ブラッドワールド

西暦2029年、世界的なパンデミックが始まった。その結果、20億人以上の人が死んだ。

ただ、AB型の人間は全く死ななかった。

O型の人間もほとんど死ななかった。

A型の人間は半分が死んだ。

B型の人間はほとんどが死滅した。

このパンデミックにより、血液型による階級闘争の末、血液型による階級社会が出来上がった。

AB型は貴族である。

O型はホワイトカラーである。

A型とB型は労働者階級である。

人々は2035年以降の世界を「ブラッドワールド」と呼んだ。


義経は病院で目が覚めた。

この病院はモグリの医者が経営している。

義経は病気でも怪我でもない。

自分の血液型を変更するために、地下組織を探しあて、昨日、骨髄移植の手術を受けたのだ。

今の義経は血液型がO型のはずである。

O型の男はO型の女としか結婚できない。それがブラッドワールドの掟だった。

天涯孤独の義経は、ウィルス研究者の涙子と結ばれるためにO型になった。

涙子には、自分の正体を隠していたが、上の階級の人間が下の階級のエリアで働く事は禁じられてないから、義経は涙子にも涙子の周囲の人間にも自分の出生や経歴をうまく詐称する自信があった。

この病院は偽の身分証明書を作るというサービスまでしてくれる。

4日後、義経は偽の身分証を受け取り、退院した。

義経はその足で涙子に会いに行った。


一年後、義経と涙子の間に男の子が生まれた。

しかし、その子の血液型はA型であった。

義経と涙子は逮捕され、警察の取り調べを受けた。

義経は全てを白状した上で、取り調べの警官に理由を聞いた。

「どうして子供の血液型がA型だったのか」と。

警官は答えた。

「あんたの妻の血液型がAB型だったからだ。あの女は昔、ひとりの貴族に恋をして、その男と結婚したくて、自分の血液型を変えたんだよ。あんたと同じ病院で。」





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