもつられちゃったよ。



 落ち着いてから昇降口を経由し、B組に入るわたしと風花ちゃん。…入って目に入ったのは、黒板に大きく手書きされた座席表だ。


「今度は座席みたいだね。風花ちゃん、頑張って探そうか」


「そうだね」


わたし達は頑張って探す。…あった、あそこだ。


「見て。窓側の一番後ろがわたしで、その隣が風花ちゃんだよ」

座席表を指差して教える。


「…ホントだ。クラスが一緒になっただけでも嬉しいのに、隣同士なんて最高だよ!」


「わたしも」


座席がわかったので、早速座る事にした。


「この1年、良い感じになりそうだね。鈴ちゃん」


「うん」


だけど言い終わった後、風花ちゃんが一瞬微妙な表情をしたような…?



 それから楽しくおしゃべりしてる内にチャイムが鳴る。今まで空席だったところも全員埋まった。見渡して数えたところ、このクラスは全28人みたい。


みんな座り終わって間もなく教室の前の扉が開き、明らかに若い女の人が教壇に立つ。見た印象は…、20代後半かな?


「皆さん初めまして、担任の桃井ももいです。これから1年よろしくね」


優しそうな先生で一安心。この1年は問題なく過ごせそう。


「入学式の後はホームルームになるけど、その時に封書で伝えた通りからね」


「えっ…?」


とんでもない事を知らされて、わたしの頭は真っ白になるのだった。

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