後日談その2

誘拐事件から数日後、遂にオーズはアーティに贈り物をした。それは小さな宝石が入った指輪であった。

「これお母さんの指輪?」

「そう、長い事探していたんだよ」

 その指輪は両親が流行病で亡くなった時に生活費の為に泣く泣く手放した母の形見の品だった。

 オーズはアーティの贈り物を悩んだが一番喜ぶ物はこの指輪じゃないかと考えた。

「どうかな?一応他にもハンカチとかも買ってきたんだが……」

 アーティはオーズに抱きついた。

「ありがとうお兄ちゃん」

 オーズはアーティの頭を撫でた。昔の様に妹をあやすように。そこには二人は兄妹愛溢れる光景が広がっていた。

「あんた達ここ私の部屋なんだけど」

 フレイルは勝手に盛り上がっている兄妹に不満をぶつけた。

 アーティは慌ててオーズから離れた。その顔は恥ずかしさからなのか赤面していた。

 オーズはもう一つ袋から箱を取り出しフレイルに渡した。箱の中にはネックレスが入っていた。

「何これ?」

 フレイルはオーズの意図が分からなかった。

「ほら前世では生活が苦しくて何も買ってやれなかっただろ?今更だけどアカリにもって」

 オーズの説明にフレイルは黙ってしまった。

「あ!やっぱりいらないか?もうお姫様になったし欲しいものなんて」

「いる」

 フレイルは口を尖らせてそう言った。そう聞いたオーズは安心した。

 フレイルは無言で鏡台の前にいき、ネックレスを着けると鏡の前で何度も見回した。その姿をアーティもオーズもソニアもニヤニヤ見ている。

 三人の視線に気付いたフレイルは顔を赤らめながら

「兄ちゃんにしてはいいセンスなんじゃないかな?まあ私は何でも似合うけどね」

そんな照れ隠しをしているフレイルをオーズは微笑ましく思えニヤニヤが止まらなかった。

「そんなに嬉しかったかーよかったー」

 オーズはフレイルが喜んでくれた事にすっかり御機嫌になり抱きついた。そして頭を撫でたそれはフレイルを更に赤面させた。

「ちょっ!兄ちゃん!やめてよ!」

 フレイルの言葉はオーズに届かない。恥ずかしながら嫌がるフレイルをオーズは離さない。しかしいよいよフレイルはキレてオーズを突き飛ばした。

 フレイルは肩で息をしながらアーティに提案した。

「アーティこれから外に出てブーメランをしよ」

「ブーメランですか?」

「そう、そこにいるにやけズラを投げてアーティが引き寄せるの。きっと楽しいから」

 フレイルはオーズを使った新たな遊びを考案した。

 オーズは何が気に障ったか分からなかったが必死で謝った。しかしフレイルは許してくれない。

 その日外で見回りをしていた兵士は回転しながら飛んでいく謎の物体を見たと言う。

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