時ちゃんの、めざし道！

第76話 夏祭りとめざしの串焼き

夏が深まり、町の恒例の夏祭りが目前に迫っていた。時ちゃんは「時ちゃんの、めざし道！」で、祭りに合わせて特別なメニューを準備することに決めた。今年は「めざしの串焼き」をメインに据え、地元の人々に夏の楽しみを提供する予定だった。

時ちゃんは、新鮮なめざしを丁寧に処理し、手作りのたれに一晩漬け込むことから始めた。このたれは、甘味と辛味のバランスが絶妙で、めざしの味を引き立てる特製のもの。翌日、漬け込んだめざしを串に刺し、店の前に設置した焼き台でじっくりと焼き上げた。

祭りの日、時ちゃんの店の前は、めざしの香ばしい香りで満たされ、串焼きを求める人々でにぎわった。子どもから大人まで、多くの人がその味に魅了され、熱々の串焼きを手に取った。時ちゃんは笑顔で一串一串を丁寧に焼き上げ、来る人々に渡した。

夏祭りは地元の太鼓グループの演奏や、子どもたちによる盆踊りなど、様々なイベントが催された。時ちゃんの「めざしの串焼き」は、これらのイベントとともに夜遅くまで楽しまれ、参加者にとっては祭りのハイライトの一つとなった。

祭りの終わりには、時ちゃんは地元の祭り委員会から感謝状を贈られた。彼女の料理が、祭りの成功に大きく貢献したことを称えるものだった。時ちゃんはこの表彰をスタッフとともに喜び、次年度も参加することを心に誓った。

この夏祭りでの経験は、時ちゃんにとっても参加者にとっても、地域社会のつながりを再確認する貴重な機会となった。めざしの串焼きが人々の心に残る夏の思い出となり、時ちゃんの店が地域の人々にとってなくてはならない場所であることを再認識させたのだった。