インターミッション〜世界の片隅で愛を叫べなかったケモノ〜③
中学生になると、男子どもが急に色めき立ち、
オレたちの住む人工島では、合計3つの小学校から、あいらんど中学校に進学する生徒がいるのだが、自分たちが卒業した、あいらんど小学校以外の学校から中学校に進学してきた生徒には、特にその傾向が強かった。
(今となっては、その頃の
オレを含め、あいらんど小学校の卒業生たちは、そのようすを少し遠巻きに眺めていたのだが、自分たちと同じ学校を卒業した
中学校に入学してから、SNSの更新頻度をあげていった彼女は、メディアからの注目も集めはじめ、しばらくは、舞台女優の娘であることを隠しながら、Clover_fieldというアカウント名で活動していたが、母親に誕生日プレゼントを贈る動画をアップロードしたところ、彼女の母が数年前にメディアを騒がせた有名人であることから、身バレしてしまい、それからは、将来有望な二世タレントとしても、世間の関心を持たれることになった。
(ちなみに、彼女のアカウント名は、オレが自身のお気に入りの映画のタイトルと
ただ、あいらんど小学校の他の卒業生と違って、徐々に自分との立場の違いが鮮明になっていく
次々と彼女に告白しては、玉砕していく男子どもに対しては、
(
という感情を抱き、
(控えめな性格だったアイツが、あんなに輝いているのに、オレ自身は……)
という劣等感の入り混じった想いを感じていた。
表面上は、
「誰とも付き合うつもりはないし……興味のないヒトから好意を向けられるのって……気持ち悪い」
という意味の言葉を吐いたときには、そこに
(
と、小学生から親しくしている同級生女子の姿を重ねて安堵する一方で、また、そんな根拠に乏しい考えにすがっている自分自身の情けなさに落ち込む日々が続いた。
中学生活の後半に入ってから、歌手としてデビューを目指す
周囲の男子との接点が少なくなったことから、
少しずつ、それでも確実に自身の活躍の場を広げていく
高校に入学してからの彼女は、いよいよ、歌手としてのデビューも果たし、さらに地道に続けていたSNSの活動が実を結んだのか、いまでは、ファッションやコスメ関係の企業案件も手掛ける同世代のカリスマとなっていた。
(あの春休みに、寂しそうにスマホをいじっていた、大人しい転校生が……)
と考えると、感慨深いモノがあるが、日々、高校の授業と部活動をこなす以外、とくに目標を持って生きている訳ではない自分と彼女を比較し、オレの中の
そして、二年生の夏休み直前のこと――――――。
ここ一年〜二年の間は、まったく、男性の影が見えなかった彼女に、果敢に交際を申し込み続ける男子生徒があらわれた。
それは、夏の大会を前に、県内でも屈指の好投手として注目されていた三年の
「
と告白した。
放送・新聞部の取材のため、たまたま放課後の校舎内を移動していたオレは、三年生の教室で、その光景を目撃してしまったオレは、
それは、オレが、この世でもっとも目にしたくなかった光景だったことは言うまでもない。
ショックを受けたオレは、その場から駆け出してしまい、無意識のまま、学校の敷地外へと飛び出す。
だが、そのとき、普段は、交通量の少ない学校前の道路を走ってくる乗用車に気づかなかった――――――。
校門からマリンパーク駅のロータリーの方に向かって道路を横切ろうとした瞬間、
ファ〜ン!
という大きなクラクションが聞こえ、
ドンッ
と、全身に強い衝撃を受けたオレは、そのまま意識を失ってしまった。
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