第3章〜逆転世界の電波少女〜①
唐突に発生したセカイの統合――――――。
親友や上級生が告げた彼らの正体――――――。
セカイ統合を目論む過激派集団の存在――――――。
彼らに拉致された、クラスメートの救出劇――――――。
朝イチに始まった、
キルシュブリーテが、このセカイを立ち去ったことで、セカイ統合のデモンストレーションは、計画の完遂を待たずに終了したようで、オレが並行世界にトリップする
オレや、ゲルブたち銀河連邦政府の捜査官たちと異なり、
「彼女たちは、明日の朝、それぞれ元いたセカイで目覚めて、今日、起きた数々の出来事は、まるで夢の中で起きたことであるように感じながら日々を過ごすことになると思うわ……」
というのが、ブルームの説明だった。
ただ、セカイ統合の元になった、この世界線では、
また、オレ自身が、なにより安心したのは、
自分自身が夏休み前に入院生活を余儀なくされたことから、
さらに、自業自得の飛び出し事故で入院することになったオレとは違い、彼女の身に危険が迫ったのは、オレ自身の軽率な行動のせいだ。
そのことに強い責任を感じていたオレにとって、
他人任せ(?)のようになってしまうが、彼女に対するフォローは、オレが《ルートB》と名付けたセカイの自分に任せることにしようと考えている。
自虐的な考え方になってしまうのを承知で言えば、
女子から告白されるという美味しいシチュエーションを味あわせてもらった上に、セカイ統合のデモ解除後のフォロー役を押し付けることは、無責任きまわりないと自分でも思うのだが、これまでの行動を振り返ると、オレ自身は、なるべく、
そうした考えをブルームとゲルブに伝えると、
「えぇ、良いんじゃないかしら。これからは、
と、尊敬する先輩の姿をした女性捜査官が肯定的な言葉を返してくれた一方で、
「ふうん……まあ、キミがそう考えるのなら、別にイイんじゃない?」
と、親友の姿をした男性捜査官は素っ気ない返事を返してきた。
常日頃から、その才気あふれる仕事ぶりに敬意を抱いている上級生から肯定する言葉をもらったことで気を良くしたオレは、小学生の頃からの親友である
そして、今度は、多元世界に関する犯罪抑止や取り締まりのプロフェッショナルである彼らのアドバイスに耳を傾ける。
「
「しかし、相手が元のセカイの住人か、それともアンタらの言うトリッパーなのかは、どうやって見分けるんだ? レプリカントを見破るあの映画みたいに、感情を刺激する質問を行うことで感情移入の度合いを測ったりするのか?」
オレがそんな風に質問をすると、
「フォークト=カンプフ検査(Voight-Kampff Testing)なんて、存在するわけないだろう?」
と、ゲルブがツッコミを入れてきた。
「じゃあ、どうやって見分けるんだ?」
と、問い返すオレに、ふたりの捜査官は、胸元に掛けていた器具をかざす。
それは、レーザーポインタのような形状の物体で、その機能をゲルブが説明する。
「このスイッチを押すと、薄い青色のレーザーのような光線が射出されるんだけど、この特殊な波長は対象者の脳波を読み取って、セカイをトリップした経験のある場合は、レーザーが赤い光に変わるんだ」
彼の解説によると、トリッパーは、脳波に特徴的な傾向があるらしい。
詳しい仕組みはわからないが、ゲルブが持っていた予備用のポインタを譲ってもらったことで、オレも、トリッパーを見分ける術を手にすることができた。
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