孤独
滔々と溢れ出す愚痴がヘドロになって異臭を放つ。クソだ、クズだ、ゴミだと宣うやつこそ害悪だと飄々といってのける君の唇はあわいピンク。これも愚痴だけど、と露わにする自嘲。人の絆に身動き取れずに叫びをあげた先にたまたまいた君。拾い上げた塵芥から宝石を、美しく輝くそれを、僕は見つけ出したかった。
欲望をおもうままに果たすことがなぜいけないのと無邪気に問い、行い、あえて人を遠ざけるような、悲しい笑みを見せた。自ら人のいない場所へと逃げ出すべきかと、あるいは人を遠ざけるべきかと、問いかける君はいずれにしてもいつまでもひとりきりだと割り切っていたのに、寂しい笑みを見せた。完全な自由を求めていたのに行った場所がただの自然で、誰もいない場所で、声をあげて泣いた。もう泣いたっていいんだって、叫んだ、咆哮は狼みたいに消えていった。
常識、普通、規範、それらの苦痛から逸脱することでしか感じられない快楽だけが幸福の源泉だったのだろうか。立体を平面で捉える簡易的解釈に甘んじ、他者の存在を遠ざけることで視点を、視点への想像力を放棄した。星はただからっぽの空に輝いていた。自分だけが答えだったのに、自分の欲望だけが答えだったのに、君があらわれた世界では、答えはいつだっていくつにだって増え、美しいのに触れられない星のようにもどかしかった。
自分が定まらない、定めたくてもがく、もがいてみればみるほど自分が定まらないのは、他人の目を見る自分の目があり、合わせ鏡のように無限の自己を生み出してしまうから、とか、妄想。盲目を目指して目をつむって橋を渡った先の大地から空を見上げ、本当に星を望むことなどできただろうか、星のない暗い空の下で、生きる意味をつかむことができただろうか。と君は問う、とうとう手を伸ばし、冷たい手からかすかに伝わる、今を、生きているのは美しい輝き。
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